「梟山伏」(ふくろやまぶし)」という狂言がある。
フクロウのように「ホーホー」と啼く病気にかかった患者を治そうと山伏がよばれるが、このフクロウ菌は強力で、折伏どころか周りの人も感染し、ついには山伏も感染してしまう。
「ホーホー」という鳴き声と仕草が面白くて舞台を見たときは笑ったが、医療従事者も感染している現状では笑えない。
14世紀の室町時代に確立した長い歴史を持つ狂言の乾いた笑いの裏には、いくさ、疫病など厳しい現実があり、それらを乗り越えて笑いに変える強さとしたたかさが含まれているのだろうと思った。