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ルーブル美術館展

ルーヴル美術館展に行った。黄金期オランダのフェルメール「レースを編む女」を初め、17世紀ヨーロッパ絵画を集めて見ごたえがあった。

宗教画でキリストの生涯をたどってみると、まず誕生以前を描いたムリーリョの「6人の人物の前に現れる無原罪の聖母」のマリアは清純で、カルロ・ドルチの「受胎告知」のガブリエルは気品があり、シモン・ヴーエの「エスランの聖母」のマリアは美しく、幼子イエスは愛らしい。珍しく養父ヨセフと子どものイエスを描いたのが、ラ・トゥールの「大工ヨセフ」。その後は、磔刑のイエスを描いたフランケンの「キリストの受難」で、最後はキリストの死後のマリアとペテロを描いたヴェルチーノの「ペテロの涙」。信仰の上からも、創作意欲を刺激する題材だろうが、時の権力者を脅かし、その後の世界を変えた魅力的な指導者であったはずの青壮年期のイエスの姿が無いのがおもしろく思われた。