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「Lentil」

くちびるがすぼまって酸っぱそうな顔になる食べ物というと、日本では、まず梅干だが、アメリカではレモンのようだ。

1930年代のアメリカ中部オハイオ州の小さな町。町一番の名士が久しぶりに帰郷するので、歓迎する町中の人々が駅に集まった。ブラスバンドがまさに演奏しようとしたとき、嫌われ者のじいさんが、屋根の上でこれみよがしにレモンをすすって見せたので、楽団員のくちびるがすぼまって楽器が吹けなくなってしまった。さあ大変!

この危機を救ったのが、少年レンティルだった。彼は、音楽が好きなのに歌うことができず、くちびるをすぼめることができないので口笛も吹けなかった。そこで、お金をためてハーモニカを買い、毎日練習していたのだ。

ハーモニカを吹きながら歩くレンティルと町の様子、また人々の表情が生き生きと描かれていて楽しい絵本だ。

'Lentil' by Robert McCloskey(1940)