アラビア製ムーミンのマグカップにコーヒーを入れ(個人的趣味で泡立てたミルクをたっぷり注いで)、ブルーベリー入りクッキーを添えれば、気分はフィンランド。
北欧にあるフィンランドは森と湖の国。白地に青十字の国旗は雪と空を表しているそうだ。日本と同じくらいの国土に東京都の半分くらいの人口。教育水準が高く高福祉、ハイテクの国。治安がよく水道水がおいしい。だが、ロシアとスウェーデンの二つの大国に挟まれたその歴史は平坦なものではなかった。
朝日新聞「天声人語」の元執筆者、深代惇郎の昔のエッセイを読んでいたら偶然フィンランドが出てきた。1970年代、フィンランドは、ヨーロッパ諸国と経済的結びつきを強めながらも、東欧のように共産圏に飲み込まれることを恐れて当時のソ連の了解を取りつけることを第一に外交努力を続けていたそうだ。過去の例からソ連が攻めてきても西欧諸国は絶対に助けてくれないことが分かっていたからだ。当時「フィンランド人一人は、ロシア人十人に匹敵する」「じゃあ十一人目はどうするんだ?」という小話があったそうだ。
時は流れてソ連は崩壊し、フィンランドはEUのメンバーとなり平和な日々を迎えた。それにしても、外国がすべて「海外」である日本人は、大国と国境線を接する恐ろしさが理解できないとつくづく思う。ついでに、ムーミンが可愛いだけのキャラクターでないこともなかなか理解できない。