宮城県仙台市は、杜(もり)の都。樹々の緑が濃くて美しく、湿気が少なくて暑さがしのぎやすい。ちょうど七夕祭りで、くす玉に長い吹き流しをつけたような巨大な七夕飾りが所せましとぶら下がっている。色とりどりの紙のジャングルの中を歩いているような気がする。
翌日は、JR東北本線で南下し、槻木(つきのき)駅で阿武隈(あぶくま)鉄道に乗り換え。これは阿武隈川に沿って走り、福島まで行く私鉄。このあたりの電車は扉の開閉を乗客が自分でやらなくてはならないのが珍しい。
丸森駅で途中下車して阿武隈川の遊覧船に乗る。真夏とは思えない涼しい風に吹かれながら深緑の渓谷を眺めていたら、なんと渇水で船底が川底にかすってしまいエンジン不調のため川の真ん中で立ち往生。救助船を待って、こちらの船がロープで結ばれて引き返し、船を乗り換えてやり直す羽目になった。阿武隈川は「暴れ川」で、水かさが増すときは、川端の数メートル上の国道を越すほどになることもあるそうだ。
三日めは、福島県郡山(こおりやま)市からJR磐越西線(ばんえつさいせん)で喜多方(きたかた)市へ。ここは、立派な蔵屋敷がたくさん残っている。昔、火災が多かったため蔵を住居にしたそうだ。壁の厚さが、なんと30センチとか。醤油味だけの「たまりせんべい」とラーメンが名物。
四日めは、福島県会津若松(あいづわかまつ)市。幕末の片方の主役、会津藩の城下町。至るところに歴史を感じさせる落ち着いた雰囲気の街だ。鶴ヶ城、家老の武家屋敷などが再建され、道路も、直進できないようにして敵の来襲をしにくくさせるため鍵形になっている十字路があちこちに見られる。
飯森山(いいもりやま)のふもとの滝沢本陣は、戊辰戦争時の大本営があった場所で、白虎隊が、土方歳三ら新撰組に護衛されて出陣した所だそうだ。当時の戦いの弾痕や刀傷跡がたくさん残っている。
最後は福島空港で桃ジャムを買った。深い緑の葉の木々や山々と、爽やかな風と、何種類ものセミの声が印象的な旅だった。
(ちなみに、今日、北京五輪で北島選手が100m平泳ぎで二連覇達成したそうだ。)