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芸術の秋

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まず、京都の「鳥獣戯画と高山寺(こうさんじ)」展。
修理完成記念ということで、兎や蛙や麒麟などの動物から、人間までがいきいきと描かれた絵巻の絵が鮮やかだった。
技術と熱意と根気がなければ修理などできないと思った。

次は、奈良の「第66回正倉院展」。
今年は、聖武天皇の愛用品が出品されていた。
「鳥毛立女屏風(とりげ りつじょのびょうぶ)」は、気品あるふくよかな美女が描かれている。衣にヤマドリの羽が貼られていたそうだ。
「鳥獣花背方鏡(ちょうじゅうか はいの ほうきょう)」は、一辺が17センチほどの大きさで、銅やスズの合金で作られている正倉院唯一の四角い鏡。つまみにした獅子をはじめ、鳥や獣や花が背面に彫られている。
「紫檀木画挾軾(したん もくがの きょうしょく)」は、長さ111センチ、高さ34センチほどの肘つき台。草花や鳥などが、金銀で細かく描かれている。
前に置き、両肘をついて使ったというのが面白い。
「御床(ごしょう)」は、ヒノキ製のベッド。上に畳と敷物を置いた。

はるか昔、8世紀後半の歴史上の人物である聖武天皇が、木のベッドに寝て、両肘をついて美人の絵を見ながらくつろいでいたかと想像すると、ほんとうに生きていた人なのだなあと納得させられる。

最後は「大古事記展」。
古事記に登場する古い神社、天理市の「石上神宮(いそのかみじんぐう)」の国宝、「七支刀(しちしとう)」が展示されていた。六つの枝が出ているような刀で、「太和四年」(369年)その他の銘文が刻まれている。

屋根瓦のふき替えなどの大修理が終わった正倉院の建物も見に行った。木々の紅葉が始まっていて青空に映えていた。

「万作萬斎狂言公演」

・成上がり・・・鞍馬寺に参詣する主人の供をする太郎冠者。預かった太刀をすっぱ(スリ)に盗られてしまい、物が変わる「成上がり」の話でごまかそうとするが叱られる。主従で、すっぱを捕まえようとするが・・・?
軽妙で楽しい演目だ。

・川上・・・吉野の里に住む盲目の男が、霊験あらたかな川上の地蔵に参詣し、見事目が開くが、その条件が「悪縁の妻を離別すべし」というもの。帰宅した男は、問答の末、妻と連れ添い続けようとすると、また目が見えなくなってしまう。
笑うところがない狂言を初めて観た。台風接近という外の喧騒を忘れさせる静かで味わい深い作だった。

・茸(くさびら)・・・屋敷中に茸が生えて困った男が、山伏に祈祷を頼む。ところが、祈祷のたびに人間大の巨大な茸が増えてくる。
色とりどりの傘をかぶった茸が、ひょこひょこと増えてきて笑わせるが、少し怖くなってくる。茸の動きは、厳しい修練あってのものだろう。

皆既月食

昨夜は皆既月食だった。午後7時半頃、空を見上げたら、黒っぽいオレンジ色に輝く満月があった。曇り空の時とは全く違う不思議な雰囲気の月だった。

夜半の台風の翌朝、大きな虹が出た。
ノアの箱舟の洪水の後の虹を思い出した。

柳行李

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昭和初期の柳行李。数十年の間、押入れの片隅で着物を埃からも湿気からも守っていた。

四国の東南端、室戸岬

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初日は、和歌山港から徳島港へフェリーで渡り、鳴門市の四国霊場札所第一番霊山寺(りょうぜんじ)へ。

翌日は、徳島市からJRと阿佐海岸鉄道とバスを乗り継いで室戸岬へ向かった。
(弘法)太子像前から第二十四番最御崎寺(ほつみさきじ)までの「へんろ道」はお遍路さんの気分。
そこから近い灯台を見て戻り、岬の先端の遊歩道へ出てから、バスと土佐くろしお鉄道を乗り継いで高知市に。
とにかく遠かった。

最終日は、路面電車で御免(ごめん)駅に行き、また電車で東に戻り安芸(あき)市の野良時計を見て、高知空港からプロペラ機に乗った。

北陸の旅

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曹洞宗の大本山、福井県の永平寺。
富山県富山市、常願寺川(じょうがんじがわ)の有峰(ありみね)ダムにせき止められた有峰湖。
石川県金沢市の兼六園と21世紀美術館。
最後は、近江町市場(おうみちょういちば)の海鮮丼。

ホルン

ホルンは、3メートル以上の長い管がぐるぐると巻かれているので音域が広い。
元々は狩の合図に使われた角笛からきているので、右手に馬の手綱を持つため、左手で操作する。
朝顔のように開いた先端に右手を入れて音程や音色を変える。

世界で一番演奏が難しい金管楽器といわれるが、教会の聖堂によく似合う優しい音色だった。

「はらぺこあおむし」の性別は?

絵本「はらぺこあおむし」のフランス語版、ドイツ語版を見たら、「あおむし」は女の子だった。「あおむし」が女性名詞だからだろう。

元々の英語版では、「あおむし」は男の子だが、日本語版では、そもそも性別がない。言語によって違うのが面白い。ところで、「あおむし」の時から性別があるのだろうか?

「はらぺこあおむし」(偕成社)

ホタテ貝

ホタテ貝は、帆を立てたように見える形から、その名がある。

一方、西欧宗教絵画では「豊穣」の意味を持ち、よく登場する貝だが、その英語名は「St.James shell」、つまり「聖ジェームズの貝」というそうだ。ジェームズとは、キリストの12使徒の一人、ヤコブの事で、つまり「聖ヤコブの貝」になる。

スペインのサンチアゴ・デ・コンポステラには、ヤコブの墓があるといわれ、遥か昔、その地への巡礼者は、ホタテ貝に紐を通して首に下げて行ったという。元々は、この貝をお皿の代わりにしたとか。

サンチアゴの「サン」は「聖」で「チアゴ」は「ヤコブ」で、つまり「聖ヤコブ」になる。聖ヤコブの墓がある場所だから、地名にその名がつき、その旅に持参した貝だから、その名がついたらしい。