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ハリーポッターと混血のプリンス

・第三十章 白い墓

 授業は、すべて中止になった。試験は、すべて延期になった。翌日からの数日間に、数人の生徒が両親と一緒にホグワーツを急いで去っっていった――パティル姉妹は、ダンブルドアの死の翌朝、朝食前に行ってしまった。ザカライア・スミスは高慢ちきな感じの父親に、つき添われて城を去った。一方、シェーマス・フィネガンは、母親と一緒に帰るのをそっけなく拒絶した。二人は、玄関の広間で大声でやりあったあげく、シェーマスが葬儀が終わるまで残ってもいいことになって解決した。母親は、ホグズミードに泊まるところを見つけるのが難しかった。シェーマスがハリーとロンに言ったところでは、ダンブルドアに最後のお別れをしようと、魔法使いや魔女が村に押し寄せているということだった。十二頭の、たてがみと尾が銀白色で胴体がクリーム色のパロミノ種の馬に引かせた、家ほどの大きさの淡青色の馬車が、葬儀の前日の午後遅く、空から舞い降りてきて森の端に着地したとき、それをこれまでに見たことがない年下の生徒たちは、どよめいた。ハリーが窓から見ていると、巨大な、黒髪で小麦色の肌をした整った顔立ちの女性が降りてきて、待ち受けていたハグリッドの腕の中に身を投げかけた。一方、大臣その人を含む魔法省の代表団が城に滞在していた。ハリーは、遅かれ早かれ、きっとダンブルドアとの最後の外出について聞かれると思っていたので、会わないように、頑張って避けていた。
 ハリー、ロン、ハーマイオニー、それにジニーは、その間ずっと一緒に過ごしていた。ばかにされているような気がするほど、すばらしい天気だった。ハリーは、もしダンブルドアが亡くならなかったら、どんなふうだっただろうかと想像することができた。そしたら、ジニーの試験が終わり、宿題の重荷もなくなって、学期の終わりまで一緒に過ごしていただろう・・・そして、言わなくてはならないと分かっていることを言うのを、また、するのが正しいと分かっていることをするのを、時間がたつごとに先延ばしにしていた。何よりも心を慰める源になるものを、なしにするのは、あまりにつらいことだったからだ。
 みんなで一日に二度、病棟にお見舞いに行った。ネビルは退院していたが、ビルはまだマダム・ポンフリーの看護を受けていた。その傷跡は、ちっとも治らず、ひどいままだった。マッドアイ・ムーディーによく似ていたが、ありがたいことに両目と両足は健在だった。しかし性格的には、以前と変わらないようで、変わったことといえば、血のしたたる生焼けのステーキが大好きになったことくらいだった。
 「・・・だから、彼が私と結婚するのは運がいいの」フラーが、ビルの枕を膨らませながら嬉しそうに言った。「私が、ずっと言ってきたように、イギリス人は肉を焼きすぎますから」
 「私、ビルが彼女と結婚するのを認めなくちゃいけないって気になってきたの」ジニーが、その日の夕方遅く、ハリーとロンとハーマイオニーと一緒に、グリフィンドールの談話室の開いた窓のそばに座って、薄明かりの校庭を見渡していたときに、ため息をつきながら言った。
 「彼女は、そんなに悪かないよ」ハリーが言ったが、ジニーが眉を上げたので「ブスだけど」と急いでつけ加えた。ジニーが、しぶしぶ笑った。
 「まあ、ママが我慢できるんなら、私もできると思うの」
 「僕たちが知ってる誰も死んでない?」ロンが、イブニング・プロフェット紙を熱心に読んでいるハーマイオニーに尋ねた。
 ハーマイオニーは、無理して強がっているロンの口調にたじろいだ。
 「ええ誰も」とがめるように言って、新聞をたたんだ。「まだスネイプを探してるけど、痕跡がないみたい・・・」
 「もちろん、ないよ」ハリーが言ったが、このことが話題になるたびに怒っていた。「ヴォルデモートの隠れ家を見つけ出さなきゃ、スネイプは見つからないよ。隠れ家は、ずっと見つかってないみたいだけど・・・」
 「私、寝るわ」ジニーがあくびをしながら言った。「あんまりよく寝てないもの、あれから・・・その・・・ちゃんと寝られたときから」
 そして、ハリーにキスして(ロンは、あてつけがましく横を向いたが)、他の二人に手を振って女子寮の方に向かった。扉が閉まったとたん、ハーマイオニーが、とてもハーマイオニーっぽい表情を浮かべてハリーの方に身を乗り出してきた。
 「ハリー、今朝、図書室で見つけたの・・・」
 「R.A.B?」ハリーが、まっすぐに座りなおして言った。
 けれど、これまで、あれほどしょっちゅう感じたように、興奮し、好奇心を持って、謎の奥底に迫りたいという燃えるような思いは感じなかった。本物のホークラクスを見つけないと、自分の行く手に伸びている暗く曲がりくねった道を、もっと先まで進むことができないから、見つける仕事を成しとげなくてはならないと思っているだけだった。その道は、ダンブルドアと一緒に出発したが、これからは一人で進んでいかなくてはならないのだ。まだ、どこかに四つのホークラクスがあるはずで、それを見つけ出して破壊しない限り、ヴォルデモートを殺すことはできない。ハリーは、心に記録すれば、自分の手の届くところにたぐり寄せられるとでもいうように、心の中でその名前を暗唱し続けていた。「ロケット・・・カップ・・・ヘビ・・・グリフィンドールか、レイブンクローの何か・・・」
 このおまじないのようなことばは、夜眠っている間に、ハリーの心をドキドキさせ、夢の中は、手の届かないカップや、ロケットや、謎めいた物体で一杯だった。そしてダンブルドアが、縄ばしごを差し出して助けようとしてくれるのに、上り始めるとたん、それがヘビに変わるのだ・・・
 ハリーは、ダンブルドアの死の翌朝、ハーマイオニーにロケットの中のメモを見せた。ハーマイオニーは、すぐには、その頭文字が、本に出てきた魔法使いの誰かのものだとは判別できなかったけれど、それ以来、宿題がない人にしては、しょっちゅう図書室に駆け込んでいた。
 「いいえ」と悲しそうに言った。「調べたのよ、ハリー、でも何も見つけられなかった・・・その頭文字の、かなり有名な魔法使いが二人いるの――ロザリンド・アンティゴネ・バングズ・・・ルパート・『アクスバンガー(斧で、たたく人)』・ブルックスタントン・・・でも二人とも全然ぴったりしないの。そのメモからすると、ホークラクスを盗んだ人物はヴォルデモートを知ってたけど、バングズやアクスバンガーがヴォルデモートとかかわりがあるという証拠は何も見つけられなかった・・・そうじゃなくて、実は・・・あのう、スネイプのことなの」
 その名を、また口にするだけでも不安そうだった。
 「あいつの、どんなこと?」ハリーがのろのろと尋ねながら、ドサンと椅子にもたれこんだ。
 「あのね、混血のプリンスの件で、私が、まあ正しかったみたいなこと」ためらいがちに言った。
 「また、そのこと、しつこく言わなくちゃならないの、ハーマイオニー?今、僕がそのこと、どう感じてるか分かる?」
 「違う――違う――ハリー、そんなつもりじゃないの!」ハーマイオニーは急いで言いながら、見回して誰にも聞かれていないか確かめた。「ただアイリーン・プリンスが、あの本を昔、持ってたということで、私が正しかったってこと。ほら・・・スネイプのお母さんだったの!」
 「あんまり美人じゃなかったと思うな」ロンが言ったが、ハーマイオニーは、それを無視した。
 「古いプロフェット紙を全部調べたら、アイリーン・プリンスがトビアス・スネイプという男と結婚するという、ほんの小さな報せが載ってたの。それからその後の報せで、出産したのが――」
 「人殺し」ハリーが言ってのけた。
 「ええと・・・そうね」ハーマイオニーが言った。「だから・・・私が正しかったみたいってこと。スネイプは、きっと『半分プリンス』であることを誇りにしてたのよ、ね?トビアス・スネイプは、プロフェット紙に書いてあったところではマグルだったの」
 「うん、それは合ってる」ハリーが言った。「あいつは純血の味方だと強調して、ルシウス・マルフォイや他の奴らに取り入ったんだ・・・ヴォルデモートとちょうど同じだ。純血の母親とマグルの父親と・・・父親の家系を恥ずかしく思って、闇魔術を使って自分を怖い存在にしようとして、印象的な新しい名前を名乗った――ヴォルデモート卿――混血のプリンス――どうしてダンブルドアは見逃したんだろう―?」
 ハリーは、いきなり話を止めて、窓の外を眺めた。スネイプに対するダンブルドアの許しがたい信頼について、こだわって、くよくよ考え続けずにはいられなかった・・・しかし、ハーマイオニーが、ちょうど、たまたま思い出させてくれたが、自分、ハリーだって、ずっとダンブルドアと同じようなことをしていたのだ・・・つまり、あの走り書きされた呪文が、どんどんたちの悪いものになっていったにもかかわらず、あんなに賢くて、あんなに手助けしてくれた少年を悪く思うことを拒んでいたのだ・・・
 手助けしてくれた・・・そう思うのは、今となっては耐えがたいことだった。
 「君があの本を使っていたことを、なぜスネイプがダンブルドアに言いつけなかったのか、まだ分からないな」ロンが言った。「あいつは、君がどこからあの本を手に入れたか知ってたはずなのに」
 「あいつは知ってたよ」ハリーが苦々しく言った。「僕が、『セクトゥムセンプラ』の呪文を使ったとき分かったんだ。『開心術』なんか使う必要なかった・・・それどころか、それより前、スラグホーンが、僕が魔法薬でどんなによくできるか話したときに分かったかもしれない・・・あいつは古い教科書を、戸棚の奥に置きっぱなしにするべきじゃなかったよね?」
 「けど、なぜ君のこと言いつけなかったんだろ?」
 「自分と、あの本を結びつけてほしくなかったんだと思うわ」ハーマイオニーが言った。「ダンブルドアが、もし知ったら気に入らなかったと思うの。それに、たとえスネイプが自分の本じゃないふりをしたって、スラグホーンが、筆跡からスネイプのと分かったかもしれない。どっちみち、あの本はスネイプの昔の教室に残っていたんだし、ダンブルドアは、絶対、お母さんの名前がプリンスだったことを知っていたと思うわ」
 「あの本を、ダンブルドアに見せればよかった」ハリーが言った。「ダンブルドアは、僕に、ヴォルデモートが学校時代でさえ、どんなに邪悪だったか見せてくれたけど、僕は、スネイプもそうだという証拠を持っていたのに――」
 「『邪悪』は、きついことばよ」ハーマイオニーが静かな口調で言った。
 「君こそ、あの本が危険だって言い続けてた張本人だよ!」
 「私が言いたいのはね、ハリー、あなたが、あまりに自分を責めすぎてるってことよ。私は、あのプリンスは不快なユーモアのセンスを持っていると思ったけど、将来、殺人者になる可能性があるなんて想像もしなかった・・・」
 「僕たちの誰も、スネイプが、そうなるなんて想像しなかったよ・・・そうだろ」ロンが言った。
 三人とも黙った。それぞれが、自分の考えにふけっていた。しかしハリーは、他の二人も自分と同じように、翌朝ダンブルドアが埋葬されることを考えているに違いないと思っていた。ハリーは、これまでに葬儀に参列したことが一度もなかった。シリウスのときは、埋葬する体がなかった。葬儀が、どんなふうに行なわれるのか分からなかったので、何を見て、どう感じるのか少し心配だった。葬儀が終わってしまえば、ダンブルドアの死が、自分にとって、より真実味を帯びたものになるのだろうかと思った。その恐ろしい事実に圧倒されそうな瞬間があったが、また一方、ぼうっとした空白の時間もあった。そういうときには、城中で、みんなが、それしか話題にしていないにもかかわらず、まだ、ダンブルドアがほんとうに逝ってしまったのが信じられない気がした。シリウスのときのように、ダンブルドアが戻ってくる方法はないかと何らかの抜け道を、死に物狂いで探そうとはしていなかったが・・・ハリーは、ポケットの中の偽のホークラクスの冷たい鎖を触った。それを、お守りとしてではなく、どんな犠牲を払って得たものかということと、まだしなくてはならないことを思い出すために、どこへ行くにも持ち歩いていた。
 翌朝、ハリ−は、荷作りをするために早く起きた。ホグワーツ急行が、葬儀の一時間後に出発することになっていた。階段を下りていくと、大広間の雰囲気が沈んでいるのが感じられた。全員が正装していて、誰もあまりお腹がすいていないようだった。マクゴナガル先生は、職員テーブルの真ん中の玉座のような椅子を空けたままにしておいた。ハグリッドの椅子も空いていた。きっと朝食に顔を出すことができないのだろう。しかしスネイプの席には、ルーファス・スクリンジャーが儀式ばらずくだけた様子で座っていたが、黄色っぽい目で広間中をじろじろ眺めているので、ハリーは目が合わないように避けた。スクリンジャーが自分を探しているのではないかという嫌な感じがした。その側近の中に、赤毛で角縁の眼鏡をかけたパーシー・ウィーズリーがいた。ロンは、パーシーに気づいたような素振りは何もしなかったが、ただ塩漬け乾燥燻製ニシンを、ひどく憎らしく思っているように突き刺していた。
 クラブとゴイルが、向こうのスリザリンのテーブルで、ぶつぶつ話し合っていた。二人とも図体がでかいが、その真ん中で牛耳る、背が高く青白いマルフォイの姿がないので妙に寂しそうに見えた。ハリーは、マルフォイのことはあまり考えなかった。敵意はすべてスネイプに向けられていた。しかし、塔の屋上で、マルフォイの声に恐れが感じられたのと、他のデス・イーターが着く前に杖を下げたことを忘れはしなかった。ハリーは、マルフォイがダンブルドアを殺そうとしたとは思わなかった。マルフォイが闇魔術に夢中になっていることを、まだ軽蔑していたが、今では、ほんのわずかな哀れみの一滴が、嫌悪感に混じるようになっていた。今どこにいるのだろう、そしてヴォルデモートは、本人とその両親を殺すと脅かして、マルフォイに何をさせるのだろうと、ハリーは思った。
 ハリーの思いは、ジニーにわき腹を突つかれて、中断した。マクゴナガル先生が立ち上がったので、大広間の悲しげな騒音はすぐに静まった。
 「もうすぐ始まります。寮の長の先生方について校庭に出てください。グリフィンドール生は、私の後に続くように」
 生徒たちは、長椅子から立ち上がって列を作って静かに出て行った。ハリーは、スリザリンの隊列の先頭のスラグホーンをちらっと見た。銀色の縁取りをした鮮やかな緑色の豪華な長いローブを着ていた。ハフルパフの長のスプラウト先生が、こんなに清潔に見えたことはなく、帽子には汚れ一つなかった。生徒たちが玄関の広間に来ると、ひざまで届く厚い黒いベールをかぶったマダム・ピンスが、ナフタリン臭い古めかしい黒のスーツとネクタイを身につけたフィルチの横に立っていた。
 玄関の扉から石段を下りていくと、みんなは湖に向かっていた。太陽の暖かさが、頬をなでる中を、マクゴナガル先生の後について黙って歩いていった。すると何百もの椅子が何列にも並んでいて、その真ん中に通路ができていた。正面に大理石の台が据えられていて、すべての椅子がそちらを向いていた。夏の、最高にすばらしい日よりだった。
 驚くほど様々な種類の人々が、もう椅子の半分に座っていた。粗末な身なりの人も、きちんとした身なりの人も、老人も若者もいたが、ほとんどハリーが知らない人ばかりだった。けれど、フェニックス騎士団のメンバーを含め、知っている人も少しいた。キングスレイ・シャックルボルト、マッドアイ・ムーディー、不思議なことに、とても鮮やかなピンク色の髪に戻ったトンクスとリーマス・ルーピン、二人は手を握っているようだった。ウィーズリー夫妻、フラーに付き添われたビル、その後に黒のドラゴン皮のジャケットを着たフレッドとジョージが続いた。それからマダム・マクシームがいたが、一人で二つ半の椅子を占領していた。漏れ鍋亭の主人のトム、ハリーのスクイブの隣人のアラベラ・フィッグ、魔法グループ『怪しいシスターズ』の毛だらけのベース・プレイヤー、ナイト・バスの運転手のアーニー・プラング、ダイアゴン横丁のローブ店のマダム・マルキン、それからハリーが見たことがあるだけの人たち、豚の頭亭のバーテンやホグワーツ急行のワゴンを押している魔女もいた。城の幽霊もいたが、輝く日光の元ではほとんど見えず、動くときにだけ、きらめく日光の中で、実体はないが、かすかに光るので、それと認められた。
 ハリー、ロン、ハーマイオニーそれにジニーは、湖に面した並びの端に一列に座った。人々がささやき合う声が、草の上のそよ風のように聞こえてきたが、鳥のさえずりの方がはるかに大きかった。参列者はどんどん増えつづけた。ハリーは、ネビルが、ルナに横の空いた席を教えてもらっているのを見ながら、二人のことが大好きだと思った。DAのメンバーすべての中で、二人だけが、ダンブルドアが亡くなった夜、ハーマイオニーの呼びかけに答えてくれたが、ハリーには、なぜか分かっていた。あの二人が一番、DAの集まりがなくなってとても寂しいと思っていたからだ・・・二人は、集まりがないかと期待して、しょっちゅうコインを調べていたのに違いない・・・
 コーネリアス・ファッジが、みじめな顔つきで、緑の山高帽をいつものように回しながら、そばを通りすぎて前列に歩いていった。ハリーは、次にリタ・スキーターがいるのが分かったが、鍵爪のように伸ばした赤い爪の手に手帳を握っているのを見て、腹を立てた。それから、ドロレス・アンブリッジが、青緑色の巻き毛のてっ辺に黒いビロードのチョウ結びをつけて、ヒキガエルのような顔に悲しみの表情を浮かべているが、まったく悲しそうではないのを見て、もっと怒り狂った。アンブリッジは、水際に歩哨のように立っているセントールのフィレンツェを見て驚いて、あわててもっとずっと離れた席に行った。
 最後に、先生方が着席した。スクリンジャーが、マクゴナガル先生と並んで最前列に座り、重々しく威厳のある顔つきをしているのが見えた。スクリンジャーにしろ、お偉方にしろ、ダンブルドアが亡くなってほんとうに悲しんでいるのだろうかと、ハリーは思った。しかしそのとき、音楽が聞こえた。不思議な、この世のものとは思われない音色だった。ハリーは、その音色がどこから聞こえてくるのかと見回しているうちに、魔法省に対する嫌悪感が消えた。たくさんの人たちが、同じように振り向き、探し、少し怖がっていた。
 「あそこ」ジニーがハリーの耳にささやいた。
 太陽に照らされた澄んだ水の表面から数センチ下に、ハリーは恐ろしいインフェリを思い出したが、湖人が見えた。その合唱は、ハリーには分からない見知らぬことばで歌われていた。青ざめた顔が、さざ波を立て、紫がかった色の髪が、その周りに広がって浮いていた。その音色は、ハリーをぞっとさせたが、不愉快には感じなかった。損失と絶望を歌っているのが、とてもはっきりと分かった。歌い手の荒々しい顔を見ていると、少なくとも彼らは、ダンブルドアの逝去を悲しんでいるのが分かった。そのときジニーが、またそっと突いたので、ハリーは見回した。
 ハグリッドが椅子の間の通路をゆっくりと歩いていた。声を出さずに泣いていて、顔には涙が光っていた。そしてその腕に、金の星がちりばめられた紫色のビロードに包まれた、ハリーにはそれと分かったが、ダンブルドアを運んでいた。それを見ると、鋭い痛みが喉に突き上げてきた。不思議な音楽と、ダンブルドアがそんなに近くにいると知ったこととが、つかの間、日の光の暖かさをすべて奪ってしまうような気がした。ロンは真っ青になって、ショックを受けたようだった。ジニーとハーマイオニーのひざには、溢れる涙が、後から後から落ち続けた。
 前で何が行なわれているのか、はっきりとは分からなかったが、ハグリッドが、ダンブルドアを慎重に、台の上に安置したようだった。そして、通路を引き下がっていきながら、大きなトランペットのような音を立てて鼻をかんだので、数人が、あきれたような目つきで見たが、ハリーは、その中にドロレス・アンブリッジも含まれているのに気がついた・・・けれどダンブルドアは、そんなことを気にしないのをハリーは知っていた。ハグリッドが通りすぎるとき、親しげな身振りをしようとしたが、ハグリッドの目はとても膨らんでいたので、どこに向かって歩くか見えているのだろうか心配になった。そこで、ハグリッドがめざしている後列をちらっと見ると、何を目当てに歩いているのが分かった。巨人のグロープが、上着を着て、両脚が小さめの大テントくらいの大きさのズボンをはいて座っていたが、不恰好な大きな丸石のような頭を垂れ、ほとんど人間らしく素直に見えた。ハグリッドが、異父弟の隣に座ると、グロープがハグリッドの頭を熱心に軽くたたいたので、椅子の脚が地面にめり込んだ。ハリーは、一瞬、笑いたくてたまらなくなった。しかし、そのとき音楽が止んだので、また正面を向いた。
 簡素な黒のローブを着た房のような髪の小柄な男が立ち上がり、横たえられたダンブルドアの前に立った。ハリーには、何を言っているのか聞こえなかった。わけの分からないことばが、何百もの頭の上に流れてきた。「高潔な精神」・・・「知的貢献」・・・「偉大な心」・・・まったく意味はなかった。ハリーが知っていたダンブルドアとは、ほとんど関係がなかった。そして急にダンブルドア独特な言い方をいくつか思い出した。「まぬけ」「がらくた」「泣きじゃくり」それに「つねり」。するとまた、笑うのを我慢しなくてはならなかった・・・今、流れていることばは、ダンブルドアに何の関係もないじゃないか。
 左の方で、水がはねる小さな音がした。湖人も表面に出てきて聞いていた。ハリーは、二年前ダンブルドアが、ハリーが今座っているところにとても近い水際にしゃがんで、湖人の族長と湖人語で話していたのを思い出した。ダンブルドアは、どこで湖人語を覚えたのだろう。ダンブルドアに尋ねなかったことがとてもたくさん、ハリーが言わなくてはならないことがとてもたくさんあった・・・
 そのとき、いきなり、恐ろしい真実が、これまでになく完全に、否定する余地なくハリーに襲いかかってきた。ダンブルドアが亡くなった、逝ってしまった・・・ハリーは、冷たいロケットをとてもきつく握り締めたので、皮膚が傷ついた。けれど熱い涙が流れ落ちるのを我慢することができなかったので、ジニーや他の人から顔をそむけ、湖から森の方を見つめた。その間、黒いローブの小男は、だらだらと話し続けていた・・・木々の間に何か動いた。セントールも最後のお別れに来ていたのだ。公然とは姿を見せなかったが、弓を脇に吊るして、木陰に半ば隠れて、とても静かに立って、魔法使いたちを見守っているのが見えた。ハリーは、初めて森へ行ったときの悪夢のような経験を思い出した。そのとき、その後ヴォルデモートになったものと初めて出くわし、立ち向かい、その後まもなくダンブルドアと、勝ち目のない戦(いくさ)をすることについて話し合った。ダンブルドアは、戦い、再び戦い、戦い続けることが重要だ、悪を根絶やしにはできなくても、寄せつけないためには、そうするしかないと言った。
 ハリーは、熱い太陽の下に座っていると、愛してくれた人たちがどんなふうに一人ずつ、自分の前に立って守ってくれたかが、とてもはっきり分かった。母、父、名づけ親、そして最後にダンブルドア、みんながハリーを守ろうと決心していた。しかし、今それが終わってしまった。他の誰も、自分とヴォルデモートの間に立たせることはできない。両親の腕の中にいれば、何も自分を傷つけるものはないという一歳のときに失ったはずの幻想を、永久に捨てなくてはならない。悪夢から目覚めることはない。ほんとうに安全だからと暗闇でささやいてくれる心慰む声もない。最後の、最も偉大な保護者が亡くなったので、ハリーは、これまで以上に一人ぼっちになった。
 黒いローブの小男が、やっと話を終えて席に戻った。ハリーは、他の誰かが立ち上がるのを待ち受けた。多分、大臣の弔辞があるだろうと予想した。しかし誰も動かなかった。
 そのとき幾人かが叫び声を上げた。輝く白い炎が、ダンブルドアと、安置されている台の周りから噴き出した。炎は、高く高く上がり、ダンブルドアを包んだ。白い煙が、空中にらせん状に上がって、不思議な形を作った。ハリーは、心臓が止まりそうな一瞬、フェニックスが悦ばしげに青空に飛び去るのを見たような気がした。しかし次の瞬間、炎は消え失せた。その場所には、ダンブルドアと安置された台を包み込む、白い大理石の墓があった。
 矢が雨のように空中に降り注いだので、数人が、また恐れて叫び声を上げた。けれど、それは、参列者には届かない、はるか遠くに落ちた。それはセントールの手向け(たむけ)だと、ハリーには分かった。セントールたちが向きを変え、涼しい木陰に戻って姿を消すのが見えた。同様に湖人もゆっくりと水の中に沈んでいき、見えなくなった。
 ハリーは、ジニー、ロン、ハーマイオニーを見た。ロンは、日の光がまぶしいかのように顔をゆがめていた。ハーマイオニーの顔は涙で濡れていた。けれど、ジニーは、もう泣いていなかった。そしてハリーの視線を、ハリーが欠場したクィティッチの試合で優勝した後、抱きついてきたときと同じ、厳しい燃えるような視線で受け止めた。その瞬間、互いが完全に理解し合ったのが分かった。今こそ、ジニーに言うつもりのことを言わなくてはならなかった。今なら、ハリーと同じように感じているからこそ、ジニーは、「気をつけて」とか「そんなこと止めて」などと言わず、ハリーの決心を受け入れるはずだ。そこで、ダンブルドアが亡くなってからずっと言わなくてはならないと分かっていたことを言おうと、気持ちをしっかりさせた。
 「ジニー、あのね・・・」ハリーは、とても静かな口調で言い始めた。周りでは会話の声がだんだん大きくなり、人々が立ち上がり始めた。「君をこれ以上巻き込みたくない。僕たち、会うのを止めなくちゃいけない。別れなくちゃいけない」
 ジニーが、妙にゆがんだ微笑を浮かべて言った。「それって、ばかげた高貴な理由か何かのためでしょ?」
 「君と過ごした、この数週間は、何か・・・何か誰か他の人の人生みたいだった。でも、僕は・・・僕たちは、一緒には、いれない・・・今からは一人でやらなくちゃいけないことがあるんだ」
 ジニーは泣かないで、ハリーを見つめているだけだった。
 「ヴォルデモートは、敵と親しい人を利用する。君が僕の親友の妹だったというだけで、君を一度おとりに使ったことがある。もし僕たちがつき合っていたら、君がどんなに危険になるか考えてごらん。あいつは知るだろう、見つけ出すだろう。君を使って僕に近づこうとするだろう」
 「私が気にしないなら、どうなの?」ジニーが激しく言った。
 「僕が気にする」ハリーが言った。「もし、これが君の葬式だったら、僕がどう感じると思うの・・・それも僕のせいで・・・」
 ジニーは、顔をそむけ湖の方をながめた。
 「私、ほんとうに、あなたのことを諦めたわけじゃなかったの。ほんとうにはね。いつも希望を持ってた・・・ハーマイオニーが、くよくよせずに前向きに生きなさい、他の人とつき合ってもいいんじゃない、あなたが近くにいてもリラックスしなさいって言ってくれたの。だって私、あなたが同じ部屋にいると全然しゃべれなかったでしょ、覚えてる?だからハーマイオニーは、もし私がもう少し――私らしくなったら、あなたがもう少し、注意を向けるかもしれないって思ったの」
 「ハーマイオニーは頭いいね」ハリーが微笑もうとしながら言った。「もう少し早く告白すればよかった。そしたら、もっと長い時間・・・何ヶ月も・・・何年もあったかも・・・」
 「でも、あなたは魔法社会を救うのに忙しすぎたから」ジニーが、半分笑いながら言った。「あのね・・・びっくりしたとは言えないの。最後には、こんなことになるんじゃないかという気がしてた。あなたはヴォルデモートを追っかけて仕留めないことには、心が落ち着かないだろうと分かってたわ。だから、こんなに好きなのかもしれない」
 ハリーは、こういうことを聞くのが耐えられなかったし、このまま座っていたら決心がぐらついてしまいそうだった。ロンは、長い鼻の端に涙がしたたり落ちていたが、肩にハーマイオニーが顔をうずめてすすり泣いているのを支えて、髪をなでてやっていた。ハリーは、みじめな気持ちで立ち上がり、ジニーとダンブルドアの墓に背を向けて、湖の周りを歩き始めた。じっと待っているよりも、できるだけ早くホークラクスの跡をたどり、ヴォルデモートを破滅させるために出発する方がよいのと同じように、じっと座っているよりは、動いた方が、まだしも耐えやすかった・・・
 「ハリー!」
 振り向くと、ルーファス・スクリンジャーが土手を回って、ステッキに寄りかかって、片足を引きずりながら急いでやって来た。
 「ちょっと話をしたいと思っていた・・・少し一緒に歩いてもいいかね?」
 「どうぞ」ハリーは関心なさそうに言って、また歩き出した。
 「ハリー、恐ろしい悲劇だった」スクリンジャーが静かな口調で言った。「聞いたとき、どんなにぞっとしたか、ことばには言い表せないほどだ。ダンブルドアは、大変偉大な魔法使いであった。意見の不一致があったのは、知っての通りだが、誰も私ほど――」
 「用件は何ですか?」ハリーが、はっきりと言った。
 スクリンジャーは怒ったようだったが、以前と同じように、急いで、気持ちが分かるというような悲しげな表情を作った。
 「もちろん、君は途方に暮れていることだろう。君が、ダンブルドアととても親しかったのは知っている。一番のお気に入りの生徒だったと言ってもいいかもしれない。君たち二人の絆は――」
 「用件は何ですか?」ハリーがくり返して言って、立ち止まった。
 スクリンジャーも立ち止まって、ステッキにもたれ、ハリーを見つめたが、抜け目のない表情になっていた。
 「ダンブルドアが死んだ夜、君が一緒に出かけていたと聞いた」
 「誰に?」ハリーが言った。
 「ダンブルドアが死んだ後、誰かが、塔の屋上でデス・イーターに気絶させる呪文をかけた。それに、屋上には箒が二本あった。魔法省は、二足す二の計算はできる、ハリー」
 「それはよかった」ハリーが言った。「あのう、ダンブルドアとどこへ行って、何をしたかは、あなたに関係ありません。ダンブルドアは他人に知らせたくなかったんです」
 「そのような忠誠心は称賛すべきだ、もちろん」スクリンジャーが、いらだちを抑えるのが難しいように言った。「だがダンブルドアは逝ってしまった、ハリー。逝ってしまったのだ」
 「ここには誰も忠実な者がいないから、学校から、いなくなっているだけでしょう」ハリーが思わず微笑んで言った。
 「ねえ君・・・ダンブルドアでさえ、戻ることはできんのだよ――」
 「戻れると言ってるんじゃありません。あなたは分かろうとしない。でも僕は、何も話すつもりはありません」
 スクリンジャーは、ためらった。それから、明らかに気配りの感じられる口調で言った。「魔法省は、あらゆる種類の防御手段を与えることができる、ねえ、ハリー。オーラ―二人、君が自由に使ってよい――」
 ハリーが笑った。
 「ヴォルデモート自身が、僕を殺したがっているけど、オーラ―は、それを防ぐことはできない。申し出はありがたいけど、いりません」
 「では」スクリンジャーが、冷たい口調になって言った。「私が、クリスマスにした頼みは――」
 「どんな頼み?ああ、分かった・・・僕が世間に向かって、あなたが何てすごい仕事をしているか言うってやつですね、何のためかと言うと――」
 「――皆の士気を高めるためだ!」スクリンジャーが、さえぎって言った。
 ハリーは、そのことばについて、ほんの少し考えた。
 「スタン・シャンパイクを、釈放しましたか?」
 スクリンジャーの顔色が、とてもヴァーノンおじさんを思い出させる嫌な紫色に変わった。
 「分かった、君は――」
 「徹頭徹尾、ダンブルドアの部下」ハリーが言った。「その通り」
 スクリンジャーは、少しの間ハリーをにらみつけていたが、それ以上何も言わず片足を引きずりながら立ち去っていった。まだ座ったまま、すすり泣いているハグリッドとグロープを不安そうにちらちら見ながら、パーシーと残りの魔法省の代表団が待ち受けているのが見えた。ロンとハーマイオニーが、向こうに行くスクリンジャーとすれ違って、ハリーの方に急いでやって来た。ハリーは、振り返って歩き出したが、二人が追いつけるようにゆっくりと進んだ。二人は、これまで楽しかったときに座ったブナの木陰でやっと追いついて一緒になった。
 「スクリンジャーは何の用?」ハーマイオニーが、ささやくように言った。
 「クリスマスのときと同じ」ハリーが肩をすくめて言った。「ダンブルドアについての内部情報を知りたいのと、魔法省の新しいCMタレントになって欲しいって」
 ロンは少しの間、思い悩んでいるようだったが、大声でハーマイオニーに言った。 「ねえ、僕に、戻ってパーシーを殴らせて!」
 「だめ」ハーマイオニーがきっぱりと言って、ロンの腕をつかんだ。
 「その方が気分がよくなるからさ!」
 ハリーが笑い声を上げた。ハーマイオニーでさえ少し笑顔になったが、城を見上げると笑顔が消えた。
 「戻って来れないかもしれないなんて、耐えられない」と、そっと言った。「ホグワーツが閉じるなんてあり得ないわ」
 「閉じないかも」ロンが言った。「家にいたって、危険なのはここと同じだろ?今じゃどこだって同じだよ。ホグワーツの方が、安全だって言えるかも知れない。守ってくれる魔法使いが中にたくさんいるじゃないか。どう思う、ハリー?」
 「もし開いても、僕は戻ってこない」ハリーが言った。
 ロンがぽかんと口をあけて見つめたが、ハーマイオニーは悲しそうに言った。「そう言うんじゃないかと思ってたわ。でも、そしたら何をするつもりなの?」
 「ダンブルドアが望んでたから、もう一辺ダーズレイ家に戻るよ」ハリーが言った。「でもちょっといるだけで、その後は、永久にあそこには戻らない」
 「学校に戻らないんなら、どこへいくつもりなの?」
 「ゴドリック・ホロー(盆地)に戻ろうかと思うんだ」ハリーが、つぶやくように言った。ダンブルドアが亡くなった夜から、そう思い始めていた。「僕にとって、すべての始まりがあそこだから。あそこにいかなくちゃならないって感じがするんだ。それに両親の墓参りもできるし、そうしたいんだ」
 「それから?」ロンが言った。
 「それから残りのホークラクスの跡を追わなくちゃならないだろ?」ハリーが、ダンブルドアの白い墓に目をやりながら言った。墓は、湖の反対側の水面に映っていた。「それこそ、ダンブルドアが僕にしてほしいと思っていたことだから、ああいうことをみんな僕に話してくれたんだ。もしダンブルドアが正しければ――僕は、きっと正しいと思うけど――まだ四つのホークラクスがある。それを見つけ出して破壊しなくちゃならない。それから、まだヴォルデモートの体の中にある、魂の七番目の破片を追跡しなくちゃならない。あいつを殺すのは僕なんだ。それに途中でセブルス・スネイプに会ったら」と、つけ加えた。「僕は大歓迎だし、あいつは困ったことになるだろうよ」
 長い沈黙があった。参列者は散らばってほとんどいなくなり、まだうろうろしている人たちは、ハグリッドにぴったり寄り添うグロープの巨大な姿を避けて歩いていた。ハグリッドの悲しみのうめき声が、まだ水面に響いていた。
 「僕たちも一緒に行くよ、ハリー」ロンが言った。
 「何だって?」
 「君のおじさんとおばさんちに」ロンが言った。「それから君と一緒に行くよ。君が行くとこ、どこだって」
 「だめ――」ハリーが素早く言った。こんなことは予想外だった。この最も危険な旅に一人で出かけるのを、二人とも納得してくれるように話したつもりだった。
 「あなた、前に、引き返したければ、引き返す時間があるって言ったでしょ。私たちは、それを考える時間があったわけよ」ハーマイオニーが、静かな口調で言った。
 「僕たち、何があっても一緒だよ」ロンが言った。「でも、ねえ、ゴドリック・ホローにしたって、他のどこに出かけるにしたって、その前に僕の家に寄らなくちゃだめだよ」
 「どうして?」
 「ビルとフラーの結婚式だよ、覚えてる?」
 ハリーは、びっくりしてロンを見つめた。結婚式などという極めて正常なものがまだ存在することが信じられなかったが、それでも、すばらしいと思った。
 「うん、それに出ないわけにはいかないね」と、やっと言った。
 ハリーの手が、無意識に閉じて偽のホークラクスを握りしめた。行く手に暗く曲がりくねった道が伸びていて、一か月後か一年後か十年後か、いつか必ずヴォルデモートと最後に出会わなくてはならないと分かっているにもかかわらず、ロンとハーマイオニーと一緒に楽しむことができる平和な輝く黄金の日が、まだ最後に一日残っていると思うと、心が躍るのを感じた。
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