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RUFUS M.

20世紀初め、第一次大戦時代のニューヨーク郊外に住むモファット家には四人きょうだいがいる。

ある日、末っ子ルーファスは、まだ字も読めないのに兄姉たちのように図書館で本を借りたくて、一人で出かけて行った。借り出しカードを作るため、まずは汚れた手を洗うために一苦労。次に、図書館の「library lady」が書いてくれたお手本を見て必死で練習したルーファスは、やっとのことで「RUFUS M」まで書けるようになった。最後に、家に帰ってお母さんのサインをもらえば完璧だが、戻ってくると、なんと図書館は閉まっていた。あきらめきれないルーファスは・・・

図書館が、知識や娯楽の最先端で誇り高かった時代のお語。
決して優しくはないがルーファスの努力を認めて少しだけ規則を緩めてくれるladyが良い。

"Rufus M." by Eleanor Estes, Illustrated by Louis Slobodkin,1943

一字違いで・・・

メアリー・ポピンズの買い物に「macaroon」があった。
いわゆる「マカロン」ではなく、アーモンドと卵白砂糖で作るクッキーのことらしい。
最近人気の「マカロン」はフランス語で「macaron」と綴り、1930年代にパリのお菓子屋が考案したもので、材料は同じだが砂糖が半分以上入っているそうだ。

どちらも歴史は古く、イタリアのマカロニと同じ語源で「粉を練って切ったもの」というような意味だとか。

"Mary Poppins Comes Back" by P.L.Travers,1935

ピピンの本名

「peregrino」は、ラテン語から派生した言葉で「巡礼者」を意味するそうだ。英語では「pilgrim」。
「The Lord of the Rings」の旅の仲間の一人、「Peregrin」の名の由来が遅まきながら分かった。

空の上のサーカス

ある晩、ジェインとマイケルは星空のサーカスに招かれた。
出演者は、星で出来ている星座の動物や人物たち。
そこで、土星の道化がなぞなぞを出した。

"When is a door not a door?"
(戸が戸でないのはいつ?)

すると二人が答えた。
"When it's ajar!"
(半開きのとき)

「ajar」を「a jar(ビン)」とすると
(戸がビンのとき!?!)になる。

出版当時の子どもたちが良く知っていたなぞなぞなのだろう。

'The Evening Out',
"Mary Poppins Comes Back" by P.L.Travers,1935

所変われば・・・

英語圏の伝承童謡に、次のようなものがある。

'One for sorrow,
Two for joy,
Three for a girl,
Four for a boy,
Five for silver,
Six for gold,
Seven for a secret,
Never to be told'

これは、鳥の「magpie」が枝にとまっているのを見たとき、その数で先行きを占うことができるという古くからの言い伝えが元になっている。
また「magpie」には、「噂好きな、おしゃべりな人」という意味があるそうだ。

「magpie」は、日本語では「カササギ」になる。
こちらは、七夕の夜、織姫と彦星が会うときに、天の川に連なって橋になる話を思い出させる。カササギの橋は、百人一首にも出てくる。どちらも美しい。

同じ鳥でもずいぶん印象が変わるものだ。

薄謝

Poohは、ロバのEeyoreのしっぽを見つける方法を、 物知りのOwlに聞きに行く。
Owlは、しっぽを見つけた者に 'Issue a Reward'を提案するのだが、それをPoohは 'atishoo!'と聞き間違え、話の途中でくしゃみをしたので分からなかったと頓珍漢な会話になっていく。
石井桃子訳では、「薄謝を贈呈する」となっていて「ハクシャ」が「ハクション!」を連想させる。これは名訳だと思う。

'In which Eeyore loses a tail and Pooh finds one',
"Winnie-the-Pooh" by A.A.Milne'

タータン

アーサー・ランサム作、"Great Northern?"には、
スコットランドのハイランド地方の服装をしたゲール人(Gael)の族長が登場する。
'in full Highland dress, with tartan kilt and deerskin sporran’

tartanは、ハイランド地方の格子縞の織物。
kiltは、tartanで仕立てたスカート状の民族衣装。
sporranは、kiltに付き物の小型の皮袋。

tartanは、16、17世紀頃からハイランド地方で発展してきた。
17世紀後半から18世紀中頃に反乱を起こしたジャコバイトが身に着けた事から、着用を禁止された時代もあったが、19世紀以降、英国の王族が着用するようになり、一般にも広まった。

そのデザインはスコットランドのクラン(氏族)、地方、軍隊、王室などに分かれ、それぞれに多くの種類がある。現在では企業用など、新しいものが色々作られているようだ。

"Great Northern?" by Arthur Ransome,1947

プロセルピナ

James Reeves作の 'Pluto and Proserpine'という詩がある。

黄泉の国の王プルートがプロセルピナに求婚する。
私の女王になるなら結婚指輪を与えようというプルートに、
プロセルピナは、黄泉の国には花や鳥の声や子どもの笑いや日の光があるかと問う。
どれも無いと言われた彼女は、
「花や鳥や日の光には飽きたし、私は暗闇は怖くないから、あなたと結婚して、笑いがない人たちを慰めてあげるわ」と答える・・・という内容だ。

神話では、問答無用でさらわれて黄泉の国の女王になるプロセルピナだが、この詩では、彼女が求婚を納得して受け入れるというのが良かった。

'Blusterous day'

先月の台風は恐ろしく風が強かった。その後、川岸の松の木が根こそぎ倒れていたのを見て、Poohの話を思い出した。Owlによれば'Blusterous day'、つまり「暴風が吹き荒れる日」の話である。

PoohとPigletが、風の強い秋の木曜日に 木の洞にあるOwlの家にいると、突然その木が倒れた。いまや床が壁になり、壁が天井になってしまった家の中で、Poohの思いつきにより、Pigletが天井にある郵便受けから抜け出し助けを呼びにいく。臆病なPigletの一世一代の大活躍である。その間、Owlは伯父の話を延々と続けていた・・・。

昔から楽しく読んできたが、挿絵を見ながら読み返してみると、かなり大変な状況である。
そういえば以前、大雨で家に閉じ込められたPigletを、やはりPoohの素晴らしい思いつきで助け出す話もあったし、大雪もあった。のどかな理想郷に思われる「the Hundred Acre Wood」だが、時には気候が荒々しくなるようだ。


'In which Piglet does a very grand thing',
"The House at Pooh Corner" by A.A.Milne

Georgeの別名

ドイツ生まれのレイ夫妻が、パリで創り出した小猿は「Fifi」と名付けられた。夫のハンスが描き、妻のマーガレットが話を書き、二人は、その原稿を持って第二次大戦中にアメリカに移住した。

戦後、それが絵本として出版されるとき、その小猿は「George」という名前になった。
その後、イギリスで出版されるときは、時の国王と同じ名前になってしまうので「Zozo」と変えられ、しっぽが付け加えられた。当時、イギリスでは、しっぽがあるのが「monkey」で、ないのは「ape」と区別されていたからだそうだ。

日本では「ひとまねこざる」として岩波から出版された。最初は縦書きで、スパゲッティが「うどん」と訳されていた。隔世の感がある。けれど、知りたがりやで大騒動を巻き起こすジョージの憎めない可愛さは、年月が経っても変わらない。

"Curious George Takes a Job" by H.A.Ray,1947

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