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「羊男のクリスマス」 村上春樹 佐々木マキ 


 クリスマスといえば、家では12月1日から「シモンとクリスマスねこ」を読み始めるんですが、紹介しません。というか、今回は真面目な児童文学案内からは少し外れます。この本を児童文学にするかどうかは個人の考えによると思うんですよね。まあクリスマスですし。冷え性のせいですし。
 なんだかやたら長い前置きになってしまいましたが、やっとこさ本の紹介です。村上春樹作、佐々木マキ絵「羊男(ひつじおとこ)のクリスマス」。「聖羊祭日にドーナツを食べた呪いの為クリスマスソングが作曲できない羊男は、穴のあいてないねじりドーナツを手に秘密の穴の底におりていきました。暗い穴を抜けるとそこには――。」以上があらすじ。ここで、「聖羊祭日って?ドーナツで呪い?なんで羊男がクリスマスソングなの?っていうかそもそも羊男って何!?」とか思った人は、すでに聖羊上人(せいひつじしょうにん)様の呪いにかかってます。呪いを解きたければ早速本屋さんの講談社の棚へGO!私的には文庫本がおすすめですね。え?そんなこと思わなかったって?うーん、そういう人はこんな文章を読まずにもっと自分のやるべき事をやって下さい。「羊男なんて基本中の基本。ってか羊博士とも知り合いだし?」とかいう人、いますか?もしいたら、是非ともお友達になりましょう(笑)!
 もともと、村上春樹さんは、「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」「ダンス・ダンス・ダンス」という四部作の中に、羊男を登場させているんですが、この、「羊男のクリスマス」は、もともと脇役である羊男が主役です。羊男だけでなく、村上春樹ファンならよく知っている面々も出てきます。でも、元の長編と感じが少し違うのは、何といっても佐々木マキさんのイラストの影響でしょう。村上春樹さんは前から佐々木マキさんのファンで、この本は佐々木マキさんのイラストを元に、文章を考えたそうです。で、この妙な話にこのまた妙なイラスト(失礼!)がすごくよく合ってるんです。このイラストなくして羊男のクリスマスは語れない・・・逆もまた然り、ですが。
 読み終わった時には、あなたはもう羊男世界の住人です。聖羊祭日に穴のあいたドーナツを食べるも良し、植木を羊の形に刈り込むも良し、もちろんなれるものなら羊男になって羊男学校に通うのも良しです。その場合は授業を真面目に聞くことを薦めます。そして、もしクリスマスに羊男音楽を作曲する機会を与えられたら、どうぞこの本を思い出してみてください。また、この本の他の登場人物に興味のある人は、もっと別の村上本を読んでみてください。ただし、長編になると結構感じが変わることもあるのでご注意を。
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