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拍子木の音

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「吉例顔見世大歌舞伎:
橋之助改め八代目中村芝翫(しかん)と、三人の息子たちの襲名披露公演」を見た。

一、元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿(おはまごてんつなとよきょう)
真山青果作、昭和初期の新歌舞伎。
後の六代将軍家宣(いえのぶ)になる徳川綱豊(仁左衛門)の御浜御殿。赤穂浪士の富森助右衛門(染五郎)が、吉良上野介に襲いかかるが、それは綱豊だった。綱豊は、方や浅野家再興を画しつつ、仇討ちをするのは「義」ではないと諭す。
台詞が長い。

二、口上
裃(かみしも)姿の役者たちが揃って挨拶。

三、近江源氏先陣館 盛綱陣屋(もりつなじんや)
18世紀、近松半二らによる浄瑠璃が元の時代物。
兄弟で、徳川と豊臣の敵味方に分かれた真田(さなだ)兄弟に対比。
頼朝亡き後、鎌倉方と京方の間で争い。佐々木盛綱(芝翫)は、弟の高綱の子の小四郎(尾上左近)を生け捕る。高綱討死の知らせに、盛綱は首実検を命じられる。それは贋首だったが、それを承知で小四郎は切腹。その意を汲んだ盛綱は本物と認める。
謡い、三味線、床に置いた板を叩く拍子木が入る。

四、芝翫奴(しかんやっこ)
囃し方、数人の謡いと三味線をバックに、奴が踊る。
襲名した三兄弟の橋之助、福之助、歌之助が交代に演じ、10日は中村歌之助。

大掛かりな舞台装置と華やかな衣装だが、仇討ちを勧めたり、祖母が孫に切腹を勧めたりと、話はなかなか凄まじい。
拍子木の音が効果的。
盛綱らの長袴(ながばかま)の裾をいちいち直すため黒子がついていた。
四時半に始まり、終わったのが九時半。何度も幕間はあるが五時間の長丁場だった。