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お気に入りの画

窓から山と空が見える。今朝は、山の稜線がはっきりして、うす雲がたなびく秋晴れの風景。季節と時刻によって刻々と色合いが変わる。
どんなに美しいときでも、保存しておけないのが残念。

「豆になりたくない!」

春にロンドンで買ってきた絵本。パステルカラーの絵が明るく楽しい。

カバのHugoと、小鳥のBellaが、「昔話の仮装パーティー」に、どんな役で行くか相談している。

「お姫さまと豆」(Princess and the Pea)では、ベラは豆になりたくない。
「人魚と岩」では、ヒューゴは岩になりたくない。
「王様と道化師」では、ベラは道化師になりたくない。
「シンデレラとカボチャ」では、ヒューゴはカボチャになりたくない。

喧嘩した二人は、それぞれ反省し、二人とも最初の話のお姫さま役を相手に譲ることにする。二人とも「豆」役になり、
"And we're two peas in a pod"で、めでたしめでたし。

「Princess and the Pea」の元は、アンデルセンの「布団を何枚も何枚も重ねた下のエンドウ豆が気になって寝られなかった『本物のお姫様』」のお話。
「pea」の使い方が面白いが、「two peas in a pod」は、日本語では「うりふたつ」なので、豆でなく瓜だ。

"I don't to be a pea!" by Ann Bonwill & Simon Rickerty, Oxford University Press

奈良県北部の旅

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奈良県北部の信貴山(しぎさん)は、巨大な張り子の虎と、絵巻で有名なお寺。電車とケーブルカーとバスとを乗り継いで「行った」というより「登った」といった方が相応しく、着いてからも石段ばかりだった。

翌日は、奈良市街地からバスで一時間程の柳生(やぎゅう)の里に行った。徳川家康に仕えた剣術家、柳生宗矩(やぎゅうむねのり)らの出身地。
天立石(あまのたていし)神社は、天岩戸(あまのいわと)の破片が飛んできたとかいう巨石を祭ってあった。
奈良市内なのに、緑の山に囲まれ、車もめったに通らないので夏のセミと秋の虫の音が水のせせらぎに混じって聞こえ、モミジの枝が色づき始めていた。

ツクツクボウシ

涼しい夜風のなか、木の上でツクツクボウシが元気に鳴いていた。夏の終わりを感じさせるセミなので一か月遅いが、遅まきながら行く夏と来る秋が一緒になっていた。

花形狂言

茂山家の若手5人による創作狂言を見た。
前半は、伝統狂言らしくしてあったが、後半の3本は、警備員や黒スーツに黒メガネの泥棒が登場し、「それがしは・・・」としゃべっていた。狂言特有の軽妙で乾いた笑いは、創作ものにも共通していた。

踊らないdance

10歳の少女、グリゼルダは、110歳のひいばあちゃんと二人で暮らしている。グリゼルダというのは、この家に代々伝わる名前だ。彼女は、ひいばあちゃんのグリゼルダが寝るときに子守唄を歌ってあげる。その歌は、初代グリゼルダのために書かれ、代々伝わってきたものだった。

その歌詞は、"And I Dance Mine Own Child!"。

「dance」には、「(赤ちゃんを)揺すってあやす」という意味があるので、直訳すれば「私の赤ちゃんを揺すってあやしてあげる」。

グリゼルダとひいばあちゃんは、この歌が手書きで書かれていた代々伝わる本のおかげで幸せに暮らせるようになる。
しっかりものでけなげなグリゼルダと、ひいばあちゃんのやりとりがほのぼのと楽しい。挿絵がぴったり。


'The Little Bookroom' by Eleanor Farjeon, illustrated by Edward Ardizzone

私は誰?

「私が私であることを証明するには如何にすべきか?」
哲学の問題のようだが、市役所や銀行で身分証明書を忘れるたびに持ち上がる難問である。

夏の港

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8月も末なのに真夏の暑さが続く。照りつける太陽と、その光を跳ね返す海。どちらも強い。

「眠りながら縄跳びをするエルシー・ピドック」

少女エルシーは、生まれながらに縄跳びの名手。その噂を聞きつけた妖精にも認められ、夜に眠りながら、いろいろ不思議な技を教わった。けれど成長して、子ども用の縄が短くなったとき、不思議な跳び方はできなくなってしまった。

その後、百年以上の月日が経ったとき、村の子どもたちや妖精たちが縄跳びを楽しんでいた丘に、悪い領主が工場を建てようとした。そこに現れたのはエルシー。年老いて小さくなり、再び子どもの頃の縄が使えるようになった彼女は、夜、眠りながら不思議な跳び方を駆使して悪い領主に立ち向かう。

月を跳び越える「High Skip」、地中深く潜る「Strong Skip」など、色々な跳び方に合わせた縄跳び歌が調子よくて楽しい。ファージョンらしい不思議な雰囲気のお話。


"Elsie Piddock Skips in her Sleep" by Eleanor Farjeon

鰻丼

夏は鰻の季節。大好物というわけではないが、決まった店で一度は食べなくてはいけない気になる。

その店は、夕方五時になると暖簾がかかり、店の外まで蒲焼きの香ばしい匂いが漂っていた。丼や長焼きの他には、鰻巻き(うまき)を頼んだ。一人ずつラッキョウを添えた熱々の厚い一切れの後、残ればお土産になった。

小さいころは背伸びすると調理場が見えた。職人さんが、串を打った鰻を炭火で焼きながら、時々タレにどぼんと浸していた。そのとなりでは、溶いた黄色い玉子汁を四角い鉄の鍋で調子良くひっくり返しながら焼いていた。それが「うまき」つまり「鰻入り出し巻き」だと気がついたのは、かなり後だ。

一緒に行く家族も状況も変わったが、店の味は変わらない。これが伝統の店の良さだろう。