多変数関数って、どうもつかみづらくないですか?
普通の偏微分は理解できても、物理のラグランジュ形式とか、
熱力の「自由エネルギー」に出てくる偏微分はそれだけでは済まない難しさが有ります。
この原因は、「どれが変数かつかみにくい」ことと、
「変数に色々条件が付いている」ことだと思います。
まあ前者は文脈をよく読んでもらうとして、
ここでは後者のほうを取り上げたいと思います。
今まで偏微分を考える時の多変数関数は、変域がこちらの自由にとれるものでした。
例えばz=f(x,y)であれば(x,y)=(0,0)でも(1,0)でもzの値が決まるというものです。
こういう関数なら、偏微分は「断面の傾き」、全微分は「接平面」という感じで説明できます。
しかし、実際に物理や熱力学で出てくる多変数関数は、変数を自由に取れないものがほとんどです。
簡単な例から挙げると、z=x
2+y
2-1という関数で、常にz=0であるとします。
この時、陰関数が考えられることからも分かるように、(x,y)は自由に取ることは出来ません。
実際、xを決めたら陰関数によりyは決まってしまいます(一通りとは限らない)。
また、ラグランジアンには変数として(q,
,t)が出てきます
(qは一般座標で、例えばx,y,z)が、
この内qと
は元の関数と微分された関数なので、
片方を決めればもう片方は決まってしまいます。
このような場合、「ある変数だけを動かし、他の変数は固定する」ということは不可能です。
だから、こういう関数で偏微分を考えることは無意味では…という気がするかもしれません。
しかし、そこで生きてくるのが「全微分」の考え方です。
全微分はあらゆる(x,y)の変化について関数の値の変化を表すことが出来ます。
だから、問題になっている(x,y)や(q,
)の動きも表すことが出来ます。
そこで、全微分を表すために偏微分が必要になるのです。
偏微分自体が意味を持つのではなく、「全微分の片割れ」として偏微分を考える、ということ。
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