記事一覧

中身は空っぽ

南仏出身のパン屋さんのお店で「シューケット」というお菓子を見つけた。丸くてサクサクしてとても美味しい。食べながら、これは「大草原シリーズ」の「vanity cakes」だと思った。

「大草原シリーズ」は、作者ローラの子ども時代の経験を元にした19世紀半ばのアメリカ開拓者の生活を描いた作品である。決して豊かではない厳しい生活だが、ローラの母さんは色々工夫して美味しい料理をつくってくれる。たくさんの学校友だちを招いたときのおもてなしが、この「vanity cakes」だった。これは、卵を泡立て小麦粉と混ぜて一口大にしてこんがり油で揚げたもので、甘くはないが「Rich and crisp」そして中は空っぽと書かれている。
「虚栄心(vanity)のように、膨らんでいるけれど中身は空っぽ」という名前も面白い。遊んだ後で、搾りたてのミルクを添えたこのおやつはとても美味しかったことだろう。

"On the Bank of Plum Creek" by Laura Ingalls Wilder, 1953