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津軽(つがる)2:「斜陽館」

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青森県西部は、むかし津軽(つがる)と呼ばれた。その中の五所川原で津軽鉄道に乗った。古い古いディーゼルでストーブ付き。冬はストーブ列車になるそうだ。

金木(かなき)で下車した。駅前からずっと店も閉じ人通りもないが、太宰治の生家「斜陽館」のあたりだけ、観光バスも止まり異様に混んでいた。

生原稿、愛用のマントや財布を見ていると、かの有名作家「太宰治」が「津島修治」として暮らしていたのだと実感される。ぐるりにつばがある帽子に「和服好きなのでこの帽子はかぶらなかった」といった説明があった。太宰のマントは洋装のイメージだったが、着物の上に着ていたのだと今更ながら気がついた。

さすがに大きな立派な屋敷だが、20人ほどが暮らしていたそうでプライベートな部屋というものがない。富裕な家に生まれ、繊細なハンサムで賢いが、大家族のため両親の愛情は薄く育ったのが太宰文学の原点だと、実際の建物を見ながら思った。

津軽(つがる)1:五能線の旅

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秋田から五能線(ごのうせん)経由の「リゾートしらかみ」で旅をした。五能線は、秋田県の東能代(ひがしのしろ)から青森県西部の五所川原(ごしょがわら)を通り川部(かわべ)まで日本海に沿っていく。「リゾートしらかみ」は、川部で奥羽本線に接続して弘前行きと青森行きに別れる。窓が大きく展望室もある乗り心地のいい列車だ。

沿線には、まず露天風呂があった。茶色の泥水のようだが、目の前に日本海が広がり、海の匂いがして風が涼しかった。携帯が圏外になって驚いた。

次は十二湖へ行った。白神山地のブナ林の中に緑色の水をたたえる池が点在しているところだ。青池は、水の色が青く神秘的な雰囲気。沸壺(わきつぼ)の池は透明度が高い。ブナ林の散策路は気持ちがよかった。

車窓に広がる日本海はすてきな眺めだ。その名所の一つ、千畳敷では見物のため臨時停車し、車内で津軽三味線の生演奏もあった。五所川原で「リゾートしらかみ」を降りた。

その後、五所川から足を伸ばして太宰治の生家を訪れ、夜は五所川原の「立佞武多(たちねぶた)」を見学した。

生野銀山

兵庫県の姫路駅でJR播但線(ばんたんせん)に乗った。途中までしか電化されていないのでディーゼルに乗り換え、ガッタンゴットンのんびりと生野(いくの)まで行った。

生野(いくの)銀山は、16世紀の室町時代から本格的に採掘され、江戸時代には幕府の直轄地になり、明治時代には、銀、銅、錫(すず)などさまざまな鉱石を産出して日本の近代化に役立ち、1973年に閉山した。

生野鉱物館には、日本全国で集められた鉱物の標本がたくさんあった。なかでも、刀のような輝安鉱(きあんこう)や石英の大きな標本は彫刻作品のようだった。

その後、露天堀りの跡や坑道を見物した。坑道に入ったとたん冷房がきいているようにすっと涼しくなったが、穴の中は苦手なので、ギムリに連れて行かれたレゴラスの気持ちになった。

安曇野と黒部立山の旅

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 まず長野電鉄(私鉄)で善光寺へ行った。7年ぶりの「御開帳」で賑わっていた。参道で買った野沢菜と小豆入りの「お焼き」が熱々でおいしかった。
 次にJR普通甲府行きに乗った。「川中島」という駅があって武田信玄を思い出した。棚田がある「姥捨(おばすて)」という物騒な名の駅では、電車がスイッチバックで進んだ。

 JR大糸線で安曇野へ行った。車窓から、緑の山々の向こうに雪を頂いた北アルプスの山々が見えた。
 穂高駅で降りて碌山美術館へ行った。落ち着いた煉瓦造りの建物が、新緑によく似合っている。ロダンに師事した荻原守衛(碌山)のブロンズ彫刻は迫力があった。彫刻の「デスペア」(Despair)と、絵画の「黄水仙」が特に気に入った。
 このあたりは、水がきれいで気候も合っているので日本一のワサビの産地だ。山々を背景に若緑色のワサビ畑が広がっていた。すりたてのワサビは、香りはいいが辛味は強烈。でも唐辛子と違い、すっとひいて後に残らない。
 駅の方に歩いていくと、田植えの後の田んぼの水に山々が映っていて、また美しかった。

 立山黒部アルペンルートと黒部ダムをめざした。
北アルプスの険しい山々の間に黒部渓谷がある。そこにダムをつくるときに資材や人を運ぶため、渓谷の両側の山に難工事の末、トンネルが掘られた。現在は、トロリーバス、ロープウェイ、ケーブルカー、バスを乗り継いでいける観光地になっている。
 その途中、立山の中腹にある室堂(むろどう)は、標高2400メートル以上の高さにあり雪の残る標高3000級の立山連峰の稜線が目の高さに見える。ただ、登山の苦労をせずに楽に雄大な眺めが堪能できるので、山への畏れが減るような気がして少し後ろめたい気がする。
 春に立山の道路の雪を除いて通れるようにしたところは、両側に高さ15メートルの雪の壁ができている。その「雪の大谷」をバスで通っていった。終点の立山駅は、まだ標高400メートルの高さがあるが下界に降りた気分になった。
 
 電鉄富山(私鉄)に乗った。深い山あいを渓流が流れる絵のような風景の中を、黄と緑の電車がゴトゴトと走っていく。少し平地に出ると水田の遠くに雪の立山連峰がずうっと見渡せたが、安曇野の風景の方が優しい感じがした。
 終点の富山市が近づくと急に町になった。長野県から北アルプスを越えて富山県に出た。富山名物「ますずし」を買った。

平城宮跡

奈良県の近鉄西大寺駅から歩いて平城宮跡に行った。来年で奈良の都が開かれて1300年になる。クローバーやレンゲなどの野の花が咲いている広い草原の中ほどで、発掘作業が続き、そのずっと向こうを近鉄電車が横切り、その奥に復元された朱雀門が見える。過去と現代が同時に存在するおもしろい光景だった。

ロンドンの旅:パディントン

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Paddington駅は、宿泊したホテルに近かったので、最初に歩いて出かけた。クリスティにもこの駅の題名のものがあるが、何といっても「くまのパディントン」だ。構内には像があり、専用の売店もあったので、原書を2冊買った。
旅の間に立ち寄った大きな本屋の児童書コーナーには「Paddington Bear」と「Peter Rabbit」と「Winnie-the-Pooh」の棚が、それぞれ特別にできていた。またデパートHarrodsのtoy売り場では、「Paddington Bear」と「Peter Rabbit」がどっさり並んでいて、特に「Paddington Bear」は黄色の帽子とモスグリーンのダッフルというハッロズ仕様のものまであった。パディントンは、思いのほか本国で人気があるようだ。
そして旅の最終日は、Paddington駅から特急列車Heathrow Expressで空港に向かった。

ロンドンの旅:ミュージアム

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ロンドンには、美術館博物館がたくさんある。それも無料のところが多く、絵画や彫刻が、さわれるほど間近で見られる。小学生が授業を受けていたり、親子連れで幼児が来ていたり、小さいときから親しめる環境にあるのがいいと思った。

・National Gallery・・・Trafalgar Squareの付近はロンドンを代表する風景の一つ。たくさんあるので、13世紀から16世紀あたりの宗教画を中心に見た。

・British Museum・・・さすが、の規模。ローマンブリテンを中心に見た。ヒエログリフのPeter Rabbitの本を売っていた。
因みに、'Deathly Hallows'に登場する'diadem'というのも沢山展示されていた。

・Royal Academy of Arts・・・(ここは有料。)16世紀イタリアの建築家、Paradio展をやっていた。天井画など建物自体がすばらしい。

・Wallace Collection・・・博物館でなく個人の邸宅だったので、家具調度品が、展示されているというより自然な状態で置かれている。部屋ごとに、赤、緑、ピンクというように、壁、カーテンの色調が異なっている。金の額縁の絵画は、こういう邸宅にふさわしい。どんなものか分からなかった「chest of drawers」があった。甲冑、刀も目録で本ができるほど豊富にあり、日本刀もあった。(090305)

ロンドンの旅:交通

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・地下鉄
  *ロンドンの地下鉄は、東京のように路線図が色分けされていて分かりやすい。初乗りが£4と高いが、travel cardという一日乗車券を買うとお値打ちだし乗り降り自由で便利。
  *かなり深いところを走っている線が多く、長いエスカレーターが続く。宿泊ホテルのHilton Metropoleに近いEdgware Road駅のBakerloo線の乗り場へは、階段とともにlift(エレベーター)も使った。
  *丸いトンネルからTubeといわれる地下鉄は、車体も断面が丸いが、日本のものよりたくましく、ホームに来てもスピードをゆるめずガーッと勢いよく入ってくる。
  *「Mind the gap」(扉とホームの間の隙間に注意)としょっちゅう放送があるが、確かに、最終日のPaddington駅のgapは大きかった。(090305)
  
・マナー
  *エスカレーターでは「右側に立つように」という指示があり、みな整然と従っている。道路も日本と同じ左側通行でなじみやすい。
  *歩行者信号のボタンがあり、押すとwalkという文字が点灯する。ところが、誰も青になるのを待たず、どんどん渡り出す。まさに「赤信号、みんなで渡れば怖くない」だ。(090305)

・バス
  *有名な赤い二階建てバスが、たくさん走っていた。乗ってみたいと思っていたが、空港からホテルまでのバスが石畳のせいか、ひどく揺れたので、残念ながら見るだけにした。(090305)

ロンドンの旅:食べ物

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・crumpet・・・今朝の朝食は、直径5センチくらいのcocksという種類のリンゴと、Mary Poppinsに出てきたcrumpet(アメリカではEnglish muffinという)に、バターとマーマレードを添えたものと、Jacksonsの紅茶のミルクティ。お茶はPortobello Roadのmarketで買った大きな白の紙袋入りで、日本の番茶のような雰囲気。ポットにザバッと入れてミルクをたっぷり入れて何杯も飲むのが似合う。あちらのような大き目のミルク入れが欲しい。(090305)

・marmalade・・・Fortnum & Masonでは、上から下まで壁一面全部といっていいほど、いろいろな種類のマーマレードがある。その中で三種類が高さ6センチほどの瓶に詰め合わせられた「tasting set」というのを買ってきた。マーマレードというと、黄色っぽいオレンジ色、ミカン色を連想していたが、本場では、くすんだ赤茶色に近いものが多い。(090305)

・Afternoon Tea・・・Browns Hotelは、メインストリートから少し入った閑静な場所にあり、バートラムホテルのイメージ通り。
注文したアールグレイは銀のポットで出てきた。お上品だが、銀のミルク入れとともに量はたっぷり。三段のお皿は、下がスモークサーモン、ハム、キュウリなど五種類のサンドイッチ。しっとりしていて、「乾かないように濡れ布巾をかけておく」という表現が思い出される。真ん中が、クロテッドクリームとベリーのジャムを添えたスコーン。こちらは冷めないように布巾がかけてある。一番上がプチケーキ五種類。お茶もお皿も、絶妙なタイミングで「おかわりはいかが?」とやってくる。それに加えてパウンドケーキまでやってくる。おなか一杯なのに、それもいただいてしまった。(090305)

ロンドンの旅

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2月27日から3月4日までロンドンに行ってきた。現地にいたのは5日間。霧のロンドンの予想とは違い、結構いい天気で、それほど寒くもなかった。
ハイドパークなど広い公園の木々に葉はないが、芝生は緑色で、ところどころにあざやかな黄色の花が咲きはじめていた。スーパーで切り花を売っていたので「daffodil」だと分かった。日本のスイセンのイメージとは全く違う華やかな感じの花だ。Wordsworthの詩にあるように「golden」という形容がふさわしい、春の訪れを感じさせる花だった。
初めてなので、パディントン駅の「くまのパディントン」の像、キングズクロス駅のハリー・ポッターにちなんだプラットホーム、クリスティ作バートラムホテルのモデルというブラウンズ、ベイカーストリートの221B、そして大英博物館、テムズ川、ウェストミンスター寺院などの「名所」を回り、ポートベローのマーケットに行き、レスター・スクエアでミュージカルを見てきた。
もちろんホテルや観光地には外国からの旅行客が大勢いたわけだが、地域によって現地の人でもいろいろな人種がいた。
Fortnum & Masonでは紅茶やビスケットやマーマレードの他に、Narniaにちなんで木箱入りのTurkish Delightも買った。
なかなか充実した旅だった。