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弥生三月

今年もお雛様がお出ましになった。何はともあれ春が近づいてきた。

「なつめやし」

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「デーツ」を買ってみた。長さ5センチくらいの楕円形の干した実だ。これは、「なつめやし」とも呼ばれ、英語では「date palm」。古代エジプト人は、この木が毎月一本ずつの葉を生やすので「年暦の木」と呼んだそうだ。「デーツ」は「date」のことらしい。
また、常緑で大きな葉を茂らせる活力から、ユダヤ人は「勝利の象徴」とみなし、キリスト教でも復活祭前に「Palm Sunday」、(日本では「棕櫚の日」)というのがあるそうだ。キリストに棕櫚(しゅろ)の葉はつきものだそうだが、実はこれが「なつめやし」だという。

「なつめやし」は、二千年も昔から干した実を食糧として、また木自体も珍重された植物だった。そして、現代でも中東や北アフリカでは親しまれているという長生きの植物だ。

ターナー展

ターナー(Joseph Mallord William Turner,1775-1851)は、19世紀の英国の風景画家で、漱石の「坊っちゃん」にもその名が登場する。

どんよりとした雪空の下、「ターナー展」に出かけた。最初は、外と同じどんよりとした色調の英国の風景を描いた水彩画が並んでいてあまり気が乗らなかったが、年代順に見ていくうちに引き込まれた。

まず、イタリア旅行後の絵から色彩が華やかになってきた。北ヨーロッパの人々が、日光が降り注ぎ、歴史もあるイタリアに憧れた気持ちが分かるような気がする。
ヴァチカンからのローマの風景には、聖母子像を描くラファエロが描きこまれていた。ヨーロッパ旅行のスケッチブックには、風景が精密に描かれていた。

当時は、豚の膀胱に絵の具を詰めて持ち運んだそうで、その絵の具箱も展示されていた。1840年にチューブ入りの絵の具が発明されたが、まだ数色しか無く、そのうち黄色がターナーのお気に入りで、絵の具箱にも残っていたそうだ。

その後は、まぶしい光と荒々しい海が印象的な絵が多くなり、晩年は、細かい描写は無く、風景が色彩だけに置き換わったような、不思議な絵になっていった。未完成という説もあるが、とても現代的だった。印象派の先駆けと言われているそうだ。

18世紀後半、英国はナポレオンを破り、第一次産業革命を経て、ヴィクトリア朝に入るという黄金期を迎えていた。ターナーの絵にも、その時代の勢いが感じられた。

ターナー本人は、若くして才能を認められ英国第一の画家だったのに、私生活はとても秘密主義で、内縁の妻との間の娘の結婚式にも参列しなかったそうだ。現代の情報化社会では不可能なことだろう。

"The Happy Day"

雪が降っている森の中で、ノネズミや、クマや、カタツムリや、リスや、ground hogが冬眠している。その動物たちが、ふと目を覚まし、空気中のにおいを嗅ぎながら雪野原を一斉に走り出す。着いた先には、花が一輪咲いていて、 みんな嬉しくて踊りだす。
白と黒の画面に、花の黄色が鮮やかで、春の訪れが待たれる今の季節にぴったりの絵本だ。

ground hog(woodchuck)は、地面に巣穴を掘って暮らすリス科の小動物で、日本ではあまり馴染みがないが、北米、カナダでは親しまれているらしい。

"The Happy Day" by Ruth Krauss, Pictures by Marc Simont(1949)

冬晴れ

青空の下、空気が澄んで山も海も遠くまで見渡せる。日差しが明るいが、外は寒い。窓から眺めているのが最高。

春秋座「能と狂言」

春秋座「能と狂言」を見た。

狂言「棒縛」は、野村萬斎の太郎冠者が主人の留守中、両手を棒で縛られているのに酒を飲もうと悪戦苦闘する話。

能「船弁慶」は、義経と弁慶一行が、頼朝に追われ兵庫県東部の大物(だいもつ)の浦から船出する話。
前半は、都に戻される静御前が別れの舞をまう。静の悲しみが伝わってきた。

前半と後半をつなぐ、アイの船頭は野村万作。棒一本と船を表す枠だけで、舞台が海の上になる。静かだった海が荒れ、平家の怨霊、平知盛が現れ長刀で襲いかかる。義経が剣で戦おうとするが、弁慶が法力で鎮める。

これは、能の完成者、世阿弥の子孫の作で、平家に対する鎮魂の思いがあり、応仁の乱の経験から戦いの場面が加わっているそうだ。前シテの静御前と後シテの平知盛というまったく別人を同一人物が演ずるのが面白い。

能と狂言をセットで見るのは初めてだったが、異空間に入り込んだような不思議なひとときだった。

「木の国」

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和歌山県のJR和歌山駅から、和歌山電鐵・貴志川線に乗った。

沿線の伊太祁曽(いたきそ)神社には、スサノオの息子で、
木の守り神である五十猛(いたけるのみこと)が祭られている。
紀伊国(きのくに)は、もともと「木の国」だったそうだ。

終点の貴志川駅には、三毛猫の「たま駅長」の部下、
「ニタマ」がいた。

翌日は、徳川御三家の和歌山城、東照宮、
それに「和歌山」の地名の由来、和歌浦などを訪れた。

きちんと整ったアップルパイ?

家が没落したので、成り上がりの商人ウィドスンの妻に仕えているアンが、女主人の衣服をきちんと整頓した場面の原文は、
「Mrs. Widdison's clothes were all in apple-pie order」となっていた。

「apple-pie order」とは、「きちんと整っている状態」で、18世紀後半から見られる表現だそうだ。アップルパイのどこが「きちんと整っている」のだろうかと不思議だが、一説によると、フランス語の「折りたたまれたリネン」が訛ったらしい。

"Hobberdy Dick" by Katherine Briggs,1955

「万作萬斎狂言公演」

「舟渡婿(ふなわたしむこ)」
京あたりに住む婿が、酒と鯛を持って妻の実家に挨拶に行く途中、大津の渡し船に乗ると船頭に酒をねだられる。断ると舟を揺すったり漕ぐのを止めたりするので仕方なく飲ませる。舟が着き、婿が舅の家に行くと、舅は、なんと先ほどの船頭だった。あわてた船頭は自慢のヒゲを剃り落とし顔を隠して対面するが、結局ばれてしまう。婿は「どっちみち舅に飲んでもらう酒だったから」と許し、仲良く舞って終わる。

「小傘(こがらかさ)」
賭け事で一意文無しになった主従が、出家した僧のふりをして、田舎者をだまそうとする。法事で、傘の小唄をお経のように唱えてお供え物を盗もうとするが・・・。

竿一本で舟に乗っているのを表したり、化粧もしないで白い被り物と着流しだけで女性になったりと、まさに動きとことばだけの切り詰めた芸で笑わせる。
両方とも、和泉流の演目だそうだ。

オニグルミ

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オニグルミは、普通のクルミより一回り小ぶりで色が濃い。殻に隙間が開くまで火を通し、何とかして殻をこじ開けると、濃厚な実がほんのちょっぴり入っている。その苦労も美味しさのうちだ。