funini.com -> 児童文学案内 -> 「名探偵カッレくん」 アストリッド・リンドグレーン

マイの児童文学案内

「名探偵カッレくん」 アストリッド・リンドグレーン

架空の聴き手(以下 架)「こんにちは。今回で『マイちゃんの児童文学案内』もめでたく三周年です。三年って短いようで長いようで短いかと思いきや、やっぱり長いですねー。というわけで、今回も、スタジオにはゲストとして、マイさんにお越しいただいてます。・・・って、マイさん!?」
マイ「・・・・・・」
架「ちょ、ちょっとマイさん、起きてください!!もうカメラ回ってますよ!!」
マイ「・・・んあ?」
架「『んあ?』じゃなくて!起きてくださいっ!それは枕じゃなくて私の上着です!うわーヨダレ垂らすのだけはやめてくださいー!!・・・<五分経過>・・・駄目です。全く起きる気配がありません。毎朝、マイさんを起こしていらっしゃるお母様の苦労がよく分かります。もうこんな人無視して話をすすめましょう。えーと、今回紹介するのは、他でもないこのワタクシ、架空の聴き手の登場する本です。(←自慢げ)いや、丸っきり私本人ではないんですけどね。まぁ、仲間の一人だとでも言っておきましょうか。スウェーデンの作家、アストリッド・リンドグレーンの『名探偵カッレくん』です。リンドグレーンは、『長靴下のピッピ』『やかまし村の子どもたち』なども書いてます」
マイ「あと映画で有名な『ロッタちゃん』シリーズとかね」
架「そうそう・・・って、やっと起きたんですね」
マイ「低血圧人間は目覚めてから活動を始めるまでに十分は必要なのだよ、ワトソン君」
架「そんな勝ち誇って言うことでもないと思いますが。しかも何故ホームズなんですか」
マイ「おや、モナミ、あなたはヘイスティングスの方がお好みですか?」
架「そういう問題じゃなくて。カッレ君にあやかって名探偵を気取りたいのは分かりましたから、さっさとあらすじを説明してください」
マイ「はい。えーと、舞台はちょっと前のスウェーデン。夏休みのお話です。主な登場人物は、まず、カール・ブルムクヴィスト名探偵こと、カッレ。食料品店の息子。その友達で、靴屋の息子のアンデスと、パン屋の娘のエーヴァ・ロッタ。あと、シックステンとベンカとユンテ。みんな13歳で、バラ戦争ごっこで遊ぶの」
架「バラ戦争?」
マイ「15世紀のイギリスで、ランカスター家とヨーク家が王位をめぐって起こった戦争。それぞれの紋章が赤いバラと白いバラだったから、そんな名前がついたんだけど。で、カッレ、アンデス、エーヴァ・ロッタが白バラ軍、残りの三人が赤バラ軍で、戦うの。『ごっこ』って言っても結構真剣で、読んでるだけでおもしろいよ」
架「実際にやるのは、日本では、ちょっと無理ですよね。特に今は」
マイ「うん、無理だよね。『大平原』もないし、自動車が多くて危ないし」
架「でも、この話のメインはバラ戦争じゃないですよ」
マイ「はいはい。えーと、一応メインは事件よね。一作目は宝石泥棒、二作目は殺人犯。三作目は誘拐?恐喝?」
架「そうやって書くと怖いですね。実際は全然そんなことないのに」
マイ「あはは。でも、二作目はそれなりに怖かったよ。あ、でも怖いこともキッチリ書いてて、カッレ君の活躍も随分専門的なのに、全体を通してサラリとしてるかな」
架「そうですね。カッレの推理や活躍で事件は解決するけど、あくまでも彼は子どもで、親がいるわけだし、警察が出てこないと逮捕とかはできないし、無理がありませんよね」
マイ「なんかさー、物騒だけど今よりずっと安全なんだよ。作者の目指すものも、ジャンルも違うから比べるのも変だけど、すぐに血がぶわーって出るようなドロドロした推理マンガとはやっぱ違う。そういうのに慣れてる現代っ子には物足りないかもしれないケド、そういう子にこそ、この『カッレ君』シリーズを読んでほしいなー、とか思うわけさ、お姉さんは」
架「自分でお姉さんって言うの恥ずかしくないですか?」
マイ「恥ずかしいよ。ほっといてよ。あーでもね、話戻るけど、もう、この本の良さが分かんないような子も多いんだろうなってのも思う。それは可哀想だよね。あたしはね、こんな偉そうなもの書いてるけど、マンガだって好きだし、マトモな文学作品を、沢山読んでるわけでもない。生半可な本よりずっといいマンガも知ってる。でもね、やっぱり本を読むことで育まれる想像力ってのは大事だし、いい文章を読むことで、自分の中にいいものが蓄積されるのは事実だと思う。学校行ったら、国語って教科は絶対やんなきゃいけないんだし(笑)教科書のクソつまんねー文章押し付けられるより自分で好きな本読む方が絶対いいよ」
架「寝起きのわりに真剣ですね」
マイ「うん、いちおうコレ最終回だからね」
架「はぁ?」
マイ「いやー、あたしって今年高三じゃん?高三って、体育祭とか文化祭とか本気で忙しいの。実は今日も体育祭の朝練のせいで寝不足でさー。で、高二の段階で、この原稿書くために、クラブの打ち上げ行けずに悔し泣きした思い出を持つ、『段取りの悪い』マイさんは、今年は学校生活と連載を両立させるのが無理だと判断したわけよ」
架「あ、最終回って言ってもまた来年やるかもしれないんですね?」
マイ「うん、紹介したい本はまだいっぱいあるし、再開できればいいなぁと思ってるよ。してほしいって人が1人でもいれば」
架「じゃあ、再開してほしいって人は公同教会事務所まで・・・」
マイ「変なこと言うのやめてよ、一人も来なかったら凹むから(笑)」
架「そうですね(笑)。それじゃ、とりあえず、三年間、お疲れ様でした」
マイ「お互いにね。えーと、これまで読んでくださった皆様、ありがとうございました。来年カムバックしようと思いますので、それまで、素敵なブックライフをお過ごしください☆公同文庫には、私を育ててくれた(笑)現在絶版の名作絵本が沢山ありますよん。それでは、また会う日まで、ご機嫌よ〜う♪」
funini.com -> 児童文学案内 -> 「名探偵カッレくん」 アストリッド・リンドグレーン