12世紀前半につくられた源氏物語絵巻が、徳川美術館で毎年秋に公開される。今年は、「竹河(たけがわ)」(二)と、「東屋(あずまや)」(二)だった。
前者は、光源氏亡き後、春三月、養女の玉鬘の二人の娘、大君と中君が桜の所有権を争って碁を打っている場面。女房達が「長年のお争いだから」と囃し立て歌を詠み、それを夕霧の息子、蔵人の少将がそっと見ている。
後者は、秋、薫が三条あたりの隠れ家にいる浮舟を訪ねて待っている場面。
絵は豪華で繊細。詞書(ことばがき)の紙も書かれた文字も美しく、華やかな宮廷生活が想像された。