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「魔女ジェニファとわたし」 E.L.カニグズバーグ


 十月の最後にはハロウィーンがあります。私の周りではハロウィーンっていったって母上がパンプキンパイを焼いてくれるくらいですが、アメリカとかではずいぶんとにぎやかな楽しい日のようで。今回の本は、そんなハロウィーンの日から始まる物語、E.L.カニグズバーグ作「魔女ジェニファとわたし」です。私はこの人の本もなかなか好きで、「クローディアの秘密」「ぼくと<ジョージ>」「ロールパン・チームの作戦」などなど読んでます。どれもいい本なんですが、今回はハロウィーンということで、ジェニファが選ばれることとなりました。一番初めに読んだものですしね。この本が書かれたのは1967年ですが、今でも全然違和感なく読めると思います。
 ニューヨーク郊外の小学校に転校してきたばかりで友達のいないエリザベスは、ハロウィーンのおまつりの日に黒人の少女ジェニファと出会いました。自分は魔女だというその風変わりな少女とエリザベスは、秘密の約束をかわします・・・・・・。以上あらすじ。この本について(一般の批評、あとがきなどで)言われるのは “頭が良くて感受性も強く、自分の殻に閉じこもっていたジェニファが、常識家エリザベスのおかげで普通の子どもの世界にもどしてもらった“というようなことで、私はこの批評を最初に読んだとき、すごく納得出来ませんでした。エリザベスが常識家だとは思えなかったので。でも、これを書くために読み直してみて、少し分かった・・・かもしれません。そういう批評を読んでからではどうしても先入観なしには読めませんから少し自信はないんですが。ってこんなこと書いたらこれを読んでくれる人に先入観を植え付けてることになりますか。
 というか、初めてこれを読んだときの私は、今考えるとシンシアでした。性格が悪いっていうより二面性があって、大人の前では猫をかぶるところが。学校の学級会ではいいこと言っといて先生のいないところではむちゃくちゃ言うとか。なんて悪いやつなんだ。でもそれはそれなりにすじの通ったことだと思います。シンシアが悪い子であることは確かですけど、二面性の全くない人っていうのはなかなかいないと思います。って少し話がずれましたか。
 カニグズバーグさんは、微妙な年頃の子ども(とは限定できないか)を主人公にした物語がすごくうまいです。全集の別巻、「カニグズバーグ講演集 トーク・トーク」は必読ですぞ。いつか彼女と会うっていうのが私の夢でもあります。
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