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「魔法のカクテル」 ミヒャエル・エンデ


 今回の本はもう、一年前から決めてあるんですよー。ミヒャエル・エンデ作「魔法のカクテル」。エンデといえば「モモ」や「はてしない物語」が代表作ですが、この本もなかなか。いろんな意味で強烈です。設定から何からひたすらぶっ飛んでるっていうか、読んでて片頬でニヤッとしてしまうユーモアがあるっていうか。同じユーモアでも、去年紹介したケストナーとは全然タイプが違って、ちょっと悪い(?)感じ。濃いんです。で、この年末にわざわざそんなキツい本持って来るなよーって思ったあなた!甘いです。大甘です。シュガーベイビーです(はぁ?)。というのもですね「魔法のカクテル」においては、大晦日がとても大事なのです!さあ、あまり癒されなさそうな黄緑の本を手にとってみましょう。表紙では間抜け面したかわいらしい猫とカラスが何やら話している模様。早速開いてみると、内装はオレンジです。ページをめくります。「魔法のカクテル」題の下にまたも猫とカラス。「この本の持ち主は:」なんて名前を書く欄が用意されてます。おやもう一枚表紙。今度のイラストは…はげ頭で、鼻と顎が長い、痩せてメガネをかけたおじさんと、太ってアクセサリーつけまくりのおばさんが乾杯してます。あれ、また猫とカラスもいますね。次に、やっと目次。ってあれ、何この目次?第一章、第二章、とか書いてあるはずの場所には、五時、五時八分、五時十一分…。それが四ページにわたった後にもう一回タイトル。そしてやっと、本文です。あらすじを書きたいとこなんですが、ここでどんなに筆舌を尽くしてもあの妙な雰囲気は伝わらないと思うんで、さわりだけ。
 魔法枢密顧問官のベエルツェブープ・イルヴィツァーは、ある年の大晦日、地獄の魔王との悪事の契約の一年のノルマが終わっていないとの警告を受ける。差し押さえの危機を逃れるため、真夜中の十二時までに残りの悪事をなし遂げるべく、同じ警告を受けている伯母、ティラニアと共に、口にした願いが逆に叶うという魔法のカクテル、ジゴクアクニンジャネンリキュール(これ訳者さん苦労しただろうな…)を作り始めます。動物評議会から送られた、猫のマウリツィオとカラスのヤーコプは、カクテル作りを阻止すべく、出かけます…。といった感じ。あーやっぱ読んでもらわなきゃわけ分かんないよぉ。カクテルの作り方とか本当おもしろいんだから!まあ私はマウリツィオのバカさ加減にイライラしましたけどね(笑)。ヤーコプはいまいち掴めないキャラだし。私の密かなお気に入りはマーデさんなんですけど、やっぱり聖ジルヴェスター様も外せませんね。あまりネタバレしたくないので、今回の感想はこれで終わり!
 さて、この一年、やり残したことはありませんか?私自身を振り返ってみると…。……後悔に一年以上かかりそうなんで、深く考えないことにします。カクテルなんざ作れないしね。でも一つ言えるのは「出会いの年だったな」ってことですかね。あ、運命の人に出会えた、とか彼氏ができた、とかじゃなくて(自分で言ってて悲しいわ)一生付き合えそうな友達とか、本とか、音楽とかとね。うん、良いことだ。サンキュー2003!では♪
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