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「Lentil」

くちびるがすぼまって酸っぱそうな顔になる食べ物というと、日本では、まず梅干だが、アメリカではレモンのようだ。

1930年代のアメリカ中部オハイオ州の小さな町。町一番の名士が久しぶりに帰郷するので、歓迎する町中の人々が駅に集まった。ブラスバンドがまさに演奏しようとしたとき、嫌われ者のじいさんが、屋根の上でこれみよがしにレモンをすすって見せたので、楽団員のくちびるがすぼまって楽器が吹けなくなってしまった。さあ大変!

この危機を救ったのが、少年レンティルだった。彼は、音楽が好きなのに歌うことができず、くちびるをすぼめることができないので口笛も吹けなかった。そこで、お金をためてハーモニカを買い、毎日練習していたのだ。

ハーモニカを吹きながら歩くレンティルと町の様子、また人々の表情が生き生きと描かれていて楽しい絵本だ。

'Lentil' by Robert McCloskey(1940)

観梅

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今年は寒かったが、さすがに梅の季節になった。楚々とした風情の白い花や、濃いピンクの華やかな中国風の花など色々な種類があって楽しかった。

雛祭り

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もうすぐ雛祭り。都合により早めにお祝いをしたが、今年もお雛様が春を連れてきた。

生姜林檎ジャム

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生姜と林檎を摩り下ろして砂糖と混ぜてことこと煮たら、ジャムが出来た。パンやヨーグルトに合うし豚肉料理にも合いそう。

bricks and mortar

イギリスの有名な伝承童謡に「London Bridge is broken down」というのがある。
ロンドン橋が流れてしまうので、wood and clay(木と粘土)、bricks and mortar(レンガとモルタル)、iron and steel(鉄と鋼)、silver and gold(銀と金)と色々な材料で架け替えた挙句に見張りを立て、見張りが夜中に寝てしまわないようにパイプを吸わせてやっと橋が架かったという歌だ。実は、この見張りというのは人柱であるらしい。陽気なメロディの底に暗い歴史が潜んでいる。

「bricks and mortar」というと古めかしい感じがするが、なんと最近では「インターネットを使わない昔ながらの書店」を「bricks-and-mortar bookstores」というそうだ。

大儺之儀(だいなのぎ)

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 今日は節分。京都の平安神宮では、平安朝の宮中行事、追儺(ついな)の古式を復元したという大儺之儀(だいなのぎ)が行われた。平安朝の殿上人に扮した人たちの中に、お面を被り盾と矛を持った人がいた。これは鬼を追い払う役目の方相氏(ほうそうし)で、「鬼やろう!」と三度叫んでから境内を回った。儀式の後は、登場人物たちがのどかに記念写真を撮っていた。
 八坂神社では、福引券付きの豆を売っていた。節分は、鬼が恐怖だった平安朝と違って楽しい行事の一つだが、「鬼」という姿に擬人化して追い払いたい災厄は今も沢山ある。

今しばし・・・

「今しばし しばしとかぶるふとん哉」という小林一茶の句がある。二百年以上前の江戸時代の人なのに、「まったく同感!」と親近感を抱く真冬の朝だ。

「セロひきのゴーシュ」

宮澤賢治の「セロひきのゴーシュ」は好きな話の一つだが、ふと題名が気になった。セロは、チェロ。オーケストラのチェロ奏者というと颯爽とした燕尾服姿が思い浮かぶ。ゴーシュは、「左」また「ぶきっちょ」という意味もあるフランス語。フランス語の名を持つチェロ奏者なんていうと、ちょっとお洒落な雰囲気で、ネコを相手にごうごう「インドの虎狩り」を弾くゴーシュとは全く違う感じなのが面白い。

「Little White Horse」

孤児になった Maria は、英国南西部の美しい谷、Moonacre で、自分の先祖の Moon Princess にまつわる謎を解決する使命を果たし、すべてを幸せにする。

昼間は、ピンクのゼラニウムと、Marmaduke の作るおいしそうな料理に代表され明るく色彩豊かだが、夜は、黒と銀色の神秘的な世界に描かれる。

「daffodils(ラッパスイセン)が、月の魔術で金色を奪われ、細い銀の茎の上に銀のラッパを掲げている」という風景の中を不思議な白馬が駆けていく。

「Little White Horse」by Elizabeth Goudge 1946

早朝の月

一月十日朝六時に起きたら、西の上空に満月が浮かんでいた。東の空や天頂にある時よりも近く大きく見え、濃紺の空を照らす光はとても明るく力強かった。