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時間泥棒

昔の手紙は、書くのも切手を貼って投函するのも手間がかかった。いまやメールと携帯ですぐに連絡できるし、交通手段も発達している。ところが暇な時間はできず、ますます慌ただしく忙しくなる一方だ。「モモ」の時間泥棒が暗躍しているに違いない。

種イモ

幌馬車で旅を続けたローラの家族は、大草原に落ち着き、家を建てた。ところが、春先に畑を耕し、やっと種イモを半分植え付けしたときに、政府の命令で立ち退かなくてはならなくなった。そこはインディアン居留地だったのだ。

引っ越しの日、残しておいた種イモを、もう植え付けはできないので食べることにした。久しぶりに美味しいポテト料理を食べながら、とうさんが言った。

「大きな損をするときは必ずちょっぴり得するものさ」
'There's no great loss without some small gain.'


'Little House on the Prairie' by Laura Ingalls Wilder

ペリ太郎

新しい携帯が来た。慣れない操作に悪戦苦闘して電源を切ると、黒い画面一面に指紋が付いていた。クリスティの短編で、ミス・マープルが、完璧なメイドに化けた泥棒の指紋を採るためにわざと持たせた手鏡を思い出した。

「barmaid」になる「mermaid」

舞台はイングランド南東部サセックスのヒナギク野原。
旅人マーティン・ピピンが、6人の少女にお話をする。

フェアリーになりたい少年と人間になりたいフェアリーの話、
フェアリーも認めるなわとび名手の話、
食べても食べても太らない子豚の話、
掃除をさせられる海賊の話、
綺麗好きな7人姉妹に育てられた小さな煙突掃除夫の話、
居酒屋に勤める人魚の話など、登場人物もさまざま。

"Martin Pippin in the Daisy-Field" by Eleanor Farjeon

糸の玉

「からだだけで、しっぽがない。でも、ネコにあげると
しっぽだけで、からだがなくなるもの、なあに?」
というなぞなぞがあった。

(I'm all Body and no Tail, But give me to your Cat,
I'm no Body and all Tail.)

答えは「糸の玉」
(a Ball of String)。

ネコがじゃれると糸玉がほどけて糸になってしまう。なるほど。


"Martin Pippin in the Daisy-Field" (Fourth Interlude)
by Eleanor Farjeon

ホビット

「ホビット」を最初に読んだのは瀬田貞二訳だった。ガンダルフの「やんぬるかな」、つらぬき丸、忍びの者、ゴクリの「いとしいしと」など忘れられない。
ただし、ビルボとゴクリのなぞなぞ対決や、詩の部分は訳せないので原書の方が面白い。

'The Hobbit' by J.R.R.Tolkien

ハビトロット

「むかしむかし、やさしく美しいけれど、怠け者の娘がいました。結婚式も近いというのに楽しく踊ってばかりいたので、嫁入り支度にする糸紡ぎがぜんぜんできていません。娘が森で泣いていると、小さなおばあさんがあらわれました。おばあさんは、糸車を素晴らしい速さでまわしていて、娘の代わりに糸紡ぎをしてくれるというのです。おばあさんが紡いだ糸は見事なできばえで、娘は糸紡ぎの名手として有名になってしまいます。

やがて、結婚の日になりました。そのお祝いの席に、醜いおばあさんがやってきたのです。その唇は垂れてねじれ、親指は広がり、足は扁平で、背中は曲がっています。どうしてそんな姿になってしまったのかと聞かれたおばあさんは、それが、長年の糸紡ぎのせいだと答えます。それを聞いた花婿は、花嫁には一生糸紡ぎはさせないと誓いました。めでたしめでたし」

その話を聞いていた動物たちは、「何の教訓もないけど、すてきな話」と言う。同感。

グリム童話にもある話だが、これはポター作。
Habbitrotとして知られるおばあさんが糸を紡ぐ音は、「trot,trot,habbitrot」と聞こえる。「trot」は馬が駆ける音でもある。目にもとまらぬ速さで回る糸車が思い浮かぶ。


"The Fairy Caravan" by Beatrix Potter

月の男

英国伝承童謡に

 The man in the moon
 Came down too soon,
And asked his way to Norwich;
 He went by the south,
 And burnt his mouth
With supping cold plum porridge.

というのがある。
地名のノリッジと、お粥のポリッジ、その他、韻を踏んでいるので調子がいいが、
「冷たいお粥でやけどした」という意味不明な不思議な詩だ。

ファージョンの「銀のシギ」は、この詩と、昔話とから想像をふくらませて生まれた。「月の男」チャーリーが、最後にすばらしく変身するのに驚かされる。

秋の絵本

小さな女の子、Sal(Sallyの愛称だろう)は、お母さんと山にブルーベリーを摘みにいった。ジャムにして冬の保存食にするために。

ちょうど、クマの親子も冬眠を前にブルーベリーを食べに山を下りてきた。それぞれの親子が入れ違ってしまったから、さあ大変!
無事に、それぞれの親子がめぐり合ってほっとする。

いわゆるファンタジーではないので、動物と人間が交流することはないが、それでもクマの親子の心情がよくわかり親しみを感じさせる。
帰ってから、ジャムを作っている場面がいい。秋になると思いだす絵本だ。

"Blueberries for Sal by Robert Mccloskey 1948

「豆になりたくない!」

春にロンドンで買ってきた絵本。パステルカラーの絵が明るく楽しい。

カバのHugoと、小鳥のBellaが、「昔話の仮装パーティー」に、どんな役で行くか相談している。

「お姫さまと豆」(Princess and the Pea)では、ベラは豆になりたくない。
「人魚と岩」では、ヒューゴは岩になりたくない。
「王様と道化師」では、ベラは道化師になりたくない。
「シンデレラとカボチャ」では、ヒューゴはカボチャになりたくない。

喧嘩した二人は、それぞれ反省し、二人とも最初の話のお姫さま役を相手に譲ることにする。二人とも「豆」役になり、
"And we're two peas in a pod"で、めでたしめでたし。

「Princess and the Pea」の元は、アンデルセンの「布団を何枚も何枚も重ねた下のエンドウ豆が気になって寝られなかった『本物のお姫様』」のお話。
「pea」の使い方が面白いが、「two peas in a pod」は、日本語では「うりふたつ」なので、豆でなく瓜だ。

"I don't to be a pea!" by Ann Bonwill & Simon Rickerty, Oxford University Press