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光の春

二月は「光の春」。立春を過ぎると、寒いけれど、日ごとに日差しが暖かく、また夕暮れが遅くなり、春が待ち遠しくなる。毎年、早めにお雛様を飾る。部屋が、ほんのり華やいで春めいた雰囲気になる。今年は記録的な暖冬なのでなおさら春が近いが、春を「待つ」ところが、いい。春だけではなく、何でも「待っている」ときが一番いいのかもしれない。

ヤロー

一足先に春たけなわだった沖縄名護のハーブ園に、「ヤロー」という花があった。どこかで聞き覚えがあるなあと思ったら、「A Wizard of Earthsea」(ゲド戦記「影との戦い」)の主人公、Gedの親友Vetch(カラスノエンドウ)の妹が、Yarrowという通称だった。日本語では「ノコギリソウ」という訳で、どんな花か見当がつかなかったが、紫色の小花が集まった可憐だがたくましい野の花という感じだった。昔から薬草として使われていたらしい。トロイア戦争に、アキレウスが止血剤として持っていったとホメロスが書いているそうだ。

沖縄

久しぶりに沖縄へ行った。那覇空港から首里まで「ゆいレール」という二両編成の可愛いモノレールが通っていた。まず、見事に整備された首里城公園と、王家の別邸だった識名園(しきなえん)に行った。名護城址公園では、日本一早い桜祭りをやっていた。こちらの桜は、ヒカンザクラといって桃色が濃くてかわいい。
それから、かりゆしビーチに行った。明るい青色の空の下、白い砂浜の向こうに、手前がエメラルド・グリーン、沖がコバルト・ブルーの海が続く。日中は半袖でもいいほどの暖かさで、南国ののびやかな雰囲気に心ものびのびする。
沖縄の楽しみは食べ物。まずゴーヤ・チャンプルーと、ヘチマの味噌煮と、ソーキそば。それから小ぶりのオレンジに似たタンカンを買ってみた。外皮が汚い方が熟しておいしいそうだ。丸いドーナツ、サーターアンダーギーの揚げたても、うっちん茶によく合って、おいしかった。「うっちん」はウコン、つまりターメリックのことで、カレー風味のお茶だ。空港で食べたサトウキビ味のブルーシール・アイスクリームで以上終わり。

チョコレート

チョコレートが目につく季節だ。私は、チョコレートはあまり好きではないが、秋の夕暮れ、ストックホルムのカフェで飲んだホット・チョコレートは実においしかった。あちらの湿気が少ない気候によく合っていたのだろう。日本では、世界中の食物が輸入されているが、やはり現地で味わうのが一番だと思う。

グリーンスリーブス

「Greensleeves」は、16世紀のイギリス、エリザベス一世の時代に流行したという古い歌だが、きれいなメロディーで今も演奏される。
ある男性が、「緑の袖のドレスが似合うあなたへ」と呼びかけて、恋する女性への想いを歌うもので、そのロマンティックな雰囲気をうまく作品に取り入れているのが、Alison Uttleyの「A Traveller in Time(時の旅人)」だ。
ところが、原詩を調べてみたら、「上等なスカーフ、最高級のペチコート、宝石、金の縁どりの絹の上着、真珠を飾った金のベルト、真っ赤な絹の靴下、真っ白な靴、袖がふわっとした緑のドレス、金の房飾りがついた靴下止め、それに馬に、召使」など、贈った物を、こと細かに並べたてた挙句、「こんなに散財したのに、それでもあなたはふりむいてくれない」という、なんだか現実的な歌だった。

フクロウ

フクロウを見た。こんなにたくさん近くで見るのは初めて。もこもこして愛嬌がある姿だが、ネズミや小鳥など小動物を食べる肉食動物。触るととてもやわらかいが、毛皮でなく羽なので、やっぱり鳥だ。ころっとした姿に似合わず音を立てずになめらかに飛ぶのに驚いた。さすが夜の狩人。甘えて鳴くのはギャオという感じで、いわゆるホーホーと鳴くのは警戒しているとき。またミミズクは、羽がネコの耳のように逆立っているだけでフクロウと同じ仲間だそうだ。screech owl(コノハズク)、barn owl(メンフクロウ)tawny owl(黄褐色)そして、Hedwigのsnowy owlと、いろいろな種類がいて、まるでHarry Potterの HogwarsのOwleryにいるようで楽しかった。

1・17

今年は亥年。12年前の今日、阪神大震災が起きた。当時の小学二年生が成人式を迎えるくらい月日が経った。今日がおだやかな日でありがたい。
世界の歴史の年表に並ぶ無味乾燥な年号と事件も、起こった当時は、それぞれが、たくさんの人々が生々しくかかわったできごとだった、とふと思う。今のこの時代も、将来は歴史の一こまになるのだが。

バイオリン・コンサート

大ホールの四階まで満員の聴衆二千人。照明が消えると客席のざわめきが静まり、演奏を待ち受ける張りつめた沈黙が満ちる。次の瞬間、真っ暗な舞台にスポットライトが当たった演奏者が浮かび上がり、パガニーニの奇想曲を弾き始める。
高木和弘のバイオリンを聴きにいった。パガニーニの奇想曲5番と24番、サン=サーンスのワルツ・カプリス、ワックスマンのカルメン・ファンタジーなどキラキラした曲ばかり。
中でもショーソン作曲「詩曲」というのは、親友の妻に恋焦がれる音楽家が、旅の途中、中近東で妖術を習い、それを曲にして妻を寝取った挙句、夫に刺し殺される、というツルゲーネフの小説を曲にしたものだそうだが、これまた派手なもの。
さいわい、演奏者の軽妙な曲目解説のおかげで楽しく聴けた。
演奏が終わって外に出るとどんよりした雨模様。「妖術」にかけられて楽しんだひとときだった。

コルデコット

ランドルフ・コルデコットは、19世紀後半のイギリスの絵本作家。イギリス伝承童謡の話をふくらませて楽しい絵本にした絵本作家の先駆け。その絵は華やかではないが、じっと眺めていると、おもわずにこっとしてしまう。彼にちなんで、毎年アメリカで優れた絵本画家に与えられる「コルデコット賞」が設けられている。

成人の日

強風と吹雪で大荒れの前日とは打って変わって穏やかな晴天の一日だった。
「成人の日」は、試験などなくすべての人が二十歳になれば無条件に祝われるという点で、最近めずらしい儀式かもしれない。二十歳といっても学生が多く、一人立ちしている人はごく少ないだろうが、親にとっては、区切りのいいこの年まで子が成長したことに感慨深いものがあるだろう。着慣れないスーツや華やかな振袖をまとって晴れやかな本人たちは、将来、この日をどんな風に思い出すのだろう。