今日は、京都の祇園祭のクライマックス、山鉾巡行。朝、四条烏丸に着いたら、ちょうど先頭を行く長刀鉾(なぎなたほこ)にきんきらの冠をかぶった稚児が乗り込むところだった。小学生の男の子だが、白塗りの顔に雅な装束でお人形のよう。鉾のてっぺんに稚児と、祇園囃子を奏でる囃子方が乗っている。
鉾の前面に乗った二人が扇を振りながら「えんやら、やー」とかけ声をかけ、鉾の前に付けられた綱引きのような二本の綱を大勢の若衆が引っ張ると、鉾の両脇の大きな木の車がゴロリと動く。なんだか、上に優雅に乗る貴族と、汗水垂らして引っ張る下々の者との京の都の格差社会が一目瞭然といった感じ。ついでに、両脇の歩道ですし詰めになりながら眺める見物人も、下々の者。
他の山鉾も順に続いて、四条通、河原町通、御池通と巡行する。四つ角では、脇について歩く人が、車の下に竹を並べバケツの水をかけて、扇のかけ声とともに、引き手が直角に引っ張ると大きな山鉾がグイッと回る。これを「辻回し」などというが、引き手の力の入れ方とタイミングの問題らしく、うまくいけば三度位で直角に回るが、気の毒に何度もやり直すものもあった。
御池通から、新町通に入るが、ここは、山鉾が一基やっと通れるくらいの狭さなので、人の背より高い鉾の木の車が、ぎいっときしみながら回るのがすぐ目の前に見られる。
新町通から横道に入って帰ろうとしたら、ある山の行列が後ろをついてくるので驚いた。それぞれの町内に帰るらしい。山の上に立てられた木が、狭い通りを渡る低い電線に引っかかると、なんとその場で木を切ってしまった。もうお役ご免というところ。