寝ぼけながら真っ暗な階段を降りていた。一番下の段を降り廊下に着いたと思って歩き出したら、まだ残っていて、ものの見事にバランスを崩して落ちた。落ちた瞬間はよく覚えている。下に固い床があると信じ込んでいたのに、足がふわっとした空気のかたまりを踏んで一瞬からだが宙に浮き、ああ倒れているなと他人事のように思いながら倒れていくと、次の瞬間どさっと音がして床にぶつかって痛くて目がさめた。後から考えてみると、戸口の角にぶつからずに前方にばったり倒れこんだので、かすり傷と打ち身ですんだのは幸いだった。家の中でこんなにスリルを味わうとは思わなかった。