「こうして彼はゴッホになった」という副題の展覧会を見にいった。日本ではゴッホと呼ばれる19世紀後半のオランダ生まれの天才画家、Vincent Van Goghは、実はほとんど独学で絵画の技法を学び、模写を重ね、モネやゴーギャン、また浮世絵にも影響を受けて、自分のスタイルを作り上げていった努力の人でもあった。
例えば、ミレーの「種撒く人」は何度も模写し、それを元にした油絵も描いている。「じゃがいもを食べる人々」その他、農民を描いたものには暖かい視線が感じられる。
じゃがいもだけを描いたものや、額縁も手づくりという独特の黄色い色調の「マルメロ、レモン、ナシ、ブドウ」などの静物画も良かった。
南仏アルルで一時期ゴーギャンと暮らした「黄色い家」の寝室の絵は明るくて、辛い晩年に至る前には、こんな穏やかな気分のときもあったのだと思った。