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電車の中で

電車の一番前に乗ったら、運転席から大きな声が聞こえてきた。見ると新米の運転士さんで、電車が走っている間中、線路脇の青信号では「進行」、通過駅では「通過」、その他「良し」「制限65」など、ずっと大声で確認していた。隣に先輩の運転士さんが座っているのが、余裕があってとても頼もしく見えた。

停車した駅では、白い手袋で前方を指差して「出発進行!」、そして扉が閉まっているのを確認した後、「定刻」と言って出発した。走行中、慎重になりがちなのか、昼間で乗客が少ない時間なのに、数駅先では「定刻」が「20秒エン」になった。「エン」は遅延の延だろうか。次の駅では「50秒エン」、その次は「1分10秒エン」と少しずつ遅れていった。

新米の運転士さんの背中から緊張が伝わってくるような気がした。頑張れ!と心の中で応援しながら、途中の駅で降りた。