雛祭りの日に、五人囃子を聴いた。
向かって右から、シテ方の謡(うたい)、囃子方(はやしかた)の笛、小鼓(こつづみ)、大鼓(おおつづみ)、太鼓(たいこ)と並ぶ。
同じ皮を張った楽器でも、小鼓は、紐をゆるくかけ、皮も息で湿らせるのに対し、大鼓は、備長炭の火でカンカンに乾かし、紐もきっちり締め上げて金属的な鋭い音色にする。
能楽師それぞれに流派があり、笛は、森田流、藤田流、一噌流(いっそうりゅう)と、三流派に分かれている。各々、息の入れ方で音色が変わるのだそうだ。その違いを伝えようとしても、言葉でも指使いなどの画像でも表せない。伝統の継承は難しいものだ。