奈良市の美術館に行った。松伯美術館の「女性たちの物語」展では、上村松園には珍しく怨念を秘めた女性を描いた「焔(ほむら)」、オフィーリアを思わせる狂女を描いた「花がたみ」、そして凛として美しい「序の舞」などの下絵が展示されていて、何度も紙を貼り重ねて推敲した跡を見ることができた。
大和文華館の「水墨画」展では、可翁の「竹雀図」、雪村(せっそん)の「呂洞賓図」(賓【ひん】は「うやまう」という意味らしい)その他を見た。後者は、仙人が龍に乗っているところを描いたもので漫画の元祖という感じがした。
中野美術館では、村上華岳の「踊れる少女」、佐藤忠良のブロンズ像「若い女、夏」、高村光雲の木彫の「西王母」その他を見た。
どの美術館も、趣向を凝らした建物が緑の木立の中にあった。