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天竜浜名湖鉄道

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 静岡県西部を走る通称「天浜線」に乗った。
 始発駅は「新所原(しんじょはら)」。小さな駅に美味しそうな鰻の匂いが漂っていた。そこへディーゼルカーが一両やってきた。白い車体にオレンジと緑の横線は、特産の「三ヶ日(みっかび)ミカン」を連想させる。
 しばらくすると浜名湖が見えてきた。奥浜名湖と言われる湖の北端に沿って走っていくと、色づき始めた蜜柑畑や、鮮やかに色づいた柿が目についた。このあたり特産の「次郎柿」だろう。
 田畑の中をトンネルをくぐりながらゴトゴト走っていき、一時間程すると内陸に入り天竜川を渡って「天竜二俣(てんりゅうふたまた)」に着いた。ここは昔は天竜杉を運び出す大きな駅だったそうで、70年前の木造駅舎がまだ残されている。
 駅から歩いていくと、ここ出身の日本画家、秋野不矩(あきのふく)美術館に着いた。残念ながら休館だったが、周りの緑に馴染むなかなか良い建物だった。
 駅に戻って、また「天浜線」に乗った。途中でお客がいなくなったので貸切状態で、お茶畑も見ながらくつろいでいると終点の「掛川(かけがわ)」に到着した。途中下車しなければ二時間の旅だそうだ。ここで東海道新幹線に乗り換えた。慌ただしい日常に戻ってきた。

「グレイラビットと、旅するハリネズミ」

 働き者のグレイラビット(Grey Rabbit)は、ノウサギ(Hare)とリス(Squirrel)と一緒に住んでいる。
トウシンソウの芯を蜜ロウに浸したロウソクを灯りにし、水は泉から汲んで、小枝を燃やして料理をし、ハーブをお茶にし、落穂を挽いてパンを焼く。それは「作者が慣れ親しんだいなかの暮らし方」である。
 たくさんのシリーズがあるが、この本では、冬を前にグレイラビットが、ハリネズミ、モグラ、水ネズミなど小さな生き物たちから少しずつ色々な色の布を集めて「旅するハリネズミ」にパッチワークのコートを作ってあげる。ときには恐ろしいフクロウも一役買う。キノコを焼く匂い、ナイチンゲールの鳴き声も聞こえてくる。


Alison Uttley作「Grey Rabbit and the Wondering Hedgehog」

秋の空

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暑い夏だったので、木々の葉は色づくには程遠い疲れた緑色だが、10月ともなるとさすがに天高く風が爽やかで日暮れが早い「秋」になってきた。
「青」と一言では言い表せない色合いの空を見上げながら、この空にはどこまで行っても果てがないのだと思うと気が遠くなってくる。

ゴブリンの踊り

マウロ・イウラートのヴァイオリンを聴いた。

・母国イタリアのヴィヴァルディ作曲「『四季』より夏」、
・留学したオーストリアのクライスラー作曲「プニャーニ(イタリア人)のスタイルによる前奏曲とアレグロ」、
・イタリアのバッジー二作曲「妖精の踊り」
など聴きやすい曲ばかりで楽しかった。

最後の曲は、パガニーニの弟子のバッジー二が、師匠譲りの技巧を尽くした曲だが、原題は「The Dance Of The Goblins (La Ronde des Lutins)」だそうだ。確かに、優雅な妖精ではなく不細工でいたずら好きなゴブリンが跳びはねている感じの曲だった。

能登と加賀の旅

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 石川県金沢市から七尾線で北東に向かい、能登半島の東側の和倉温泉駅に行った。能登半島の「のと」は、昔住んでいたアイヌ人のことばで「突き出た」という意味からきているそうだ。
 この地方は雨や雪が多いので、「能登瓦」という黒光りする湿気に強い瓦が良く使われている。この日も雨模様だったが、千枚田や見附島(みつけじま)など空も海も瓦に似合うグレーがかった景色の中で、道端の紫色の萩の花が鮮やかだった。
 晴れた翌朝は、金沢市から北陸線で南西に向かい、加賀温泉駅で降り山中温泉に行った。鶴仙渓(かくせんけい)は、「こおろぎ橋」や「あやとりはし」など遊歩道が整備されていて、その散策の後の温泉が気持ちよかった。

視線

 「ウフィツィ美術館自画像コレクション展」を見に行った。ルネッサンスから現代までの様々な画家の自画像が並んでいた。画の中の人物ほとんどが、挑むようにこちらを見ている。
 翌日見た「上村松園展」の女人たちは、きりっとしたたたずまいで気品があるが、うつむいたり見上げたり遠くを眺めたりと、決してこちらと視線が合わない。二つの展覧会の視線の違いが面白かった。

宇治

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京都府宇治市を流れる宇治川の近くにある平等院は、11世紀初め平安時代に関白藤原頼通(よりみち)が寺として開いた。翌年建てられた鳳凰堂は極楽浄土の宮殿を模したもので創建当時は極彩色の華やかなものだったそうだ。中央の阿弥陀如来像の周りを、52体の小さな「雲中供養菩薩像」が取りまいている。これらは、よく見ると琵琶などの弦楽器、鼓などの打楽器、横笛などの管楽器を持ったオーケストラだ。その他、舞いを舞っている像もあるし、旗のようなものを持った指揮者のような像もある。天上の妙なる調べを奏でているのだろう。

宇治は又、源氏物語の最後「宇治十帖」の舞台でもあるが、元々は平安貴族の別荘地で、平等院の前身も光源氏のモデルともいわれる源融(とおる)の別荘だったそうだ。「宇治十帖」の主要人物、薫の君と匂宮の名が示すとおり、蝋燭の灯りの元では香りは重要な要素だった。後世の江戸時代には、五種類の香りを当てる「源氏香」という風流な遊びもあったそうだ。

目には見えないが当時の音楽と香りを感じることができた。

猛暑

9月というのに気温38度を体験してしまった。庭に出ると熱気がどっと押し寄せてきてオーブンの中に入れられたケーキ種になったような気がした。

庭木は頑張って緑の葉だが、雑草は白茶色に干からびている。それでも地表にしっかり根を這わせているのがたくましい。

翌日は36度台、翌々日はまだ35度もあるのに「暑いけど気温が下がってきた」と感じたのだから慣れというのは恐ろしい。どこに基準を置くかで見方がまったく変わってしまう。

「イギリスの古い農家のレシピ」

 Alison Uttley著「Recipes from an Old Farmhouse」という本を見つけた。19世紀後半のイギリスの農場に古くから受け継がれてきた料理が集められているが、作者の母の手書きのノートが元になっていて、当時でも古めかしいものだったそうだ。
 作者の幼い頃、料理といえば、味見をしたりいい匂いをかぐのが楽しみだったが、母や手伝いの娘にとっては重労働だった。
 とにかく一度につくる分量が多かった。店が近くになかったし、来客のためにもいつもたっぷり保存してあったし、友人宅の訪問にもケーキ、ジャム、肉のペースト、クリームなどを持参した。作者が子どもの頃、50人の同級生をいきなり連れてきたときにも、皆のお茶に間に合うだけの食料がたっぷりあったほどだ。

たとえば・・・
・全粒粉のお粥は、温めた牛乳と砂糖をかける。オートミールと同じだが、水を加えてオーブンに入れ何と三日間かかる。
・北欧神話の雷神トールの名がついているトールケーキは、ガイフォークスデイの夜、野外で食べる。
・たくさんの庭のリンゴを皮も芯も丸ごと水と砂糖を加えて煮て濾して緑色のピューレーにする。
・紅色のフキのようなルバーブのジャムにマーマレード、イースターのホットクロスバンズもつくる。
・スコーンは簡単なので小さい頃に母に教わったそうだ。一番素朴なつくり方の材料は、粉とバター、塩、ベーキングパウダーにサワーミルクかバターミルク。作者の母のはバターが多めで卵が入る。どちらも砂糖が入らないのが私好みで身近に感じたが、「ベーキングパウダーはもちろん自家製」とあって驚いた。
・カウスリップワインは黄色くてシェリーに似た味わいだそうだ。bilberry(コケモモの一種か)のサマープディングが作者のお気に入りだそうだが、どちらも摘むところから始まる。
・その他、自家製の薬も多かったし、庭のハーブは様々に使われる。

 いずれも決して洗練され繊細なものではないが、素朴で質実剛健な農家の暮しが感じられた。ナルニアの挿絵を描いたPauline Baynesの挿絵も魅力的で、ところどころに作者の思い出もある楽しい本だ。

アボさん

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三年以上前に種から芽が出たアボカドが結構大きくなった。一回り大きな鉢に植え替え、ひょろひょろで倒れそうなので支柱を立てた。
葉の先が萎びてきたので枯れるかと思ったが、猛暑の中、数日留守にしていたら元気になっていた。どうやら冷房が苦手らしい。