少し前、黒っぽいスーツ姿でマスクをした人たちが、どっどっと歩いているテレビの映像を見て「軍団」のようだと思った。
マスクはmaskだが、maskというと、日本語と違い、最初に仮面、覆面が思い浮かぶ。仮面といえば、visorという古い言葉もある。これは、西洋の騎士の甲冑のうち頬や顔を隠す部分でもある。まさに戦(いくさ)の世界だ。
現代の敵はウィルスだが、命にかかわるという悲壮感、緊迫感は昔も今も変わらない。
さいわい、ひとまず「マスク軍団」もいなくなり、気がつけば木々の黄緑の若葉が育ってつやつやした緑色に変わっている。人間界に何があろうと季節は巡っていく。