ピンク色にぴったり合う日本語がない。薄紅色とも少し違うような気がするし。
ピンク色の「pink」は、元々は、ヨーロッパで十八世紀中頃から栽培されたタツタナデシコの英名のことで、後に、その花の色も表すようになった。
ナデシコと言えば、日本では「ヤマトナデシコ」とも呼ばれる固有種が、枕草子にも登場し、季節はずれだが秋の七草の一つでもある。カーネーションもナデシコの種類で、昔から広く親しまれてきた花のようだ。
また「pink」には、そのギザギザの花びらから、「ギザギザに切る」という意味もある。手芸で、布をギザギザに切るのに使われるのが、ピンキングバサミ(pinking scissors)。どちらも、もうすっかり日本語だ。