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ホビット

「ホビット」を最初に読んだのは瀬田貞二訳だった。ガンダルフの「やんぬるかな」、つらぬき丸、忍びの者、ゴクリの「いとしいしと」など忘れられない。
ただし、ビルボとゴクリのなぞなぞ対決や、詩の部分は訳せないので原書の方が面白い。

'The Hobbit' by J.R.R.Tolkien

ハビトロット

「むかしむかし、やさしく美しいけれど、怠け者の娘がいました。結婚式も近いというのに楽しく踊ってばかりいたので、嫁入り支度にする糸紡ぎがぜんぜんできていません。娘が森で泣いていると、小さなおばあさんがあらわれました。おばあさんは、糸車を素晴らしい速さでまわしていて、娘の代わりに糸紡ぎをしてくれるというのです。おばあさんが紡いだ糸は見事なできばえで、娘は糸紡ぎの名手として有名になってしまいます。

やがて、結婚の日になりました。そのお祝いの席に、醜いおばあさんがやってきたのです。その唇は垂れてねじれ、親指は広がり、足は扁平で、背中は曲がっています。どうしてそんな姿になってしまったのかと聞かれたおばあさんは、それが、長年の糸紡ぎのせいだと答えます。それを聞いた花婿は、花嫁には一生糸紡ぎはさせないと誓いました。めでたしめでたし」

その話を聞いていた動物たちは、「何の教訓もないけど、すてきな話」と言う。同感。

グリム童話にもある話だが、これはポター作。
Habbitrotとして知られるおばあさんが糸を紡ぐ音は、「trot,trot,habbitrot」と聞こえる。「trot」は馬が駆ける音でもある。目にもとまらぬ速さで回る糸車が思い浮かぶ。


"The Fairy Caravan" by Beatrix Potter

月の男

英国伝承童謡に

 The man in the moon
 Came down too soon,
And asked his way to Norwich;
 He went by the south,
 And burnt his mouth
With supping cold plum porridge.

というのがある。
地名のノリッジと、お粥のポリッジ、その他、韻を踏んでいるので調子がいいが、
「冷たいお粥でやけどした」という意味不明な不思議な詩だ。

ファージョンの「銀のシギ」は、この詩と、昔話とから想像をふくらませて生まれた。「月の男」チャーリーが、最後にすばらしく変身するのに驚かされる。

秋の絵本

小さな女の子、Sal(Sallyの愛称だろう)は、お母さんと山にブルーベリーを摘みにいった。ジャムにして冬の保存食にするために。

ちょうど、クマの親子も冬眠を前にブルーベリーを食べに山を下りてきた。それぞれの親子が入れ違ってしまったから、さあ大変!
無事に、それぞれの親子がめぐり合ってほっとする。

いわゆるファンタジーではないので、動物と人間が交流することはないが、それでもクマの親子の心情がよくわかり親しみを感じさせる。
帰ってから、ジャムを作っている場面がいい。秋になると思いだす絵本だ。

"Blueberries for Sal by Robert Mccloskey 1948

「豆になりたくない!」

春にロンドンで買ってきた絵本。パステルカラーの絵が明るく楽しい。

カバのHugoと、小鳥のBellaが、「昔話の仮装パーティー」に、どんな役で行くか相談している。

「お姫さまと豆」(Princess and the Pea)では、ベラは豆になりたくない。
「人魚と岩」では、ヒューゴは岩になりたくない。
「王様と道化師」では、ベラは道化師になりたくない。
「シンデレラとカボチャ」では、ヒューゴはカボチャになりたくない。

喧嘩した二人は、それぞれ反省し、二人とも最初の話のお姫さま役を相手に譲ることにする。二人とも「豆」役になり、
"And we're two peas in a pod"で、めでたしめでたし。

「Princess and the Pea」の元は、アンデルセンの「布団を何枚も何枚も重ねた下のエンドウ豆が気になって寝られなかった『本物のお姫様』」のお話。
「pea」の使い方が面白いが、「two peas in a pod」は、日本語では「うりふたつ」なので、豆でなく瓜だ。

"I don't to be a pea!" by Ann Bonwill & Simon Rickerty, Oxford University Press

踊らないdance

10歳の少女、グリゼルダは、110歳のひいばあちゃんと二人で暮らしている。グリゼルダというのは、この家に代々伝わる名前だ。彼女は、ひいばあちゃんのグリゼルダが寝るときに子守唄を歌ってあげる。その歌は、初代グリゼルダのために書かれ、代々伝わってきたものだった。

その歌詞は、"And I Dance Mine Own Child!"。

「dance」には、「(赤ちゃんを)揺すってあやす」という意味があるので、直訳すれば「私の赤ちゃんを揺すってあやしてあげる」。

グリゼルダとひいばあちゃんは、この歌が手書きで書かれていた代々伝わる本のおかげで幸せに暮らせるようになる。
しっかりものでけなげなグリゼルダと、ひいばあちゃんのやりとりがほのぼのと楽しい。挿絵がぴったり。


'The Little Bookroom' by Eleanor Farjeon, illustrated by Edward Ardizzone

「眠りながら縄跳びをするエルシー・ピドック」

少女エルシーは、生まれながらに縄跳びの名手。その噂を聞きつけた妖精にも認められ、夜に眠りながら、いろいろ不思議な技を教わった。けれど成長して、子ども用の縄が短くなったとき、不思議な跳び方はできなくなってしまった。

その後、百年以上の月日が経ったとき、村の子どもたちや妖精たちが縄跳びを楽しんでいた丘に、悪い領主が工場を建てようとした。そこに現れたのはエルシー。年老いて小さくなり、再び子どもの頃の縄が使えるようになった彼女は、夜、眠りながら不思議な跳び方を駆使して悪い領主に立ち向かう。

月を跳び越える「High Skip」、地中深く潜る「Strong Skip」など、色々な跳び方に合わせた縄跳び歌が調子よくて楽しい。ファージョンらしい不思議な雰囲気のお話。


"Elsie Piddock Skips in her Sleep" by Eleanor Farjeon

靴の家

アメリカでは狭い家を靴箱(shoe box)に例えると聞いて
英国伝承童謡の
「There was an old woman who lived in a shoe」を思い出した。

「靴の中に住んでいるおばあさんは 子だくさんで大変
 スープだけ飲ませて 鞭でたたいてベッドに入れた」

という歌だ。

アイスランドの絵本

アイスランド土産に絵本をもらった。近くの図書館にはアイスランド語の辞書は無かった。ヒエログリフはあるのに・・・

絵から類推するとトロルの親子の話らしい。チビトロルが「霜の巨人をやっつけてやる!」と勇ましいことを言うけれど、木から落ちそうになり「助けて!」と叫んで、パパトロルに助けてもらう。最後は、二人仲良く木の枝に座って火山を眺める場面で、めでたしめでたし。

アイスランドは、民族的にはノルウェーに近く、北欧神話の元「エッダ」が書かれた国だ。火山と温泉と魚の国だと聞いて親しみを感じた。それに出版も盛んな国だそうだ。

コリコリ

児童文学者の石井桃子が、70歳の頃に書いたという幼い日の回想「幼ものがたり」を読んでいたら、姉の背中におんぶされた作者が、「家へ帰ったら、コリコリを□□ちゃんに分けてやろうね」と言う場面に行き当たって、何とも懐かしい気分に襲われた。

これは絶対にずっと前に読んだことがあると思って探しまくったら、「暮しの手帖」34号の中の「しゃけの頭」という随筆に同じ場面があった。これは、1956年出版なので作者が49歳の頃である。

子どもの頃に、たまたま家の本棚にあったのを引っぱり出して読んだ文章が、ずっと頭の隅に残っていたわけで、久しぶりに昔の友だちに会ったような気がした。

ちなみに「コリコリ」とは新巻鮭の頭のことで、幼い作者の好きな食べ物だった。