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お豆腐狂言会

茂山一門の「お豆腐狂言会」を観た。
嘘にちなんだ三つの演目だった。

最初は「磁石」。遠江の「田舎者」が都に上る途中、すっぱ(詐欺師)に騙され人買いに売り飛ばされそうになるが、逆に人買いの代金をせしめて逃げる。太刀をかざして追ってきたすっぱに対し、「自分は磁石の精であり、抜き身の刀は飲み込んで力となるが、鞘に収めると弱る」と逆に騙して太刀も取り上げてしまう。

次は「因幡堂(いなばどう)」。大酒飲みの妻を勝手に離縁した男が、因幡堂に新しい妻を願いにいく。神の御告げと信じて、衣を被った女と婚礼の盃を交わしたら、なんと元妻だった!

最後は、木下順二作の新作狂言「彦市ばなし」。関西訛りの熊本弁で、天狗の隠れ蓑を騙し取った彦市の苦労を面白おかしく描く。最後の場面、水の中を泳ぐ彦市と天狗の子が秀逸で、それを河童だと思い込む殿様も良かった。

狂言は、折り目正しくて、からっと明るく楽しい。