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フクロウ菌

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「万作萬斎狂言」を観た。
以下はパンフレットを参考にした曲の覚え書き。

「梟山伏(ふくろやまぶし)」
梟の巣にいたずらしたので梟に取り憑かれた弟のため、兄が山伏に祈祷を頼む。能「葵上」のパロディだそう。六条御息所ならぬ梟の祟りの感染力はとても強烈で、鳴き声が頭から離れない。

「舟(ふね)ふな」
西宮に遊山に出かけた主(あるじ)と太郎冠者。神崎の渡しで舟を呼ぼうとするが、「ふな」と呼ぶ太郎冠者に、主が「ふね」と呼べとたしなめる。二人は、それぞれ古歌を引き合いに出すが、一つの歌で六歌仙まで持ち出してごまかそうとする主の方が分が悪い。太郎冠者にやりこめられる主の話だが、万作の主はおっとりと品があって憎めない。

「宗論」
都へ帰る法華僧と浄土僧(萬斎)が道連れになる。互いに犬猿の仲の宗派と分かり、宗論を戦わせるが、「隋喜(ずいき)」を「芋苗(ずいき)」と説明したり、「無量罪(むりょうのさい)」を「無量菜(むりょうのさい)」つまり食べきれないほどの料理と説明したりと面白い。てんやわんやの挙句、結局はどの宗派でもよいという結論に?

大向こう

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歌舞伎座で「秀山祭九月大歌舞伎」の
「再桜遇清水(さいかいざくらみそめのきよみず)」を見た。

鎌倉の新清水(しんきよみず)寺で、桜姫(中村雀右衛門)の恋人の清玄(きよはる)は、姫に横恋慕する胤長(たねなが)に文を見つけられ引っ立てられる。
姫の腰元の山路が、文にある名は僧の清玄(せいげん)(染五郎)であると強弁し、清玄(せいげん)は驚きながらも人助けのためと、破戒僧の汚名を着せられ寺を去る。
ところが、真剣に姫に恋した清玄(せいげん)は堕落の一途をたどり、ついには姫に迫るところを、姫の奴磯平(中村歌昇)に殺されるが、それでもなお怨霊となって桜姫を追う。

当代の吉右衛門が、江戸時代の話を元に脚本を書き、過去二回演じ、今回は監修した作品。染五郎は奴浪平(やっこなみへい)との二役。早変わりで忙しい。

名前の漢字が同じだったばかりに死ぬ羽目になった不運な僧の話で、最後も「あれ!?」という終わり方だが、楽しく華やかな江戸の娯楽という感じがした。

時間の都合上、「一幕見席の通し」で、この演目だけ見た。四階最上列だったので両端から「高麗屋」「播磨屋」などと声がかかる。日本人より西欧系の観客が多く、声がかかるたびに興味深そうにそちらを見ていた。

茂山狂言会

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「蝸牛」
長寿の薬といわれる「蝸牛(カタツムリ)」を探すよう命じられた太郎冠者が見つけたのは山伏だが・・・。(宗彦、童司)

「棒縛(ぼうしばり)」
留守の間にお酒を飲まないようにと主人に手を縛られた太郎冠者と次郎冠者が、あの手この手で蔵の扉を開け酒を飲もうとする。(逸平、茂)

五世千作、十四世千五郎襲名披露記念公演
「三番三(さんばそう)」
能「翁」の中の、狂言師による五穀豊穣を祈る舞。(千五郎)
大地を踏みしめる力強さがある。

「縄綯(なわない)」
借金のかたにとられた太郎冠者。働かないので元の主人の下に返され、縄を綯いながら新主人の悪口を言いまくっているのを新主人に聞かれてしまう。太郎冠者の独演。(千作)

「髭櫓(ひげやぐら)」
大髭自慢の男が宮中に行くための衣装を作るよう妻に言って断られ、妻を打ち据える。怒った妻は近所の妻を集めて攻めて来る。男は髭に櫓をつけて防戦するが・・・。囃子と地謡つき。(茂、逸平)

魚づくし

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三月大歌舞伎、昼の部、千穐楽

一、明君行状記(めいくんぎょうじょうき)
真山青果作

備前国岡山の青地善左衛門(坂東亀三郎)は禁猟地内と知らず鳥を撃ち落とし、法の通りに死罪にしろと言い張る。名君と誉れ高い藩主、池田光政(中村梅玉)が、彼を納得させる名裁きをする。

二、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
渡海屋(とかいや)、大物(だいもつ)浦

兄頼朝の追手から逃れるため九州へ向かう義経(梅玉)一行は、大物浦の船問屋、渡海屋で出船を待つ。
渡海屋の主人銀平(仁左衛門)は、実は壇ノ浦の合戦で死んだはずの平知盛で、女房は典侍の局(すけのつぼね)、娘は安徳天皇。
密かに復讐の機会を狙っていた知盛は船出した義経一行を襲うが、返り討ちにあう。典侍の局(中村時蔵)は、義経に安徳帝(市川右近)を托して自害し、知盛も碇と共に海中へ身を投げ壮絶な最期を遂げる。

義経に信用させるため、鎌倉方と偽り銀平にあしらわれる相模五郎(坂東巳之助)の捨て台詞「魚づくし」(・・・いなだぶりだとあなごって、よくいたいめざしにあわびだな・・・)が面白い。
能の「船弁慶」は、知盛が怨霊となって現れるが、こちらは現実的な設定だった。

三、神楽諷雲井曲毬(かぐらうたくもいのきょくまり)
江戸の風俗舞踊、どんつく

参詣人で賑わう亀戸天神の境内。江戸っ子の太神楽の親方鶴太夫(松緑)と田舎者の荷物持ちのどんつく(巳之助)。曲芸を見せる彼らの周囲に、若旦那(海老蔵)や大工(菊五郎)など大勢の人が集まり、賑やかに舞う。
十世坂東三津五郎が得意とした舞踊を、三回忌追善狂言として息子の巳之助が上演。

野村家三代

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滋賀県大津市びわ湖ホールで、野村万作・萬斎の狂言を見た。

演目は、
「長光(ながみつ)」
都見物に来た坂東の男の太刀を、大津の市ですっぱ(詐欺師)が自分のものにしようとし、目代(代官)が仲裁に入るが…?

「膏薬煉(こうやくねり)」
名人を名乗る上方の膏薬煉(萬斎)と鎌倉の膏薬煉が、膏薬の吸い比べをする。
膏薬は、毒素を吸い取るといわれたもので、互いに自分の膏薬は、大きな石を運び上げたり馬を引き寄せたりする効能があると自慢しあう。挙げ句の果て、実際に自分の膏薬で相手を引き寄せる対決をするが・・・?
膏薬を煉るのに使う松脂は滑るものらしい。

「二人袴(ふたりばかま)」
婿入り(結婚後、新郎が妻の実家に初めて挨拶に行く)の日、父(万作)に付き添われた息子(野村裕基)。長袴が一つしかないので、履き替えて順に挨拶に出向くが、二人一緒に来るように言われ、さあ大変!
父が息子に長袴の履き方を教え、さりげなく手伝うところは、祖父から孫への芸の伝承の一場面でもあり、初々しい息子役は今ぴったりの役だった。

拍子木の音

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「吉例顔見世大歌舞伎:
橋之助改め八代目中村芝翫(しかん)と、三人の息子たちの襲名披露公演」を見た。

一、元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿(おはまごてんつなとよきょう)
真山青果作、昭和初期の新歌舞伎。
後の六代将軍家宣(いえのぶ)になる徳川綱豊(仁左衛門)の御浜御殿。赤穂浪士の富森助右衛門(染五郎)が、吉良上野介に襲いかかるが、それは綱豊だった。綱豊は、方や浅野家再興を画しつつ、仇討ちをするのは「義」ではないと諭す。
台詞が長い。

二、口上
裃(かみしも)姿の役者たちが揃って挨拶。

三、近江源氏先陣館 盛綱陣屋(もりつなじんや)
18世紀、近松半二らによる浄瑠璃が元の時代物。
兄弟で、徳川と豊臣の敵味方に分かれた真田(さなだ)兄弟に対比。
頼朝亡き後、鎌倉方と京方の間で争い。佐々木盛綱(芝翫)は、弟の高綱の子の小四郎(尾上左近)を生け捕る。高綱討死の知らせに、盛綱は首実検を命じられる。それは贋首だったが、それを承知で小四郎は切腹。その意を汲んだ盛綱は本物と認める。
謡い、三味線、床に置いた板を叩く拍子木が入る。

四、芝翫奴(しかんやっこ)
囃し方、数人の謡いと三味線をバックに、奴が踊る。
襲名した三兄弟の橋之助、福之助、歌之助が交代に演じ、10日は中村歌之助。

大掛かりな舞台装置と華やかな衣装だが、仇討ちを勧めたり、祖母が孫に切腹を勧めたりと、話はなかなか凄まじい。
拍子木の音が効果的。
盛綱らの長袴(ながばかま)の裾をいちいち直すため黒子がついていた。
四時半に始まり、終わったのが九時半。何度も幕間はあるが五時間の長丁場だった。

月夜の狂言二曲

「万作萬斎狂言」

「月見座頭」
中秋の名月の夜、盲目のため河原で虫の音を聞く座頭と、月見にきた男が歌を詠みあい意気投合するが・・・
辛い目に遭いながら自力で杖を探し川の流れから方角を知り、気を取り直し帰途に着く座頭の哀愁と逞しさ。

万作―このあたり(洛外)に住む座頭、萬斎―上京(かみぎょう)の者
上京(洛中)は都会、洛外は田舎。「例えれば東京23区とそれ以外」という解説。

「拭取(ふきとり)」
男が、清水の観世音から月夜に五条の橋で笛を吹けば妻を授けると告げられたが、笛が吹けないので代わりに吹くよう知人に頼む。
お告げの通り女が現れるが・・・

萬斎の笛が見事。
帰り道、実際に綺麗な満月だった。

三輪(みわ)の女神

「三輪」の半能(能の後半)を見た。
大和の三輪神社の杉の木の陰から現れた三輪の神が舞い、夜が明けると消えてゆく。
シテ、ワキ、そして囃し方の笛、小鼓、大鼓、太鼓とそれぞれ数百年に渡り受け継がれてきた流派がある。

三輪の神は、女姿をしていて、能の歴史を含め厳かに美しかった。

春爛漫 茂山狂言会

「茂山狂言会」を見に行った。

「柿山伏(かきやまぶし)」
柿の木に登っている山伏を懲らしめようと、畑主が烏や猿の真似をさせる。

「附子(ぶす)」
附子という毒だと聞いていたものが実は砂糖だと分かり食べてしまった太郎冠者と次郎冠者の言い訳は・・・?
附子(ぶす)とは、猛毒アルカロイドを含むトリカブトの事だそうだ。

「墨塗(すみぬり)」
都から故郷に帰る大名が馴染みの女に暇乞いをすると女は泣き出すが、実は茶碗の水を使った嘘泣き。それに気づいた太郎冠者は、水を墨に取り替えてしまう。

「文蔵(ぶんぞう)」
太郎冠者が都でご馳走になった珍しいものの名を思い出すため、主人は「源平盛衰記」の「石橋山の合戦」を朗々と暗唱するはめになる。結局、「文蔵」だと分かるが、それは「うんぞう」の思い違いだった。
「石橋山の合戦」は、石橋山(小田原市)で、源頼朝が平家に負けた戦い。佐奈田与一と、その家来の文三家康が共に奮戦した後討ち死にした。また「うんぞう」とは、禅寺で作る「温糟粥(うんぞうがゆ)」というものだそうだ。

「長光(ながみつ)」
都から故郷に帰る田舎者が土産物を買いに行くと、すっぱ(詐欺師)に太刀を取られそうになる。二人の争いを代官が裁こうとして太刀の銘などについて聞くと、すっぱは田舎者の答えを聞いて同じ事を言うが・・?

ほとんど小道具を使わずことばだけの、芸に裏打ちされた乾いた笑いの世界だ。装束も色々あって楽しい。

歌舞伎座

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「吉例顔見世大歌舞伎 十一世市川團十郎五十年祭」を見た。

一、江戸花成田面影(えどのはななりたのおもかげ)長唄囃子連中
海老蔵長男の堀越勸玄(かんげん)初お目見得。

二、元禄忠臣蔵仙石屋敷(仁左衛門の内蔵助)
内蔵助以下赤穂浪士が、仇討ち後、仙石伯耆守(ほうきのかみ)に仔細を申し立てる。

三、歌舞伎十八番の内 勧進帳(幸四郎の弁慶と染五郎の富樫)
加賀国安宅の関、松の木を背景に、囃子方と三味線が後ろに並び、動きや台詞が能楽つまり古い形に近い。

四、河竹黙阿弥作 天衣粉上野初花「河内山(こうちやま)」
松江邸広間から玄関先まで(海老蔵の河内山)
江戸城の茶坊主ながら悪人だが憎めない主人公が、主人になびかない腰元浪路を助ける。

大掛かりな舞台転換と華やかな衣装と派手な動き。
江戸時代、民衆の一番の楽しみだった様子が思い浮かぶ。
ただし、お弁当の時間も含め、四時間半という長丁場。
昔は時間の流れがゆったりしていたのだろう。

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