以下は、しおりを参考にした印象に残った品のまとめ。
正倉院「正倉」は8世紀中ごろに建造された総檜(ひのき)、校倉造り(あぜくらづくり)の建物で、聖武天皇と東大寺に関する9000件近い宝物が、北倉、中倉、南倉の3室に分けて保管されている。
通天牙笏(つうてんげしゃく)
象牙の細長い板。官人が儀式で持つものだが、裏に式次第などメモを書いたそうだ。
鳥木石夾纈屏風
(とりきいしきょうけちのびょうぶ)
布を、図柄を彫った二枚の板に挟んで染める「夾纈(きょうけち)」技法で作られている。現在には伝わらない〈幻の技法〉。
鳥がかわいい。
漆胡瓶(しっこへい)
高さ40cmほどの唐で作られた水差し。ササン朝ペルシャで流行した形。黒漆を塗った上に、銀の薄板で鹿や草花を表した「平脱(へいだつ)」技法。本体は、テープ状にした木の薄板を巻き上げる「巻胎(けんたい)」技法だと、最近のエックス線撮影で判明。
どうやって滑らかな形を作るのか見当もつかない。
大幡残欠(だいばんざんけつ)
大型の旗の上部。東大寺での聖武天皇の一周忌法会で飾られた。幅は1m弱で、全体の長さは大仏の高さに匹敵する13~15mと推測。錦や綾、組紐(くみひも)など多様な染織技法を駆使。
展示された部分だけでも相当大きい。
牙櫛(げのくし)
高級品の象牙を加工した長さ約10cmの櫛。1cmあたり10本以上の細かな歯が作られており、全部で120本以上になる。極めて高い技術で中国からの輸入品らしい。
繊細すぎて実用には向かない。
撥鏤飛鳥形(ばちるひちょうのかた)
長さ約3cmの小さな小さな象牙の鳥が3羽。
染めた象牙の表面を彫って文様を表す「撥鏤(ばちる)」技法で、目や羽毛など精巧に表現。
続々修正倉院古文書第四十六帙第八巻
(ぞくぞくしゅうしょうそういんこもんじょ・だいよんじゅうろくちつだいはちかん)
経典の貸借や写経所に関係する文書を張り継いで巻物にしたもの。
「仕事量に合う人員を考えて欲しい、洗っても臭いので新しい制服?が欲しい、食事の改善、月に5日休みが欲しい、座り仕事で胸が痛く膝が痺れるので薬用に3日に1度酒が欲しい、毎日麦が欲しい」と、写経を仕事にする写経生の待遇改善を要求する文書もある。走り書きのような雑な書き方。下書きかもしれない。
最後に、写経生たちが仕上げた見事な写経が展示されていて、その苦労がしのばれた。