記事一覧

Ulpia Victrix

「第三十軍団、Ulpia Victrix」というのは、最近、気に入っているキプリングの「Puck of Pook's Hill」に出てくるローマ帝国の百人隊長が属していた軍団だが、イギリスの子ども向け(?)歴史小説家サトクリフの「Silver Branch」(銀の枝)を読み返していたら、それが出てきたのでびっくりした。史実として残っている唯一の軍団なのかもしれないが、サトクリフがパックに捧げる意味もあったのではないかと思う。

Puck of Pook's Hill

1906年にキプリングが子ども向けに書いた作品。DanとUnaの兄妹が、イングランド南部の'Pook's Hill'、すなわち「パックの丘」で「夏の夜の夢」の劇をやっていると、Puck本人を呼び出してしまう。彼は、二人の子どもにその付近にまつわる歴史上の人物を呼び出して当時の話を聞かせてくれるが、まわりの田園風景に、その話がうまく織り合わさっている。その中の一人、ローマ帝国の第三十軍団の百人隊長が'the Wall'、すなわち「ハドリアヌスの防壁」に赴く話は、その後の作家、サトクリフに影響を与えたと思われる。

Anne of Green Gables

L.M.Montgomery作「Anne of Green Gables」シリーズは中学時代の愛読書だった。その後、原書で読むと又おもしろい。簡単なところではMatthewというのが聖書のマタイだとか「刺し子の布団」がquiltだとか。
Anneの親友Dianaの名前をMatthewは「dreadful heathenish name」というが、ディアナはローマ神話の女神(ギリシア神話ならアルテミス)だからキリスト教徒のマシューにしたら「ひどく異教的な名前」なのだろうと、これも日本語では気づかなかった。

シャーロック・ホームズ

念願のSherlock Holmesの全作品集を買ってしまった。電話帳のような厚さで読みにくいのが難点だが、Strand誌のイラスト入りなのがうれしい。さっそくぱらぱらとめくっていたら、Irene Adlerの呼び方が「the woman」なのがわかった。

鏡開きの二日後に

鏡餅を飾ったわけでもないが、小豆を煮た。ことこと音がして、湯気で部屋があたたまり、豆らしい匂いがただよってくる。やわらかくなったら砂糖を入れて、さらに煮て、お餅を入れてできあがり。製作過程もふくめて冬の楽しみ。
大草原シリーズのローラの食卓にも、よくポークビーンズが登場する。貧しいときは大豆を煮ただけ。余裕があれば塩漬け豚を入れたりしていたが、とてもおいしそうだった。

「ガリア戦記」

 ローマ帝国の武将、ユリウス・カエサルの作で、実際に戦った本人の手記ならではの臨場感にあふれている。
 三人称の記述にもかかわらず、ラビエヌス、青年クラッスス、ブルトゥスなどを信頼しているのが分かる。けれど、副将ラビエヌスは、ルビコンでたもとを分かつし、クラッススは父の元に赴き戦死するし、ブルトゥスに至っては、カエサル暗殺に関わるし…と、その後を考えながら読むと複雑なものがある。
 カエサルは、いざというときは百人隊長一人一人に呼びかけ、鼓舞し、賞讚するなど、人身掌握が巧みで、また集めた情報を元に、迅速な作戦をたて、戦場で臨機応変に対処する抜群の指導力を持つ。そして、厳しい訓練を受けている軍団は、そのすばやい指示にこたえることができる。
 特に、ゲルマン人の前で短期間でライン河に橋をかけて全軍を渡らせ、その後、壊してしまう場面の、技術力、組織力がすごい。
(「ガリア戦記」カエサル、國原吉之助訳、講談社学術文庫)

王と女王の名前

Walter de la Mareの詩に「Kings and Queens」というのがある。
イギリスの歴代の王と女王の名前をずらずら並べて、韻を踏んだ詩にしているところがおもしろい。出てくる名前は、
「ヘンリーが8、メアリーが1、エリザベスが1、
ウィリアムが4、スティーヴンが1、アン、ヴィクトリア、ジョン、
ジェイムズ、チャールズ、チャールズの息子たち、
リチャードが3、エドワードが7、ジョージが4」
(作者の時代は、まだ、今のエリザベス二世ではなかった。)
あまり珍しい名前は無いようだ。

トンボソのおひめさま

 もぎたてのリンゴが、おいしい季節。ころっと小ぶりで真っ赤な紅玉は、可愛くて、一人で食べるにも手頃で、酸味がきいていて、アップルパイに入れてもおいしい。
 紅玉を食べていると、美しいが性格が悪い「トンボソのおひめさま」を思い出す。
彼女は、若者から宝物を取り上げようとしたが、リンゴ好きが災いして、罰として「30センチばな(鼻)のおひめさま」になってしまった。でも、おいしそうなリンゴの誘惑に負けてしまったところが憎めない。
(「トンボソのおひめさま」岩波書店)

「Peacock Pie」

イギリスの詩人、Walter de la Mareの子ども向けの詩集、「Peacock Pie」を読んだ。
日常の暮らしの一こまを、目や耳など五感を研ぎ澄ませてみると、「sense of wonder」が感じられる。底知れぬ深みも感じられる。不気味さもたっぷり。
Ardizzoneの挿絵がぴったり。

新幹線の窓から

名探偵ホームズは、列車の窓から見える線路際に立っている柱の間隔を知っていて、時計を見ながら列車の速度を計算した。ローラ・インガルスは、病気で失明した姉メアリーに、列車の速さを感じてもらおうと、柱が通り過ぎるたびに教えてあげた。
でも、新幹線の窓から見ていると電柱は飛ぶように流れ去っていき、とても数えてなどいられない。時の流れも昔より速くなったのだろう。