人間関係

一番心配だったのがこれです。元々僕は一人でもそんなに苦にならない人間だけど、一年間一人ぼっちはさすがにきついです。誰も話せる人がいなかったらどうしよう、とか出発前は色々心配しました。たとえ「大丈夫だよ」と言ってくれる人がいても、それは変わらなかったでしょう。それでいいんです、多分。

チューター

ヘルシンキ工科大では留学生に対してチューターを付けてくれます。この人たちは留学生が空港に着いたときに迎えに来て、家まで送って、あと大学への登録やその他色んなことの面倒を見てくれます。本当は1:1が理想なのでしょうが、僕のところではチューター二人に留学生10人くらいが割り当てられていたようです。8月の初めにチューターの人からメールが来ました。「空港まで来て欲しければ、日付と時間を教えてね」と書いてあったのですが、僕は一度大学まで行ったことがあるし、また飛行機の到着時刻も21時と遅いので「大学までは自分で行けます。でも手続きとかは分からないから、大学に着いたら教えて下さい」と返事しました。でもなかなか返事が来なくて、そのまま出発の日になってしまいました。
フライトは結局二時間遅れ、(待っててもらわなくてよかった) とりあえず予定通り初日はユースホステル泊です。ここでネットにつないでみると、チューターの人から返事が。「携帯の番号はこれだから、着いたら連絡してね」とのこと。わがまま言っちゃいけないけど、もう少し早く連絡欲しかったな…と思いながら翌日電話して、大学で会う手はずを整えました。
チューターの人は、生物理専攻のJohannaと、Tomiって人。Tomiの方は日本語勉強してるそうです。この日は実際会って、話を色々聞きました。僕の英語は一文で完結する会話はなんとかなるようになってきたけど、手続きとかちょっと複雑なことを言おうとすると処理能力パンクしてしまいます。フィンランドの人の英語は概して聞きやすく、あと頑張って僕の行間を読んでくれるので一応通じてるみたい。でも正直やや緊張気味で、どんどん会話が続くて感じではなかったです。

ルームメイト

フィンランドでの僕の家は、三つ部屋+台所+バストイレがあって、三人で住んでます。一人目のルームメイトはMikeってドイツ人です。陽気な人で、英語はすごく流暢です。フィンランドに来る前に教授と連絡を取っていて、制御工学の研究室で働いています。 近くにMikeと同じ大学から来たHansiって友達が住んでて、よく夜ご飯を一緒に作って食べたりしてます。僕も時々一緒に食べさせてもらってます。HansiはMikeに比べると大人しい感じで、やや無愛想なので初めは嫌われてるのかと思ったりしました。
Mikeはすっごくいい人で、色々誘ってくれるし気前はいいしきれい好きだし、ルームメイトとしては言うこと無しです。僕が来るまでの間にトイレや台所の掃除をばっちり済ませてくれてたし、「昨日うるさくしてごめん。明日パスタ作るから」とかメモ残してくれたりします。でももう一人のルームメイトもドイツ人だったら、僕はちょっとやりにくいな… もしドイツ人でなくとも、すごく英語が流暢な人でもあまり変わらないかな… まぁ案じてどうなるものでもないので、とりあえずMikeと生活開始です。

3日ほどMikeと過ごして、僕の手続きがほぼ終わったくらいにもう一人のルームメイトが到着しました。イタリアからで、名前はChezare(チェーザレ)、専門は電気工学です。他にPierpaolo(パウロ)とSimone(シモーネ)という友達が一緒の大学から来てて、三人よく一緒にいます。彼らはとにかく陽気で、あと幸いなことに英語は僕と同じくらいです。最寄り駅Leppävaala「レッパバーラ」の発音がおかしいといってしばらく盛り上がり、プリペイド携帯の残額を調べるのにサポートセンターに電話したつもりが間違えて消防署につながってたと言って僕とマイクを爆笑させ、あと家の前の通りでパウロがギター弾いてチェーザレが歌って踊ってお金を募ったら20ユーロ集まった、などなど。彼らが到着して急ににぎやかになりました。病気で寝たいときには困るかもですが、今のところ全然OKです。あと、彼らも家事はちゃんとしてくれます。というかいるときはいっつもパスタ作ってもらってるし、紙皿使ったりして洗い物も要領よく済ませちゃいます。というわけで、ルームメイトの心配はどこかに吹き飛んでしまいました。(もちろん、他のルームメイトを持てば別の生活・楽しみがあるのでしょう。)

大学で

大学では同じ学科(コンピューター理工学)の人と当然よく会います。留学生は多いとはいえフィンランド人に比べると少数派なので、見知った顔が多く自然と知り合いは増えます。ゼミ形式の授業をいくつか取っていることもあって、何人かと親しく話してます。さすが専門が同じだと話しやすいですね。よく出る話題はプログラム・生活上の些細なこと・料理・観光・寒さなどです。英語もみんなが得意なわけじゃなく、それに背景が似てると話したいことの察しもつくので、けっこう日本にいるときと変わらず話せます。良かった良かった。
いつも学科の人と一緒にいるわけではなくて、食堂ではパーティーで知り合った他の学科の人ともよく会います。中でもサウナパーティーで知り合ったKasiとTuukkaってフィンランドの人とはよく会います。日本語コースを取ってて、日本のこととかフィンランドのこととか話します。
他の日本人の学生ともやがて知り合えました。元々フィンランドを選んだ理由に日本人が少なそうだから…というのは確かにあるのですが、でもたまに日本語話せるのはうれしいです。(てか新鮮です) 日本帰ってからは、「フィンランドが懐かしいよねー」って言う仲になるのを期待してます。
あ、コミュニケーション手段はメッセンジャーがけっこう流行ってます。「明日の授業どこ?」「僕のは5号館のT4だよ」/「発表テーマ何にしよう」「うーん、どれでいいけど」/「今からアイロンかけ。面倒〜」「確かに。頑張れー」/「明日お昼食べない?」「あっ、明日はゆっくり食べる暇ないんだ。明後日は?」などなど。携帯メールも使う人は使うらしいけど、僕にはやや使いづらいです。

その他

言葉

今のところ会話は全て英語です。フィンランド語は使っていません。
街では観光地のみならず、普通のスーパーでも英語が通じます。役所の受付では英語できない人もいますが、そういう時は英語できる人と変わってくれました。大学の留学生課の人はゆっくりの分かりやすい英語で話してくれるし、授業も英語の講義が1/4くらいあるので生活には困りません。ただ、街の看板や注意書き・一部の書類はフィンランド語/スウェーデン語でしか書かれていません。あと食材とか洗剤・洗顔用品なんかも英語が無い場合が多いです。近くに聞ける人がいればいいですが(大抵親切に答えてくれます)、一々聞くのも億劫なので少しは覚えた方がいいかもしれません。授業取って目下フィン語勉強中です。
僕は英会話そんなすごく出来るわけではないです。母親が英文科卒で、基礎英語を朝に聞かされたりはしたものの、ちゃんと英語始めたのは中学一年です。中学高校はオール日本人の先生でした。でも英語の歌詞聞いたりするのは嫌いじゃなかったな。だから発音はカタカナ発音よりはマシだけど、母音が日本人発音なので一部の人にはとても聞き取りにくいみたいです。(hatとhotとhutがあまり区別できてない) どうしても通じないときは筆談です。それはそれで楽しい。(因みに日本語でも筆談好きです)
あとその場で話すのだと、そんな複雑な文章は組み立てられません。it/thatがたくさん入ってくると自分で混乱してしまったり。でもそんな時は"I mean..."って一回切って言い直せばいいのです。とりあえずなんとか話し始めたことは最後まで言えるようになってきました。しかし未だにbe動詞とdoが混ざったり、didの後に原型ではなくて過去形を置いてみたり、everyで初めてareで受けたり、broken Englishからの脱出は前途多難です。因みに進行形と現在完了はとてもよく使うので要チェックです(for 中学生の皆さん!?)
因みにフィンランド語は日本語に近い発音体系を持っていて、aiueoという母音の発音は日本語と同じです。(これにä, y, öという三つの母音が加わりますが) だからフィンランド人の英語はとても聞き取りやすいし、彼らは僕の英語を割と分かってくれます。でも例えばフランス語は母音体型が日本語と異なるので、一部のフランス人の英語はとても聞き取りにくいし、僕の発音もなかなか聞き取ってもらえません。(英語が出来ないわけではなくて、チャットだと普通に会話できます) 言語の違いが感じられて興味深いです。

少数派としての苦労・日本語クラス

二ヶ月暮らしていると色々気付くこともあるので、ちょっとマイナスの点も補足しておきます。フィンランドの大学は国際的とはいえ、アジア人はまだまだ少数派です。差別的なことを言われたことは一切ないけど、EU外の住民として話題についていきにくいことも多いです。多数派のグループは「フィンランド人グループ」「EUグループ(ドイツ人中心・英語うまい)」「スペイン人グループ」あとフランスとかイタリア人グループとかで、どれもやや入り辛い雰囲気です。もうちょっと英語うまかったらEUグループに入れそうだけど、それでも僕には話題についていけないっぽい。あとスペイン人とかフランス人のクラスメートと話してたら、他の友達の集団が合流してきて標準語がスペイン語やフランス語になってしまうこともあります。こうなると英語話すと邪魔っぽいし、ちょっとお手上げです。
でも集団でいるとこのように苦しいけど、一対一でいるときはゆっくりな英語でオーダーメイドな会話が出来ます。普段苦労するぶん、うまく話が通じた時の達成感もひとしおです。
あとこの大学で暮らすのにすごく助けになってると思うのは、日本語クラスの存在です。ヘルシンキ工科大では大倉純一郎先生という方がフィンランド人の学生に日本語を教えています。(因みに中国語初め他のアジアの言葉はありません。需要の問題か、講師確保の問題かは分かりません) そこそこ人気があるらしく、初級・上級とも30人くらいのコースらしいです。(因みにこの大学の日本人留学生は多分6人です) ここのクラスの学生は当然日本に興味を持ってくれて、話しも辛抱強く聞いてくれます。ここで日本人が少数派というのが効いていて、例えばフランス語を勉強してるフィンランド人がフランス人の集団に混じるのに比べ、日本語を勉強しているフィンランド人が日本人を囲む方が彼らにとっては楽なんだと思います。とはいえ日本に興味を持ってくれるのは純粋に嬉しいし、フィンランド生活を楽しむ上ですごく助けになっていると感じています。そしてその嬉しさがフィンランド語を勉強を続ける動機にもなっています。