funini.com こどもの本ほか 雑記

雑記

トナカイの名前

Clement C. Mooreが19世紀初めに作った詩、「The Night Before Christmas」には、空からソリに乗ってきて家の煙突から入り、靴下に贈り物を入れてくれる陽気なSaint Nicholasの姿が描かれている。この詩から、今のアメリカのサンタクロースのイメージが確立したそうだ。ただし赤い服は着ていない。

ソリをひく8頭のトナカイの名前は、 「Dasher,Dancer,Prancer,Vixen,Comet,Cupid,Donder,Blitzen」 となっていて、20世紀に作られた「Rudolph the Red-Nosed Reindeer」の歌に使われている。ちなみに日本語の「赤鼻のトナカイ」には、8頭どころか主人公「Rudolph」の名前さえ出てこない。

2010年12月25日(土)


Queens

「A Traveller in Time(時の旅人)」の主人公ペネロピーは、20世紀初頭のロンドンから母方の伯父伯母が住むダービシャーの古い屋敷にやってきて、16世紀後半の過去に入り込んでしまう。 そこで女王様に会ったかと聞かれ、「会ったことはないけれどドレスは豪華だと聞いたわ」と答える。実は、過去の世界はエリザベス女王(一世)の時代、主人公の時代はヴィクトリア女王なのだが、会話が成立しているのが面白い。両方ともイギリスが繁栄した時代だ。

(Alison Uttley「A Traveller in Time」)

2010年11月12日(金)


「グレイラビットと、旅するハリネズミ」

働き者のグレイラビット(Grey Rabbit)は、ノウサギ(Hare)とリス(Squirrel)と一緒に住んでいる。 トウシンソウの芯を蜜ロウに浸したロウソクを灯りにし、水は泉から汲んで、小枝を燃やして料理をし、ハーブをお茶にし、落穂を挽いてパンを焼く。それは「作者が慣れ親しんだいなかの暮らし方」である。 たくさんのシリーズがあるが、この本では、冬を前にグレイラビットが、ハリネズミ、モグラ、水ネズミなど小さな生き物たちから少しずつ色々な色の布を集めて「旅するハリネズミ」にパッチワークのコートを作ってあげる。ときには恐ろしいフクロウも一役買う。キノコを焼く匂い、ナイチンゲールの鳴き声も聞こえてくる。

(Alison Uttley「Grey Rabbit and the Wondering Hedgehog」)

2010年10月16日(土)


「イギリスの古い農家のレシピ」

Alison Uttley著「Recipes from an Old Farmhouse」という本を見つけた。19世紀後半のイギリスの農場に古くから受け継がれてきた料理が集められているが、作者の母の手書きのノートが元になっていて、当時でも古めかしいものだったそうだ。 作者の幼い頃、料理といえば、味見をしたりいい匂いをかぐのが楽しみだったが、母や手伝いの娘にとっては重労働だった。 とにかく一度につくる分量が多かった。店が近くになかったし、来客のためにもいつもたっぷり保存してあったし、友人宅の訪問にもケーキ、ジャム、肉のペースト、クリームなどを持参した。作者が子どもの頃、50人の同級生をいきなり連れてきたときにも、皆のお茶に間に合うだけの食料がたっぷりあったほどだ。

たとえば、 &br; ・ 全粒粉のお粥は、温めた牛乳と砂糖をかける。オートミールと同じだが、水を加えてオーブンに入れ何と三日間かかる。 &br; ・ 北欧神話の雷神トールの名がついているトールケーキは、ガイフォークスデイの夜、野外で食べる。 &br; ・ たくさんの庭のリンゴを皮も芯も丸ごと水と砂糖を加えて煮て濾して緑色のピューレーにする。 &br; ・ 紅色のフキのようなルバーブのジャムにマーマレード、イースターのホットクロスバンズもつくる。 &br; ・ スコーンは簡単なので小さい頃に母に教わったそうだ。一番素朴なつくり方の材料は、粉とバター、塩、ベーキングパウダーにサワーミルクかバターミルク。作者の母のはバターが多めで卵が入る。どちらも砂糖が入らないのが私好みで身近に感じたが、「ベーキングパウダーはもちろん自家製」とあって驚いた。 &br; ・ カウスリップワインは黄色くてシェリーに似た味わいだそうだ。bilberry(コケモモの一種か)のサマープディングが作者のお気に入りだそうだが、どちらも摘むところから始まる。 &br; ・ その他、自家製の薬も多く、庭のハーブは様々に使われる。

いずれも決して洗練された繊細なものではないが、素朴で質実剛健な農家の暮しが感じられた。ナルニアの挿絵を描いたPauline Baynesの挿絵も魅力的で、作者の思い出がつまった楽しい本だ。

2010年09月02日(木)


ゾゾ

プーとコブタが、怖いけれど見たいと思っている「ゾゾ」は、「Heffalump」。ホビット族のサムが、実物を見て感激するのは、「Oliphaunt」。 「elephant」は幼児には発音しにくいことばなので、色々な言い間違いから新しいことばが生まれるのだろう。 ところが、日本語の「ゾウさん」は、幼児にも親しみやすいことばだ。こういう場合の訳も難しいと思う。

(「Winnie-The- Pooh」) (「The Lord of the Rings:The Two Towers」)

2010年07月 06日(火)


ニケア

イギリスがローマ帝国に統治されていた時代を舞台にしたサトクリフの歴史小説の一つ「銀の枝」の主人公の一人、ジャスティンの出身地ニケアは、どこだろう? 岩波少年文庫の訳注には、「小アジア半島の都市」とある。彼の最初の赴任地がユダヤだから近いので、それで問題ないと思っていた。確か宗教会議があったところだと思う。 ところが原書を読むと、本人が「ニケアです、南ガリアの」と言っている。南ガリアならフランスだ。ちなみに日本語訳では「南ガリアの」はカットされていた。 辞書によるとニケアには、フランスの都市ニースの意味もあるらしい。これなら、南ガリアでつじつまがあう。こんな小さな発見が、日本語訳があるのにわざわざ原書を読む楽しみの一つだ。

(「The Silver Branch」Rosemary Sutcliff)

2010年07月05日(月)


CHOO CHOO

新山口から「SLやまぐち号」に乗った。乗っているとガタンゴトン、ガタンゴトンという音とともに振動が伝わってくる。降りてから見送っていたらポーッと汽笛を鳴らしながらシュッシュッ、シュッシュッと力強く走り去っていった。

「Choo Choo(いたずらきかんしゃちゅうちゅう)」が年を取った感じだが、「Choo choo CHOO choo! Choo choo CHOO choo!」と走っていたのがお国柄の違いだ。

('CHOO CHOO' by Virginia Lee Burton)

2010年06月 21日(月)


雨の日の楽しみ

ミルンの詩に「Waiting at the Window」というのがある。幼いクリストファー・ロビンが、雨の日、窓辺で、窓ガラスを競争するように滴り落ちる二つの雨粒に、それぞれジョンとジェイムズという名をつけ、どちらが早く下まで滑り落ちるか応援しながら見ている詩だ。題名からして韻を踏んでいるが、声に出して読んでみると調子がよくて楽しい。挿絵には、プーやコブタやイーヨーもいる。 (「Now We are Six」, by A.A.Milne)

2010年06月02日(水)


「北極星を目ざして」

キャサリン・パターソン(Katherine Paterson)作、「ワーキング・ガール」(「 Lyddie」)は、幕末の頃のアメリカ、産業革命時の紡績工場で女工として働き、大学へ行くリディーの物語だ。 「北極星を目ざして」(「Jip, His Story」)は、リディーが先生になって登場する。主人公の孤児ジップは、弱者に心を寄せる優しい子だが、奴隷の子と分かり追われる身となる。先生たちの助けを得て北極星の方角を目ざし自由に向かってカナダへ旅立ち、成長後、南北戦争に身を投じる決意をする。精神を病むが、ジップのおかげで人間らしさを取り戻し、ジップのために命を落とすパットの歌が印象的だ。 二冊とも過酷な人生だが、たくましい明るさがある。ちなみに、邦訳題は、そっけない原題とはかけはなれているが、内容を簡潔にあらわしていて悪くないと思う。

(二冊とも偕成社)

2010年06月 01日(火)


新緑の季節

森林公園に行った。木々の枝の葉をレースのように透かして青空が見える。小鳥がさえずり、風は爽やかで、日光にきらめく水は冷たい。「Wind in the Willows」のような物語が始まりそうな風景だった。

2010年05月06日(木)


「Percy Jackson and the Olympians」

ニューヨークに住む少年パーシーは、実は海神ポセイドンの息子で水を操る力を持つ。

神々が住むオリュンポスの山がニューヨークの上空にあり、ポセイドンはアロハシャツにバミューダショーツで現れ、酒神デュオニッソスはダイエットコークを手にする。ギリシア神話の神々や怪物がアメリカのテーマパークの登場人物に貶められてしまった。

「稲妻」「予言」「half-blood」と「Harry Potter」シリーズを想起させることばがあるが、アメリカ的に翻訳されているものもある。例えば「Hogwarts」校はサマーキャンプの「Camp Half-Blood」で皆Tシャツとジーンズ姿だ。(「Harry Potter」でも思ったが「half-blood」は日本語ではどうなるのだろう?) ファーストフードやクッキーが主で食べ物に魅力がないのもアメリカ的か。

魔法使いとではなく、神々と人間との間の「half-blood」の子どもたちは、ADHDとdyslexiaの学習障害を持っているが、実はそれは人間以上の能力があるのが裏目に出ているのだということになっている。 また、悪の根源は神々の父クロノスで、パーシーは愛する家族や友人を守るために敵と戦う「hero」になっていく。すべてが判りやすく説明されるハリウッド映画の世界だ。

ちなみに、トヨタとホンダの他には、敵の子分が日系の名前だった。

・・・とケチをつけつつ最終5巻まで読んでしまった。アメリカの地理の勉強にはなった。

(「Percy Jackson & the Olympians」Rick Riodan著)

2010年03月08日(月)


寒い朝

寒くて朝起き上がるのが辛い。こんなときに思い出すのは、アメリカの開拓者生活を描いたLaura Ingalls Wilderの「By the Shores of Silver Lake」の中で、ローラが朝起きると布団の上に雪が積もっていたという場面だ。それも四月に。それよりはマシだと思ってがんばることにしている。

2010年02月07日(日)


「The Fairy Caravan」

インチキ毛生え薬を飲まされて毛が伸びすぎたguinea-pigのTuppenyは、highland terrierのSandyとPony Billyが率いる小さな旅回りのサーカスの一行に巡り合う。このサーカスがやってくると、虫食いの葉っぱのようにみえるお知らせが配られ、農場や森や草原に住む小動物たちがやって来て胡椒粒の代金を支払って出し物を楽しむ。

サーカスの一行は、魔法のシダの種を見につけているので人間には見えない。そして動物たちの話には、見えないけれど森の奥にいるfairyの話が出てくるし、森は恐ろしさも秘めている。見えないところに奥深い魅力がある。

ポニー、犬、豚、猫、羊など、それぞれが生き生きとして個性的だ。作者のBeatrix Potterが、「まわりにいる動物たちが、どんなことを話しているのかしら、私のことをどう見ているのかしら・・・」と想像して楽しんで書いたのがよくわかる作品だ。

2010年02月05日(金)