記事一覧

犬吠埼

千葉県銚子市は、日本列島が弓なりに曲がる角に位置する。江戸時代から親潮と黒潮が出会う漁場であるとともに、醤油作りが盛んだった。JR銚子駅から、銚子電鉄というレトロな電車に乗ると、キャベツ畑や、醤油工場のそばをごとごとと走って、犬吠(いぬぼう)駅に着く。犬吠埼灯台は、三方に太平洋の荒波が打ち寄せ、昔「国のとっぱずれ」と詠まれたところだ。そこから水平線を眺めていると、日本は島国だなあ…と思う。海に近い遊歩道に下りたら、ざんぶりと打ち寄せる白い波しぶきを浴びてしまった。しょっぱかった。

沖縄

久しぶりに沖縄へ行った。那覇空港から首里まで「ゆいレール」という二両編成の可愛いモノレールが通っていた。まず、見事に整備された首里城公園と、王家の別邸だった識名園(しきなえん)に行った。名護城址公園では、日本一早い桜祭りをやっていた。こちらの桜は、ヒカンザクラといって桃色が濃くてかわいい。
それから、かりゆしビーチに行った。明るい青色の空の下、白い砂浜の向こうに、手前がエメラルド・グリーン、沖がコバルト・ブルーの海が続く。日中は半袖でもいいほどの暖かさで、南国ののびやかな雰囲気に心ものびのびする。
沖縄の楽しみは食べ物。まずゴーヤ・チャンプルーと、ヘチマの味噌煮と、ソーキそば。それから小ぶりのオレンジに似たタンカンを買ってみた。外皮が汚い方が熟しておいしいそうだ。丸いドーナツ、サーターアンダーギーの揚げたても、うっちん茶によく合って、おいしかった。「うっちん」はウコン、つまりターメリックのことで、カレー風味のお茶だ。空港で食べたサトウキビ味のブルーシール・アイスクリームで以上終わり。

北陸の旅

福井県越前海岸の東尋坊に行った。安山岩の柱状節理が1、5キロに渡って続いている。風もないのに暗青色の日本海は波が荒く、岩肌に打ちつけるたびに白い波しぶきが上がる。とてもいい天気なのにどこか陰を感じさせる風景だ。
近くにある瀧谷寺(たきだんじ)は、14世紀後半、南北朝時代につくられて以来「焼けた記録がない」という古刹。織田信長と通じて焼き討ちを免れ、柴田勝家らの寄進を受けたという歴史がある。苔むす岩と古びた木造の建物が重々しい。信長が「陣取放火」などを禁じた「禁制状」が残されている。
翌日訪れた石川県の粟津(あわづ)温泉は、奈良時代初期に開かれた北陸最古の温泉。
同時代につくられた那谷寺(なたでら)は、広大な庭園に、もっと古い縄文時代から信仰を集めたという岩山や洞窟がある。白っぽい岩壁を背景にした紅葉がきれいだった。庭内の木々は、北陸の湿った重い雪に備えて、棒をたてて綱をかけて枝をつる「雪つり」がされていて、冬が近いのを感じさせた。

岩手の紅葉

岩手県の遠野地方へ行ってきた。柳田國男の「遠野物語」の舞台。山男にさらわれた娘や、座敷ワラシや、馬と結婚した娘がカイコの神様になったオシラサマなどの話から、暗くおどろおどろしい山村というイメージがあったが、実際は、昔の城下町で、交通の要所というなかなか開けて明るいところだった。カッパがいたという「カッパ淵」のあたりは、もう失われた古きよき時代の、のどかなひなびた日本の田舎という風情だった。
その後、JR山田線に乗った。時間帯によっては二時間に一本しかないローカル列車。車窓の向こうに、青空の下、赤、橙、黄色に染まった山々が連なる、まさに絵のような風景が広がっていて、すばらしかった。

天浜線

さわやかな秋の一日、静岡県西部の奥浜名湖を走るローカル列車、天竜浜名湖鉄道のトロッコ列車に乗った。ゴットンゴットン揺れながら走るのどかな列車だ。窓ガラスがないので、日の光がじかに差し込んでくるし、風が吹きつけてくるし、おまけにトンネルに入るとゴーッとすごい音がする。トンネルを抜けると、窓の外には浜名湖が日の光を浴びてキラキラ輝いていて、蜜柑畑の濃い緑の葉の間に蜜柑の実がおいしそうに色づいている。もうすぐ取り入れの時期だ。

JR和田岬

JR兵庫駅で降りて、平清盛の供養塔、清盛塚まで歩く。清盛は私財を投じて後の兵庫港を整備した。兵庫というのは古くからの地名らしい。そこからJR和田岬駅まで歩く。岬といっても、駅からはずっと三菱重工の敷地で海は見えない。敷地内にある幕末に造られた砲台を見せてもらう途中、進水間近の真新しいコンテナ船がちらっと見え、やっと海に近い感じがした。
JR和田岬線で帰ったが、単線なのに6両編成できれいな列車。三菱重工の通勤に使われているらしく朝夕の通勤時間帯しか走らない。神戸市内なのに珍しいところだった。

ページ移動