十二月大歌舞伎
夜の部
一、壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)阿古屋(あこや)
平家滅亡後、平家の武将の景清(かげきよ)の行方を問いただすため、愛人の遊女、「遊君(ゆうくん)阿古屋」(玉三郎)が引き出される。景清の所在を知らないという阿古屋を岩永左衛門(松緑)は拷問にかけようとするが、詮議の指揮を執る重忠(しげただ)(坂東彦三郎)は、阿古屋に琴、三味線、胡弓を弾かせることで心の内を推し量ろうとする。言葉に嘘があるなら、調べに乱れが表れるというのである・・・。
人形浄瑠璃が元なので、岩永左衛門は人形の振りをする。
三曲を実際に演奏しながら細やかな心情を表現しなくてはならない女方の大役「阿古屋」を、玉三郎が若手二人に引き継ごうとしている。
二、あんまと泥棒
NHKラジオドラマの脚本を元にしたもの。
ある夜更け、あんまの秀の市(中車)の家に、泥棒の権太郎(松緑)が押し入って金を出すよう迫るが・・・。
三、二人藤娘(ににんふじむすめ)
娘姿の藤の精(中村梅枝、中村児太郎)による舞踊。
琵琶湖畔の松の大木にからむ藤の花のもとに、美しい娘姿の藤の精が現れて踊る。衣装の早替わりが何度もあり華やか。
貫禄の阿古屋と初々しい藤娘だった。