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マスクとmask

 少し前、黒っぽいスーツ姿でマスクをした人たちが、どっどっと歩いているテレビの映像を見て「軍団」のようだと思った。
 マスクはmaskだが、maskというと、日本語と違い、最初に仮面、覆面が思い浮かぶ。仮面といえば、visorという古い言葉もある。これは、西洋の騎士の甲冑のうち頬や顔を隠す部分でもある。まさに戦(いくさ)の世界だ。
 現代の敵はウィルスだが、命にかかわるという悲壮感、緊迫感は昔も今も変わらない。
 さいわい、ひとまず「マスク軍団」もいなくなり、気がつけば木々の黄緑の若葉が育ってつやつやした緑色に変わっている。人間界に何があろうと季節は巡っていく。

六甲山牧場

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神戸市の六甲山牧場に行った。さわやかな青空の元、若緑のなだらかな丘のところどころに羊がいて、神戸市内とは思えないのどかな風景だ。春のせいか母羊のあとをついていく子羊も多く、モコモコしてかわいかった。すぐそばを羊が通っていくのにはびっくりする。見ていると羊にも性格があり、ベーと鳴いて先頭を行くボスや、後をついていくのや、遅れて迷うのや、離れたところにぽつんといる一匹狼ならぬ一匹羊など個性豊かだった。
牛乳がおいしかった。

Turkish Delight

旅のあいだ温泉旅館など和食が多かったので、久しぶりのミルクティーを楽しんだ。お茶うけはロンドン土産のFortnum & MasonのTurkish Delight。グミのような口当たりで強烈な甘さで、正直なところ好みではないが、ひと時エドマンドと白い魔女の出会いに思いをはせた。

安曇野と黒部立山の旅

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 まず長野電鉄(私鉄)で善光寺へ行った。7年ぶりの「御開帳」で賑わっていた。参道で買った野沢菜と小豆入りの「お焼き」が熱々でおいしかった。
 次にJR普通甲府行きに乗った。「川中島」という駅があって武田信玄を思い出した。棚田がある「姥捨(おばすて)」という物騒な名の駅では、電車がスイッチバックで進んだ。

 JR大糸線で安曇野へ行った。車窓から、緑の山々の向こうに雪を頂いた北アルプスの山々が見えた。
 穂高駅で降りて碌山美術館へ行った。落ち着いた煉瓦造りの建物が、新緑によく似合っている。ロダンに師事した荻原守衛(碌山)のブロンズ彫刻は迫力があった。彫刻の「デスペア」(Despair)と、絵画の「黄水仙」が特に気に入った。
 このあたりは、水がきれいで気候も合っているので日本一のワサビの産地だ。山々を背景に若緑色のワサビ畑が広がっていた。すりたてのワサビは、香りはいいが辛味は強烈。でも唐辛子と違い、すっとひいて後に残らない。
 駅の方に歩いていくと、田植えの後の田んぼの水に山々が映っていて、また美しかった。

 立山黒部アルペンルートと黒部ダムをめざした。
北アルプスの険しい山々の間に黒部渓谷がある。そこにダムをつくるときに資材や人を運ぶため、渓谷の両側の山に難工事の末、トンネルが掘られた。現在は、トロリーバス、ロープウェイ、ケーブルカー、バスを乗り継いでいける観光地になっている。
 その途中、立山の中腹にある室堂(むろどう)は、標高2400メートル以上の高さにあり雪の残る標高3000級の立山連峰の稜線が目の高さに見える。ただ、登山の苦労をせずに楽に雄大な眺めが堪能できるので、山への畏れが減るような気がして少し後ろめたい気がする。
 春に立山の道路の雪を除いて通れるようにしたところは、両側に高さ15メートルの雪の壁ができている。その「雪の大谷」をバスで通っていった。終点の立山駅は、まだ標高400メートルの高さがあるが下界に降りた気分になった。
 
 電鉄富山(私鉄)に乗った。深い山あいを渓流が流れる絵のような風景の中を、黄と緑の電車がゴトゴトと走っていく。少し平地に出ると水田の遠くに雪の立山連峰がずうっと見渡せたが、安曇野の風景の方が優しい感じがした。
 終点の富山市が近づくと急に町になった。長野県から北アルプスを越えて富山県に出た。富山名物「ますずし」を買った。

平城宮跡

奈良県の近鉄西大寺駅から歩いて平城宮跡に行った。来年で奈良の都が開かれて1300年になる。クローバーやレンゲなどの野の花が咲いている広い草原の中ほどで、発掘作業が続き、そのずっと向こうを近鉄電車が横切り、その奥に復元された朱雀門が見える。過去と現代が同時に存在するおもしろい光景だった。

引越し一周年

さっき日の入りを見ていたら6時少し過ぎに日が沈んだ。去年と同じくらいだった。去年は、それからだんだん日が長くなり、夏至の頃には7時前まで日が沈まず、その後は逆にどんどん日没が早くなって冬至の頃は5時前に日が沈み、新年になって又だんだん日が長くなって桜の季節になった。
夕日を見ながら、そういえば一年がたったなと思った。

お花見

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 今年は天候に恵まれたので、満開に近い桜が一週間長持ちした。
 お花見の最後に遠出して、今日は京都に行った。三条大橋から鴨川沿いに歩いていって、まず賀茂大橋から二手に分かれた左手の半木(なからぎ)の道を行き、それから右手の高野川沿いに行ったが、ここの桜が今年一番だった。
 青空の下、遠くの山を背景にして満開の桜の花吹雪が水面にひらひらと散りかかるのは思わず見とれてしまう光景だった。平日で、人もあまりいないのも良かった。
 もちろん「花は盛りに月はくまなきをのみ見るものかは」のとおり、桜は咲き始めでも葉桜でも、曇りでも雨でも、それぞれに趣がある。けれど、青空に映える満開の桜は華やかだし、うららかな日差しの下で花びらが降りかかれば心が浮きたつ。月並みだが、やはり年齢性別を問わず楽しめる日本の春の風景だ。

ウィリアム・モリス展

 19世紀イギリスの工芸美術家、思想家のウィリアム・モリスのステンドグラスと壁紙などの展覧会に行った。
 産業革命による機械文明に対抗して「Gothic Revival」を唱えたモリスは、商会をつくりイギリス各地の教会のステンドグラスを製作した。その複製が暗い部屋にバックライトを当てて展示してあって、なかなかよかった。
 また、すみずみに神経が行き届いた壁紙、カーテン、敷物、暖炉の装飾タイル、椅子、ランプが配置されたコーナーがあったが、これだけそろうと、さすがに素敵だった。
 壁紙の模様は、ヤナギ、ヒナギク、ダフォディル、イチゴなど、イギリスの植物を題材にしたものが多かった。会場の外は、桜が満開だったが、彼が日本にいたら、きっと桜の壁紙もデザインしたのではないかと思った。
 

フルートの音色

モーツァルトのフルート協奏曲第2番二長調を聴いた。フルートは、指揮者の佐渡裕が30年前来日時にサインをもらったというスイス生まれのベーター=ルーカス・グラーフ。
80歳の奏でる音色は、枯れた味わいの優しいひびきで、オーケストラも「協奏」と言うより、バックアップするような感じだった。

IKEA

 スウェーデンのお店、IKEAに行った。広々としていて、入ったとたんに日本とは違うにおいがした。キッチン、ベッドルーム、こども部屋、リビングなど実際の部屋が、それぞれ違うカラフルな色調でつくってあったが、もともとシンプルな北欧デザインが好きなので、家具やキッチン用品など見ているだけでも楽しかった。ただし、ぬいぐるみの顔は、かわいいというより、どうかなあ?というものもあった。そこがお国柄だろう。
 とにかく広くてたくさんあるので実際に買うのは大変そうだが、とりあえず小さな敷物を買ってみた。最後に、レストランでミートボールとサーモンパイを試してみた。これも一味違っていて日本なのに海外のような気分になった。