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第69回正倉院展

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8世紀なかばに、奈良市の東大寺近くに建てられた正倉院には、聖武天皇ゆかりの宝物など9000点が保存されていて、毎年秋に「正倉院展」が開かれている。

今年は、北倉、中倉、南倉、聖語蔵から合わせて58件の宝物が展示されていた。以下は、印象に残った品を解説を頼りにまとめたもの。

羊木臈纈屏風(ひつじきろうけちのびょうぶ)・・・木の下にペルシャ風の巻き毛の羊が描かれたろうけつ染めの国産品。聖武天皇ゆかりの品。

槃龍背八角鏡 (ばんりゅうはいのはっかくきょう)・・・絡み合う二頭の龍が描かれた唐製の鏡。聖武天皇ゆかりの白銅鏡(はくどうきょう)。

漆槽箜篌(うるしそうのくご)・・・アッシリア起源のハープの先祖といわれる楽器で、明治時代の復元品と共に展示。

玉尺八 (ぎょくのしゃくはち)・・・大理石製だが竹を模した聖武天皇ゆかりの尺八。

碧地金銀絵箱 (へきじきんぎんえのはこ)・・・仏への献物箱(けんもつばこ) 。ヒノキ製で、表面は群青(ぐんじょう)で淡青色に塗られ、金銀泥(きんぎんでい)で花鳥が描かれている。

緑瑠璃十二曲長坏 (みどりるりのじゅうにきょくちょうはい)・・・緑色のガラス製の細長いさかずきで、花やウサギが彫られている。中国製と思われる。

金銅水瓶 (こんどうのすいびょう)・・・ 注ぎ口が鳥頭形で全体が絶妙なバランスの金メッキの銅の水差し。

犀角杯(さいかくのつき)・・・サイの角を彫った褐色の杯。先が尖っているので飲み干さなくてはならない。サイの角は毒消しや解熱剤として珍重されたという。

琥碧誦数 (こはくのじゅず)・・・様々な種類の珠(たま)でつくられた長い首飾りのような華やかな念珠(ねんじゅ)。漆皮(しっぴ)製の亀甲形(きっこうがた)の収納箱も綺麗。

最勝王経帙 (さいしょうおうきょうのちつ)・・・経巻を数巻まとめて包むための帙(ちつ)。竹串を並べ、糸を編みこんで、上半身が人で下半身が鳥の迦陵頻伽(かりょうびんが)が描かれている。

(鏡、数珠、経典、その他、入れ物も凝っているのが正倉院御物の特徴。包装好きなところは現代にまでつながっているような気がする)

その他、地図、古文書、写経。
下総(しもうさ)国の葛飾(かつしか)の戸籍・・・刀良(とら)という男性と、佐久良売(さくらめ)」という女性の名があった。ちなみに刀良売という女性もいた。

写経生の作業報告書・・・正式な写経の仮綴で不要になった紙を使い、名前の後、「二百○○枚使用、百九十○枚提出、○枚破、○枚返却」などと書かれている。「破」の枚数は給料から差し引かれたのだろう。