「舟渡婿(ふなわたしむこ)」
京あたりに住む婿が、酒と鯛を持って妻の実家に挨拶に行く途中、大津の渡し船に乗ると船頭に酒をねだられる。断ると舟を揺すったり漕ぐのを止めたりするので仕方なく飲ませる。舟が着き、婿が舅の家に行くと、舅は、なんと先ほどの船頭だった。あわてた船頭は自慢のヒゲを剃り落とし顔を隠して対面するが、結局ばれてしまう。婿は「どっちみち舅に飲んでもらう酒だったから」と許し、仲良く舞って終わる。
「小傘(こがらかさ)」
賭け事で一意文無しになった主従が、出家した僧のふりをして、田舎者をだまそうとする。法事で、傘の小唄をお経のように唱えてお供え物を盗もうとするが・・・。
竿一本で舟に乗っているのを表したり、化粧もしないで白い被り物と着流しだけで女性になったりと、まさに動きとことばだけの切り詰めた芸で笑わせる。
両方とも、和泉流の演目だそうだ。