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ギリシャ神話の疫病

ギリシア神話に次のような話があった。

ゼウスが寵愛した女性の一人にちなんで名づけられたアイギーナの島は、その息子のアイアコスにより治められていた。
それを憎んだゼウスの正妻、ヘーラーが島に疫病を送ったため、国は荒れ果て動物も人も死に絶えた。
アイアコスは嘆き悲しみ、父であるゼウスの祭壇に祈りを捧げると祈りは聞き届けられ、近くの樫の木を登っていくおびただしい数の蟻が人間になった。
アイアコスは、蟻(ミュルメクス)から生まれたこの勤勉な種族を、蟻にちなんで「ミュルミドーン」と呼んだ。


この中の疫病に関する描写は、紀元前5世紀、ギリシアの歴史家、トゥキディデスが、当時アテーナイに起こった疫病について体験したことを書いたものが元になっているそうだ。

人類は、古代神話の世界から今に至るまで疫病に悩まされてきたということで、数千年経っても進化しているのかどうか分からなくなってきた。


「ギリシア・ローマ神話:伝説の時代」トマス・ブルフィンチ著、大久保博訳、角川文庫

王の息子

バーネット作「小公子」は、アメリカ生まれの少年セドリックが、ある日イギリス貴族ドリンコート伯爵の唯一の跡継ぎ「フォントルロイ卿」であると知らされるところから始まる。
久しぶりに読んだら、19世紀後半、南北戦争後で、若い国アメリカも、歴史ある国イギリスも共にまだ活気のある時代の話だった。

ちなみに原題は、「Little Lord Fauntleroy」だが、この「Fauntleroy」は、「son of the king」という意味らしい。

中身は空っぽ

南仏出身のパン屋さんのお店で「シューケット」というお菓子を見つけた。丸くてサクサクしてとても美味しい。食べながら、これは「大草原シリーズ」の「vanity cakes」だと思った。

「大草原シリーズ」は、作者ローラの子ども時代の経験を元にした19世紀半ばのアメリカ開拓者の生活を描いた作品である。決して豊かではない厳しい生活だが、ローラの母さんは色々工夫して美味しい料理をつくってくれる。たくさんの学校友だちを招いたときのおもてなしが、この「vanity cakes」だった。これは、卵を泡立て小麦粉と混ぜて一口大にしてこんがり油で揚げたもので、甘くはないが「Rich and crisp」そして中は空っぽと書かれている。
「虚栄心(vanity)のように、膨らんでいるけれど中身は空っぽ」という名前も面白い。遊んだ後で、搾りたてのミルクを添えたこのおやつはとても美味しかったことだろう。

"On the Bank of Plum Creek" by Laura Ingalls Wilder, 1953

星の王子さま

岩波の「星の王子さま」の原題は、「Le Petit Prince」、英語訳では「The Little Prince」なので日本語の直訳では「小さな王子」になる。最近は色々な新訳も出ているようだが、「星の王子さま」に親しんできた人間にとっては、内容を的確にあらわした良い題名で、これ以外の題名はしっくりこない。翻訳は別の作品になる部分もあると思う。

御馳走は「鳥」?

毎年クリスマスの時期になると「The Twelve Days Of Christmas」という歌を思い出す。歌詞は18世紀に作られたらしい。

On the first day of Christmas, my true love sent to me
a partridge in a pear tree.

という具合に始まり、クリスマスの12日間に恋人がくれた贈り物をどんどん積み重ねていく。
とりあえず最初の四日間は色々な種類の鳥。五日目に金の指輪。六日目は、また鳥で、その後は主に演奏者や踊り手という云わばパーティー要員。
一見、荒唐無稽だが考えてみれば「御馳走と金と娯楽」というのは今も変わらず喜ばれるプレゼントかもしれない。

白鳥のダウン

20世紀初めの米国の西部開拓者の生活を描いた「大草原シリーズ」は、どの巻もクリスマスが家族にとって一番の記念日として描かれている。主人公のローラがかなり成長した「シルバーレイクの岸で」では、母と娘たちがそれぞれ内緒で手作りの贈り物を準備しているのだが、末娘グレースへの贈り物は手作りのコートだった。
秋に、父が誤って撃ってしまった白鳥の羽毛(down)をフードと襟飾りにした青いコートは、さぞ綺麗だったことだろう。でもダウンは飾りなので、あまり防寒の役目は果たさなかったかもしれない。


"By the Shores of Silver Lake" by Laura Ingalls Wilder,1939

四分の三

ラグビー・ワールドカップ日本大会が開催されたが、かの有名な名探偵ホームズの事件簿に、ラグビーの選手が依頼人の「The Adventure of the Missing Three-Quarter」がある。
最初に読んだ時は、「Three-Quarter」が、ラグビーのポジションの一つだということも知らなかった。ちなみに、ホームズもラグビーの有名選手には詳しくないようだった。
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首相の鞄

アダムのおばさんは、お見舞いに行くときに「Gladstone bag」を持っていった。これは、革製のぷっくりした中型の旅行鞄で、英国の首相の名にちなんだ極めて英国的な鞄だそうだ。この本の挿絵にも登場する。
さて、その中に何を入れて帰ってきたのだろう?


"Minnow on the Say" by A.Philippa Pearce, Illustrated by Edward Ardizzone1955

瓶ではなくて壺

"Minnow on the Say"は、少年二人の友情と川下りと先祖の宝探しという「古き良き英国らしい物語」だ。
少年アダムの伯母が、昔つくった花いっぱいのお手製ワインは、大き目の「Chinese ginger-jar」に入れられていた。これは、香辛料を入れた陶磁器の蓋つきの壺らしい。それなら中身が何か分からないし、他の物でも入れられる。何が入っていたのだろう?

"Minnow on the Say" by Philippa Pearce, Illustrated by Edward Ardizzone,1955

事件の現場?

"The Otterbury Incident"は、英国の詩人、セシル・デイ=ルイスの児童文学作品である。

第二次世界大戦後の英国の田舎町オタバリには、唯一の空爆で廃墟となった場所がある。そこは「Incident」と呼ばれて少年たちの遊び場になっている。その空爆で少年ニックは両親を亡くし、自身も瓦礫から助け出された。
ある日、たまたまニックが蹴ったサッカーボールが教室の窓ガラスを割ってしまい、テッドとトピーをそれぞれのリーダーとする二組の少年たちは、知恵を絞り、協力してガラス代金を集めた。
ところが、そのお金が無くなりテッドが疑われた。
少年たちは推理をし、真犯人の目星をつけ、その倉庫に潜入しガラス代を取り返そうとしたが、大冒険の挙句、犯人の贋金づくりと闇物資を発見する大手柄をたてることになった。

それぞれの少年が個性的だが、テッドの無実を証明しようと人が変わったように行動的になるニックが印象に残る。
陰の主役である「Incident」は、日本語に訳すのは難しそうだ。


"The Otterbury Incident" by Cecil Day Lewis, Illustrations by Edward Ardizzone, 1948

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