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お豆腐狂言会

 桜がほぼ満開に近い日に、豆腐のように誰からも愛され飽きが来ず味わい深いという意味で「お豆腐狂言」と名乗る茂山一門の「春爛漫:茂山狂言会」を観た。
 演目は、都に年貢を納めに行った筑紫と丹波の百姓が、笑う競争をするはめになる「筑紫の奥(つくしのおく)」、主人の恋文を運ぶ途中で破ってしまい焦る太郎冠者と次郎冠者の「文荷(ふみにない)」、そして、珍しく有名人の主人公、在原業平が道中の茶屋で、餅の代価に不細工な娘を押し付けられ右往左往する「業平餅(なりひらもち)」。
 最後の演目は、茂山千作から、双子のひ孫までの四代が共演するというもので、楽しいと同時に未来へ続く伝統を感じさせられた。

薬師寺

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奈良の薬師寺は、広々とした敷地にゆったりと建物が建っている。その中心となる東塔は、1300年前に建てられたものだ。薄墨桜の満開を過ぎた散り加減が、その花の色の落ち着いた雰囲気に合っていた。

平山郁夫が描いた玄奘三蔵の旅をたどる「大唐西域壁画」は、天井に星空が描かれていたが、作者独特のラピスラズリの群青色が印象的だった。

しまなみ海道

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広島県の三原から船で生口島(いくちじま)の瀬戸田に渡る。ここ出身の平山郁夫の美術館には、小学一年生からの画が展示されていた。

日の光にきらめく青い瀬戸内海を眺めながら、島々をつなぐ橋を渡っていく。途中の因島(いんのしま)は中世に活躍した村上水軍の本拠地の一つ。ミカンより大きく色も薄い柑橘類があちこちに実っている。

終点の尾道は、中世に寺町として栄え、近世には北前船の港として栄え、近代には商取引で栄えたそうで立派な商工会議所が残っている。商店街を歩いていくと片側に山と寺が見え、反対側に海と島が見える。狭い横道は階段が多く、家々の間から細い海が見渡せる。至る所が映画のセットのようにこぢんまりした絵になる風景だ。

春の瀬戸内海は明るく親しみやすく穏やかだった。

いかなごのくぎに

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 兵庫県の瀬戸内に面した地方の今頃の名物が「いかなごのくぎに」だ。「いかなご」というチリメンジャコの親分のような小魚を、生姜とともに酒、砂糖、醤油で甘辛く煮たもので、出来上がりが茶色く錆びた釘のようなので「釘煮(くぎに)」というらしい。最初に聞いたときは意味が解らず何かの呪文のような不思議なことばだと思ったものだ。
 思いがけず珍しい「いかなご」が手に入ったので「くぎに」に挑戦してみた。基準量が1Kgなので作るにも覚悟を要する。煮ている匂いが部屋中に満ちて翌日まで残った。

「Percy Jackson & the Olympians」

ニューヨークに住む少年パーシーは、実は海神ポセイドンの息子で水を操る力を持つ。

神々が住むオリュンポスの山がニューヨークの上空にあり、ポセイドンはアロハシャツにバミューダショーツで現れ、酒神デュオニッソスはダイエットコークを手にする。ギリシア神話の神々や怪物がアメリカのテーマパークの登場人物に貶められてしまった。

「稲妻」「予言」「half-blood」と「Harry Potter」シリーズを想起させることばがあるが、アメリカ的に翻訳されているものもある。例えば「Hogwarts」校はサマーキャンプの「Camp Half-Blood」で皆Tシャツとジーンズ姿だ。(「Harry Potter」でも思ったが「half-blood」は日本語ではどうなるのだろう?) ファーストフードやクッキーが主で食べ物に魅力がないのもアメリカ的か。

魔法使いとではなく、神々と人間との間の「half-blood」の子どもたちは、ADHDとdyslexiaの学習障害を持っているが、実はそれは人間以上の能力があるのが裏目に出ているのだということになっている。
また、悪の根源は神々の父クロノスで、パーシーは愛する家族や友人を守るために敵と戦う「hero」になっていく。すべてが判りやすく説明されるハリウッド映画の世界だ。

ちなみに、トヨタとホンダの他には、敵の子分が日系の名前だった。

・・・とケチをつけつつ最終5巻まで読んでしまった。アメリカの地理の勉強にはなった。

(「Percy Jackson & the Olympians」Rick Riodan著)

雛祭り

一ヶ月近く前、お雛様を出したときは暦の上では「立春」を過ぎたとはいえまだ冬だったのが、今日は日差しも春めいて外の桜のつぼみも膨らんできた。お雛様が春を連れてきたようだ。

古代カルタゴとローマ展

殖民都市カルタゴは、今から2800年ほど前、地中海の北アフリカ側、現在のチュニジアに、シリアあたりに興った海洋民族フェニキア人によってつくられ、海上交易で栄えた。200隻以上収容できる軍港も持っていた。地中海の覇権を新興国ローマと争い、紀元前3世紀のポエニ戦争では名将ハンニバルが一時ローマを破ったが、その後、滅ぼされた。

この時代の展示品からは、ギリシア、エジプト、フェニキアと様々な文化が混じっていたのがうかがわれる。ハンニバルの軍関連の遺物という鎧には、厳しい顔つきの女神アテナが浮き彫りになっていた。石柱に刻まれたフェニキア文字は流れるような筆跡のものもあった。

いったん滅ぼされたカルタゴは、それから100年後、ローマ帝国の要衝都市としてよみがえり再び繁栄した。

この時代は、専門の工房で作られた芸術モザイクが発達し、富裕な邸宅や公共の建物に飾られた。その中に、なんとヘビの頭を持ち見た者を石にする怪物メドゥーサの図柄があった。豊穣と厄除けだそうだが、あまり部屋に飾りたくはない。三叉の鉾を持ちヒポカンプス(海馬)に乗った海神ポセイドンの周りには様々な魚とともにアヒルが描かれていた。海辺の生物に含まれていたらしい。狩猟の図柄は、落馬するところも生き生きと描かれていた。

ローマの手ごわい敵としてでなく、カルタゴを中心とした展示会は初めてだった。古代カルタゴの豊かさと繁栄がよく分かったと同時に、ローマ帝国の広がりと影響力もあらためて感じさせられた。

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やっと暖かくなってきたので梅を見に行った。色は、緑がかった白から濃紅まであり、形も一重から八重まで様々だ。花一輪だと桜より梅のほうが華やかなものが多い。「楊貴妃」は、その名の通り中国的な桃色の八重だが老木だった。一本一本、早咲きから遅咲きまで咲き具合も枝の曲がり具合も違って個性的だった。

寒い朝

寒くて朝起き上がるのが辛い。こんなときに思い出すのは、アメリカの開拓者生活を描いたLaura Ingalls Wilderの「By the Shores of Silver Lake」の中で、ローラが朝起きると布団の上に雪が積もっていたという場面だ。それも四月に。それよりはマシだと思ってがんばることにしている。

「The Fairy Caravan」

インチキ毛生え薬を飲まされて毛が伸びすぎたguinea-pigのTuppenyは、highland terrierのSandyとPony Billyが率いる小さな旅回りのサーカスの一行に巡り合う。このサーカスがやってくると、虫食いの葉っぱのようにみえるお知らせが配られ、農場や森や草原に住む小動物たちがやって来て胡椒粒の代金を支払って出し物を楽しむ。

サーカスの一行は、魔法のシダの種を見につけているので人間には見えない。そして動物たちの話には、見えないけれど森の奥にいるfairyの話が出てくるし、森は恐ろしさも秘めている。見えないところに奥深い魅力がある。

ポニー、犬、豚、猫、羊など、それぞれが生き生きとして個性的だ。作者のBeatrix Potterが、「まわりにいる動物たちが、どんなことを話しているのかしら、私のことをどう見ているのかしら・・・」と想像して楽しんで書いたのがよくわかる作品だ。