Harry Potterシリーズの作者、J.K.Rowlingが5月末から数章ずつウェブ上で公開していた「The Ickabog」が完結した。子どもたちから募集した挿絵を添えて、今秋に出版されるという。 久しぶりに結末が分からないお話を読むのは楽しかった。最初に登場した頼りない王様が、紆余曲折を経て最後にも出てきたのは良かった。
さて肝心の「Ickabog」だが、何と発音するのだろうか?
Harry Potterシリーズの作者、J.K.Rowlingが5月末から数章ずつウェブ上で公開していた「The Ickabog」が完結した。子どもたちから募集した挿絵を添えて、今秋に出版されるという。 久しぶりに結末が分からないお話を読むのは楽しかった。最初に登場した頼りない王様が、紆余曲折を経て最後にも出てきたのは良かった。
さて肝心の「Ickabog」だが、何と発音するのだろうか?
自粛期間中、久しぶりに神話の本を出してきた。
この先、社会がどう変わるか分からないけれど、これらは変わらず伝えられていくだろう。
・「ギリシア・ローマ神話:伝説の時代」トマス・ブルフィンチ(米国生まれ)作、大久保博訳、角川文庫
・「北欧神話と伝説」ヴィルヘルム・グレンベック(デンマーク生まれ)作、山室静訳、講談社学術文庫
・「カレワラ物語:フィンランドの神々」小泉保編訳、岩波少年文庫」
ギリシア神話に次のような話があった。
ゼウスが寵愛した女性の一人にちなんで名づけられたアイギーナの島は、その息子のアイアコスにより治められていた。
それを憎んだゼウスの正妻、ヘーラーが島に疫病を送ったため、国は荒れ果て動物も人も死に絶えた。
アイアコスは嘆き悲しみ、父であるゼウスの祭壇に祈りを捧げると祈りは聞き届けられ、近くの樫の木を登っていくおびただしい数の蟻が人間になった。
アイアコスは、蟻(ミュルメクス)から生まれたこの勤勉な種族を、蟻にちなんで「ミュルミドーン」と呼んだ。
この中の疫病に関する描写は、紀元前5世紀、ギリシアの歴史家、トゥキディデスが、当時アテーナイに起こった疫病について体験したことを書いたものが元になっているそうだ。
人類は、古代神話の世界から今に至るまで疫病に悩まされてきたということで、数千年経っても進化しているのかどうか分からなくなってきた。
「ギリシア・ローマ神話:伝説の時代」トマス・ブルフィンチ著、大久保博訳、角川文庫
バーネット作「小公子」は、アメリカ生まれの少年セドリックが、ある日イギリス貴族ドリンコート伯爵の唯一の跡継ぎ「フォントルロイ卿」であると知らされるところから始まる。
久しぶりに読んだら、19世紀後半、南北戦争後で、若い国アメリカも、歴史ある国イギリスも共にまだ活気のある時代の話だった。
ちなみに原題は、「Little Lord Fauntleroy」だが、この「Fauntleroy」は、「son of the king」という意味らしい。
南仏出身のパン屋さんのお店で「シューケット」というお菓子を見つけた。丸くてサクサクしてとても美味しい。食べながら、これは「大草原シリーズ」の「vanity cakes」だと思った。
「大草原シリーズ」は、作者ローラの子ども時代の経験を元にした19世紀半ばのアメリカ開拓者の生活を描いた作品である。決して豊かではない厳しい生活だが、ローラの母さんは色々工夫して美味しい料理をつくってくれる。たくさんの学校友だちを招いたときのおもてなしが、この「vanity cakes」だった。これは、卵を泡立て小麦粉と混ぜて一口大にしてこんがり油で揚げたもので、甘くはないが「Rich and crisp」そして中は空っぽと書かれている。
「虚栄心(vanity)のように、膨らんでいるけれど中身は空っぽ」という名前も面白い。遊んだ後で、搾りたてのミルクを添えたこのおやつはとても美味しかったことだろう。
"On the Bank of Plum Creek" by Laura Ingalls Wilder, 1953
岩波の「星の王子さま」の原題は、「Le Petit Prince」、英語訳では「The Little Prince」なので日本語の直訳では「小さな王子」になる。最近は色々な新訳も出ているようだが、「星の王子さま」に親しんできた人間にとっては、内容を的確にあらわした良い題名で、これ以外の題名はしっくりこない。翻訳は別の作品になる部分もあると思う。
毎年クリスマスの時期になると「The Twelve Days Of Christmas」という歌を思い出す。歌詞は18世紀に作られたらしい。
On the first day of Christmas, my true love sent to me
a partridge in a pear tree.
という具合に始まり、クリスマスの12日間に恋人がくれた贈り物をどんどん積み重ねていく。
とりあえず最初の四日間は色々な種類の鳥。五日目に金の指輪。六日目は、また鳥で、その後は主に演奏者や踊り手という云わばパーティー要員。
一見、荒唐無稽だが考えてみれば「御馳走と金と娯楽」というのは今も変わらず喜ばれるプレゼントかもしれない。
20世紀初めの米国の西部開拓者の生活を描いた「大草原シリーズ」は、どの巻もクリスマスが家族にとって一番の記念日として描かれている。主人公のローラがかなり成長した「シルバーレイクの岸で」では、母と娘たちがそれぞれ内緒で手作りの贈り物を準備しているのだが、末娘グレースへの贈り物は手作りのコートだった。
秋に、父が誤って撃ってしまった白鳥の羽毛(down)をフードと襟飾りにした青いコートは、さぞ綺麗だったことだろう。でもダウンは飾りなので、あまり防寒の役目は果たさなかったかもしれない。
"By the Shores of Silver Lake" by Laura Ingalls Wilder,1939
ラグビー・ワールドカップ日本大会が開催されたが、かの有名な名探偵ホームズの事件簿に、ラグビーの選手が依頼人の「The Adventure of the Missing Three-Quarter」がある。
最初に読んだ時は、「Three-Quarter」が、ラグビーのポジションの一つだということも知らなかった。ちなみに、ホームズもラグビーの有名選手には詳しくないようだった。
...
アダムのおばさんは、お見舞いに行くときに「Gladstone bag」を持っていった。これは、革製のぷっくりした中型の旅行鞄で、英国の首相の名にちなんだ極めて英国的な鞄だそうだ。この本の挿絵にも登場する。
さて、その中に何を入れて帰ってきたのだろう?
"Minnow on the Say" by A.Philippa Pearce, Illustrated by Edward Ardizzone1955