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「泰西王候騎馬図屏風」

16世紀末から17世紀初めの屏風絵に、日本の絵具を使い、西洋風の技法で、フランス王やトルコ王など西洋の騎馬姿の王候が描かれたものがある。一見、キリスト教には無縁だが、小さく「IHS」というキリストの印が書き込まれている。

このような屏風絵は、イエズス会の宣教師が日本人に技法を教えて制作されたもので、大名に献上された。元々は、キリストなどを描いた礼拝用の聖画を描かせるために、日本人に西洋画の技法を教えたそうだ。

他にも、世界地図や、南蛮船が日本の港に着いたときの様子を描いた屏風絵がある。また十字架やメダル、聖画を収納するための豪華な蒔絵(まきえ)の入れ物などの工芸品もある。

こうした西洋と日本の文化が融合した「南蛮美術」の絵画や工芸品は、キリシタン弾圧と鎖国のため多くが破壊されてしまった。今、見ることができる作品の多くは、仏壇の奥に隠されたりして現代まで密かに伝えられてきたそうだ。