金のシャチホコの名古屋城は、今なお名古屋の街のシンボルだ。徳川美術館には、国宝「源氏物語絵巻」をはじめ数多くの美術品がある。中でも、毎年、今頃開かれる「雛道具展」は楽しい。代々の姫が輿入れに持参した雛道具を展示するのだが、本物をミニチュアにした豪華なつくりの調度や、絵が金箔をつかって描かれた貝合わせの貝もある。御三家の一つ尾張徳川家の財力を物語るようだ。
秋の「名古屋まつり」には、信長、秀吉、家康の「英傑行列」がある。実は、このあたりは戦国時代を動かした三名の出身地なのだ。にもかかわらず、名古屋は徳川の将軍を出したこともなく、日本の中心地になったこともない。人々の暮らしぶりも、豊かではあるが、冠婚葬祭以外には地味で「偉大なる田舎」と称されてきた。
ところが、最近は、世界に羽ばたくトヨタ自動車のお膝元ということで、日本一景気がよい街になってきた。名古屋駅前にも超高層ビルが次々と建ち、ブランドの直営店や豪華なレストランが人気を集めている。マスコミの注目も集めるようになってきた今後、名古屋人気質も変わっていくのだろうか?