茂山家の「お豆腐狂言会」を見に行った。
「素襖落(すおうおとし)」
急にお伊勢参りを思い立った主人が、太郎冠者に、伯父に知らせに行かせる。伯父は太郎冠者に門出の酒をふるまい、祝儀に素襖を与える。ごきげんの太郎冠者だが、帰り道、素襖を落とし、迎えに来た主人に拾われてしまう。
「寝音曲(ねおんぎょく)」
主人が、太郎冠者に謡を謡わせようとする。それが嫌な太郎冠者は、酒を飲まなければ謡えない、膝枕でないと謡えないと難癖をつけるが・・・
「宗論(しゅうろん)
「なむみょうほう、れんげきょう」と唱え、日蓮を崇める身延山(みのぶさん)帰りの法華僧と、「なむあみだぶつ」と唱え、法然を崇める善光寺帰りの浄土僧が道連れになる。途中で、互いに犬猿の仲である宗派なのが分かり、口げんかのあげく、宗教論争になる。(これが実は、料理の話。)その後、念仏を唱えながら踊って競ううちに、息が合ってきて、「なもうだ、れんげきょう」と両方が混ざってしまう。「阿弥陀仏」をあがめることは同じなのだという結論に達して、めでたしめでたし。
酔っぱらったり、寝て歌ったり、お経で楽しく踊ったりと笑わせるが、それも芸の力あってのことだ。