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「東風吹かば匂いおこせよ梅の花…」

京都の北野天満宮は、梅の花が満開だった。梅は、桜ほど派手ではないが、紅梅、白梅と並ぶと、春が来た喜びを控えめな中にも華やかに告げている。天満宮は、今でこそ「学問の神様」として、全国で平和に信仰されているが、平安時代、この歌を残して福岡の大宰府に左遷された菅原道真の霊を鎮めるために建立された当時の北野天満宮は、さぞ凄まじい「気」に満ちていたことだろう。去年、訪れた大宰府天満宮の方は、同じ道真を祭っていても、のびやかで明るい感じがした。荒れた天候などを、怨霊になった道真のたたりだと信じた京の都人(みやこびと)は、よほど後ろめたかったのだろうか。