岩手県の遠野地方へ行ってきた。柳田國男の「遠野物語」の舞台。山男にさらわれた娘や、座敷ワラシや、馬と結婚した娘がカイコの神様になったオシラサマなどの話から、暗くおどろおどろしい山村というイメージがあったが、実際は、昔の城下町で、交通の要所というなかなか開けて明るいところだった。カッパがいたという「カッパ淵」のあたりは、もう失われた古きよき時代の、のどかなひなびた日本の田舎という風情だった。
その後、JR山田線に乗った。時間帯によっては二時間に一本しかないローカル列車。車窓の向こうに、青空の下、赤、橙、黄色に染まった山々が連なる、まさに絵のような風景が広がっていて、すばらしかった。