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北陸の旅

福井県越前海岸の東尋坊に行った。安山岩の柱状節理が1、5キロに渡って続いている。風もないのに暗青色の日本海は波が荒く、岩肌に打ちつけるたびに白い波しぶきが上がる。とてもいい天気なのにどこか陰を感じさせる風景だ。
近くにある瀧谷寺(たきだんじ)は、14世紀後半、南北朝時代につくられて以来「焼けた記録がない」という古刹。織田信長と通じて焼き討ちを免れ、柴田勝家らの寄進を受けたという歴史がある。苔むす岩と古びた木造の建物が重々しい。信長が「陣取放火」などを禁じた「禁制状」が残されている。
翌日訪れた石川県の粟津(あわづ)温泉は、奈良時代初期に開かれた北陸最古の温泉。
同時代につくられた那谷寺(なたでら)は、広大な庭園に、もっと古い縄文時代から信仰を集めたという岩山や洞窟がある。白っぽい岩壁を背景にした紅葉がきれいだった。庭内の木々は、北陸の湿った重い雪に備えて、棒をたてて綱をかけて枝をつる「雪つり」がされていて、冬が近いのを感じさせた。